2010/12/23 12:00:00
地域密着型サービス『まちづくりに繋がるコミュニティケアの実践�ぁ�
前々回よりコミュニティケアの具体的実践例をお示しした上で、その在り方を模索する作業を行っています。前回までは特にコミュニティケアの技術としてのケアマネジメントを通した実践についてお話してきました。地域住民・商店・ボランティアを巻き込んだ利用者支援の実践です。この点について一つだけ補足しておきます。現実的には、インフォーマルな社会資源へのアプローチに敷居の高さを感じている方も多いのではないでしょうか。本ブログでご紹介した2事例では、発掘・開発に成功した社会資源のみを挙げていますが、水面下では、門前払いを受けたことや、度外視されたこと、冷や水を浴びせられたことも多々ありました。私たちの経験則上では、約50%の成功率です。この数字を高いと思われるか低いと思われるのかは皆様方次第ですが、少なくとも声をかければ2人に1人が協力して下さっていることを実感しています。そしてこれらの実践は、私たち専門職から声をかけない限り生まれることはありませんでした。その意味において、コミュニティケア実践の第一歩は、「声をかけることから始める」と言えるかも知れません。まさに、地域住民の家の扉を一つずつノックしていくことから始まると言えます。扉の向こう側には、他者の生活に関心を持たない住民が住んでいるかも知れませんし、誰かの役に立ちたいとウズウズしている住民がいるかも知れません。確率は決して低くはないにもかかわらず、私たち専門職は声をかける前から、「どうせ・・・」と、諦めているのではないでしょうか?専門職だけの力では利用者の生活支援が成し得ないこと認識し、地域住民へのアプローチを決して諦めない実践が今求められています。そして、その実践は確実に利用者の生活の質を高めることでしょう。協力してくださる地域住民はあなたの傍に必ずいます。成功体験を積み上げることで、地域の強みを引き出し、利用者が安心して暮らせるまちづくりに寄与していただければと願っています。
ここからは、ケアマネジメントに依らないコミュニティケアの在り方を考えていきます。2006年1月に長崎県大村市のグループホーム、2009年3月に群馬県渋川市の老人ホーム、そして本年3月に札幌市北区のグループホームで火災が発生し、多くの利用者が命を落としました。防火・消火における環境設備や避難経路の確保等、ハード面による対策は欠かせませんが、職員のみによる消火活動・避難誘導には限界があるのではないでしょうか。特に夜間における対応は非常な困難を伴います。必要なハード面の整備を基調としながらも、災害時には地域住民からの協力が不可欠であると認識しているのです。「地域の絆」では、自治会の防災訓練時に、事業所の防災訓練を開催し、事業所における災害時の状況を地域住民に理解していただけるよう努めています。消火器を使った消火訓練では、事業所利用者・職員も参加させて頂きます。この様な関係を積み上げていくことで、当事業所に災害ある時、何人かの地域住民は駆けつけて下さるのではないかと淡い期待を持っているのです。事実、緊急連絡簿をいくら整備していても、職員が駆けつけるよりも早く駆けつけることができるのが地域住民ですので、この点は是非協力を要請したいところです。自治会との同時・協働訓練を開催するために、私たちは運営推進会議の場を活用しました。実は直接依頼をかけた際、ある地域においてはあまり良い返事を頂くことが出来ませんでした。そこで、再度運営推進会議の場で、事業所の現状を切に説明し、了承に漕ぎ着けることが出来たのです。運営推進会議の場には、地域住民のみならず、利用者・家族・行政職員・地域包括支援センター職員・その他専門職が同席しています。その場で、依頼をかけると地域住民は断りにくい傾向にあるようです。少し姑息な手と思われるかも知れませんが、よく考えてみて下さい、地域密着型サービスは専ら日常生活圏域内の利用者にサービスを提供する類型です。地域住民もいずれ私たちの事業所の利用者となる可能性が高いわけですから、今のうちにしっかりと意見交換を行い共により良い事業所づくりを担っていただかなければなりません。それこそが、住民自治の実践に繋がっていくはずです。
事業所における緊急時は、災害に限った事ではありません。例えば、「無断外出」「離設」等の「徘徊」も時間の経過とともに、利用者の生命をも脅かす緊急性を持っています。警察庁の調べては、「徘徊」によって年間905人の方が行方不明のままか、その死亡が確認されています(2004年データー)※。「地域の絆」のある事業所では、ご家族の同意を得た上で、自治会の総会の場で、「徘徊」により行方不明になるリスクの高い利用者の情報を公開し、利用者を見かけた方に事業所まで連絡をしていただく等の依頼を行いました。ただ単に、「徘徊」される利用者に困っているといったメッセージが伝わらない様、「徘徊」には無目的に歩き回るといった意味があるが、実際はそうではなくご本人なりの目的があって出歩かれていることを説明し、Aさんは家に帰ろうとされて出歩かれ、Bさんは仕事に行こうとされて外出される旨具体的に説明させていただきました。そうすることで、認知症の方に対する偏見を少しでも軽減させることが出来ればと考えたのです。利用者の安全確保の目的のみならず、認知症の方の生活を直接理解していただくことで認知症に対する偏見を低減させる試みです。総会や回覧板にて、利用者のお写真・外出の目的・歩いて行かれる方角等の資料を配布させていただきました。
