仁伍にてご利用者の役割として調理下ごしらえをして頂いている際にA氏の目がよく開き、良い表情をされました。片麻痺で現在動かすことの出来る方の右手は、元々利き手ではないですが、集中してこなされれます。日数を経て関わりの中で本人の表情から少しずつ得意な事が見つかりました。かつての職業は貨物船の船乗りとのみお聴きしていましたが実はその後に喫茶店と食事処を40年以上経営されておられ、調理や顧客のおもてなしなどされていたそうです。長年のご経験の中でも一番こだわっていたのが、コーヒーの淹れ方で、道具や豆のブレンドもA氏のこだわりがあり、ネルのフィルター以外は絶対に使わなかったそうです。先日、久しぶりに愛着のあるお店の調理場に入り、料理の下ごしらえをし、こだわりのコーヒーを淹れ、息子様ご夫婦とお孫様たちを迎え、振舞われました。久しぶりに店で皆が揃い、会食をしながら息子様の子どもの頃や当時のA氏のこと等で話に花が咲きました。
元気だった頃は毎日ここに居たA氏。今では叶うと思っていなかった事が再現出来、「もっとここ(調理場)に居たい。」と想いを述べておられました。