その結果、利用者が一人で外出されているとその旨知らせに来て下さることや、利用者の手を引いて事業所まで連れてきて下さる方、話し相手をして時間を稼いで下さる方が日常的に見られるようになりました。私が事務所にいる際も、「回覧板に載っていたおばあさんが、あっちへ向いて歩いているよ!」と教えに来て下さることがあります。地域住民のあまりの手厚い支援に事業所職員が甘えてしまっている側面も否めませんが、今のご時世、介護職もこの程度のやすらぎを頂いたとて、罰は当たらないかな、とも思う昨今です。
※『キャラバン・メイト養成テキスト』NPO法人地域ケア政策ネットワークP.27 2007年8月
2010/11/27 12:00:00
地域密着型サービス 11月27日(日)の17時よりコミュニティホーム仁伍懇親会が執り行われました。参加者数は35名。地域の皆様と当法人職員・役員の皆様との交流促進の良い場となりました。
新たに拠点を開設する際当法人では以下の視点を大切にしております――――。
�ヽ�設の1年ほど前より地域住民に対する説明会を開くこと、�⊇弭�後には、地域住民と専門職を対象とした見学会を2日開催すること、�3�設前には、地域住民を対象とした懇親会を開催すること。
�,砲弔い討蓮�地域福祉の拠点・まちづくりの拠点をつくるわけですから、施設をつくる前から地域住民との協働の視点は欠かせません。ですので、建設工事を着工する遥か以前計画が定まった時点において、地域住民へのアプローチを私たちは開始しております。地域福祉活動は、開設する以前から既に始まっていると捉えての実践です。�△蓮↓,両�況から常日頃関心を持っていただいている地域住民へのご案内と、フォーマルな社会資源として専門職に認識していただくことで、当事業所の機能と整合性あるニーズをお持ちでいらっしゃる利用者と繋がることも目的としています。
そして��。利用者に利用していただく前に、常日頃からお世話になっている、またこれからお世話にならなければならない地域住民にまずは施設を利用していただこうという試みです。いかなるお店でも、初めて入るのには勇気がいるものです。しかし、一度入ったことのあるお店は敷居が低くもなりますので、当ホームにおいてもそのような認識を持っていただくための催しでもあります。かつて、ある地域で拠点を開設した際、その懇親会の場で自治会長に「あんたと知りおうてから、もう1年は経っとるなぁ」と笑顔で言われたことがありますが、当法人ではそのような開設の方法を取っているのです。
当法人の各拠点における地域福祉活動の対象圏域は、自治会を基盤として小学校区までと捉えておりますので、懇親会の際は自治会住民にお声掛けをさせていただきます。実情の把握が十分に出来ていない地域における新規開設に際しては、自治会で何らかの役職をされている方にご案内をさせていただきます。一定の法則性をもった声掛けの方法でなければ、案内を出す方・出さない方の選定方法に主観が入り、その理由を問われることもあるやも知れません。また、案内を出す範囲においても、ある自治会には案内を出し、ある自治会には出さないといった根拠が示せない際は注意が必要です。そうであれば、一層のこと小学校区内の自治会全てに案内を出した方が良いようにも思われますが、それでは恐らく人数が多すぎます。結果として、開設地域の自治会役員の皆様に案内をさせていただくことになるわけです。無論、地域の実情に応じて、説明のできる範囲で、臨機応変な声掛けも行っていきます。例えば、開設に際して大変お世話になった住民の方々や、これからお世話になるであろう方々。大事なことは、なぜあの人を呼んで、あの人は呼ばないのか、と問われた際に一定の説明ができることにあると私は理解しています。事業所にとっても地域にとっても大切な会です。無造作に案内を出すことの無いよう心を込めて対応を行っております。
懇親会のメニューも、地域の方が恐縮されない程度の家庭的なものを選んでおります。もちろん、飲酒を含めた楽しい食事会です。幾つかの地域で開設すれば、好まれるお酒の種類も地域によって様々です。発泡酒は飲まないという地域もありますし、焼酎よりも日本酒を好まれる地域もあります。また地域住民との距離感によって食事の内容も変わってきます。この度のコミュニティホーム仁伍では、お鍋を提供させていただきました。親密度の低い者同士が始めっからお鍋をつつくことには若干の抵抗があるやもしれません。しかし、ここ仁伍町内会では、4年間の地域福祉センター仁伍での実績がございます。地域住民との親密度はそれ程低くはありませんので、この度はお鍋にさせていただきました。この様に、親密度の変化によって活動の内容が変遷して行くのが地域福祉活動であると私は強く認識しております。
また、日程や食事・お酒の内容、参加者名簿、席順等を自治会長や住民と話し合いながら懇親会は準備されていきます。建物(ハード)が出来て地域福祉活動が始まるのではありません。建物をつくり、事業を立ち上げる職員の姿勢と志(ソフト及びハート)がまさに、地域福祉活動を促進させているのです。
緊張感はありましたが、意外に慣れていらっしゃる自己紹介でした。
もちろん2次会も開催致しました!中途半端には帰れませんものね!?
2010/10/25 12:00:00
地域密着型サービス『まちづくりに繋がるコミュニティケアの実践��』
前回ご紹介した独居高齢者70代女性の事例では、庭の草取りと、畑の菜園活動も地域住民に協力を要請しました。家の目の前に畑と庭があり、お元気な折は、庭の手入れと畑の菜園活動はご自身でされていた方です。認知症となり、体が思うように動かなくなったことで、庭と畑の手入れが困難な状況となっていました。夏になって庭と畑に雑草が生い茂る状態となった頃、当事業所や近隣住民、地域包括支援センターに何とかして欲しいと再三再四連絡があったのですが、金銭的に余裕はなく、かといって、小規模多機能型居宅介護(以下「小規模」)の職員で草取りの対応をする余力もありませんでした。
そこで、計画作成担当者が、ご本人と関係のある地域住民や近隣住民に協力を要請し、庭の草取りと畑の菜園活動が始まりました。協力者は、買い物時の身守り支援でご協力いただいていたコンビニのオーナーと、日々の身守りを依頼していた民生委員、近隣住民の総勢4名の方々です。遠方に住んでいらっしゃるご家族が、活動に必要な道具・畑の苗を買い揃えて下さり、曜日毎に当番を決めました。無論、家の敷地に入っての活動ですので、これは、定期的な身守り活動やお話し相手の活動にも繋がる実践です。庭と畑は蘇えり、庭と畑を何とかして欲しいというご本人からの連絡はぱったりと無くなりました。
ご周知の通り、介護保険制度では、庭の草取りや畑の菜園活動は、制度上の実践としては位置づけられていません。しかし、利用者の生活支援を鑑みると、これらの実践は利用者の生活に無くてはならない取り組みであったと言えます。制度や政策は、その立案・設計上、対象者やサービス内容における一定の標準化や画一化は否めないのが現状です。制度・政策は、個別のオーダーメイドではありませんので、そこには必ず“穴”があります。つまり、制度・政策には限界があることをしっかりと認識した上で、それを補っていく実践が求められているのです。コミュニティケアの実践はそれを補う一つの方策であると言えるかも知れません。
続いてもう一つの事例をご紹介します。要介護4(障害老人の日常生活自立度A1・認知症高齢者の日常生活自立度��a)の70代男性で、要支援の奥様と、障害のある娘さんの3人家族でした。その他の身寄りはいらっしゃらない状況でした。いわゆる多くの問題を抱えていらっしゃる世帯です。また、事情あって、事業所から車で片道30分ほどの所に住んでおられ、こまめな訪問が難しい状況にありました。この方の支援にもインフォーマルサポートの必要性を感じ、計画作成担当者が、その実践を試みました。
今回は、当事業所から車で30分離れた地域ということもあって、事業所独自のインフォーマルなネットワークは皆無の状況でしたので、地元の社会福祉協議会(以下社協)に地区ごとに登録されている地区担当ボランティアさんに声をかけさせていただくことから始めました。社協の担当者に依頼し、ご協力いただけそうな方に事前に当たりを付けていただき、社協担当者立ち会いのもと説明会を開催し、ご協力していただきたい事項の目的と内容について、計画作成担当者が説明をさせていただきました。小規模だけでは対応困難な以下3点の課題が現状として存在し、その内の1点だけでも引き受けて下さる方がいらっしゃればと計画作成担当者は説明を続けました。
�仝生豕擇嗷覯湿祿欧�あることで、ご家族間で意思疎通が困難となっておりその仲立ちや見守り、家族構成からも軽微な家事支援が必要なこと。�△緩椰佑梁臉擇米�課に散歩があり、事業所来所中は、職員の見守り・一部介助によって、事業所近隣を散歩しているが、自宅でも散歩の要望があり、時折一人で自宅周辺の散歩をされ転倒の危険性があること。�5朧�機による自己吸引はできるが、吸引機のセッティングが困難であること。
説明後、一人の方が協力してもよいと名乗りを上げて下さいました。この方はご高齢(女性)の方でしたが、長年介護の仕事に従事した経験のある方でした。私たちとしましては、�,離汽檗璽箸魄�き受けて下さる方が一人でもいればと説明の場に臨んだのですが、介護経験者ということもあり、� 銑�にご協力いただけることとなったのです。
�△砲弔い討蓮�活動を開始する前にカンファレンスを開催し、訪問リハビリテーションの担当理学療法士とボランティアを担当して下さる方、当事業所計画作成担当者・職員とで、散歩支援をする際の支援方法、支援内容、留意点を定めることにしました。どのような方法で、どこからどこまでの範囲であれば、ボランティアでも散歩支援が可能であるのかを専門家を交えて合意形成を実践したのです。
また、ボランティア担当者の不安を解消するために、ボランティア活動ノートを活用し、活動内容に対する助言や、不安に対する励ましを計画作成担当者が行いました。初期のノートには、「不安でいっぱいだ」「いつまで続くか分からない」といった活動に対するマイナス要素の記述が多く見られていましたが、活動が継続されるにつれて、「ここに来るのが楽しい」「人の役に立つことが嬉しい」といったプラス要素の表記に変わって行きました。
後半事例の要点としては、�|楼茲砲鷲�ず、素晴らしい資源があるということを専門職がしっかりと認識することが重要であること、�△修涼楼茲妊ぅ鵐侫�ーマルなネットワークを有しているフォーマルな社会資源(今回の事例では社協)を有効に活用して、間接的に、インフォーマルな社会資源に接近することも有効であること、��インフォーマルな社会資源を発掘し、利用者支援に結びつけ、それを維持・継続・発展する過程には、専門職のコーディネート力が不可欠であること、�ぞ�規模以外の専門職にもチームに加わってもらい、インフォーマルサポートにおけるリスクを軽減させること、以上の重要性を示唆してくれていると受け止めています。
前回よりご説明した2つの事例は、コミュニティケアの技術としてのケアマネジメントを活用したコミュニティケア実践でした。次回からは、もう少し広い視点で、コミュニティケアの実践を捉えてみたいと思います。
2010/08/20 12:00:00
地域密着型サービス『まちづくりに繋がるコミュニティケアの実践�◆�
「地域の絆」の定めるコミュニティケアの実践定義では、「フォーマル・インフォーマル如何を問わず、その地域に存在するあらゆる社会資源」を活用して利用者の支援を実践するとしています。今回から数回に渡って、その具体的な実践事例をご紹介し、コミュニティケア実践における何らかのご示唆を狙ってみたいと思います。
理想を言えば、小規模多機能型居宅介護(以下「小規模」)における全ての登録利用者に対して如上の実践が求められるのですが、「地域の絆」では、高齢者の独居世帯・高齢者のみの夫婦世帯・「多問題」世帯(同居する配偶者や子どもが要援護者である世帯など)の利用者に限定して、コミュニティケアを強く意識した実践を行っています。
ここでは、要介護3(障害老人の日常生活自立度J2・認知症高齢者の日常生活自立度��a)で70代女性の独居高齢者の事例をご紹介します。私たちは、独居高齢者と一言で表しても、そこには様々な課題のレベルがあると認識しております。�[拔畚蠅鵬雜郤圓�住んでいるケース、�∋堋�村・都道府県内に介護者が住んでいるケース、�E堝刺楔�外及び海外に介護者が住んでいるケース等。本事例は、��に該当する事例でした。
長年住み慣れた自宅での生活を継続したいと思っていらっしゃるご本人の生活課題の中心的なものを挙げさせていただくと、ADLでは入浴・排泄・更衣に一部の介助が必要であり、IADLにおいては、調理・買い物は一部の介助、掃除・洗濯は全介助の状況でした。また、火の不始末の問題があり、お仏壇や台所からの出火が懸念されました。「小規模」からの支援を受けながら、ご自宅で生活されるにはまさにギリギリの状況と言えます。であればこそ、地域の住民・商店による見守りや軽微な家事支援を導入しなければ今後の在宅生活は継続できないと私たちは考えました。本事例では地域包括支援センターの協力も要請しましたが、「小規模」職員を含めた専門職以外の支援体制も合わせて構築し、表1の援助活動を実践しました。
認知症でお一人暮らしの利用者の支援は、24時間365日の対応が不可欠であり、また援助の幅も非常に広いため、時間的・質的に際限のない実践が求められます。本事例でも、庭の草取りや、ゴミ出し、再三再四の見守りが求められました。これら全ての対応を「小規模」職員だけで実践することは不可能であり、事業所外部との連携を持って、利用者の支援に当たることが必至でした。逆に言えば、私たちが事業所外部のインフォーマルな社会資源へのアプローチを行わなければ、ご本人の希望である「自宅での生活を継続する」ことは困難な状況であったと思われます。
まず私たちは、家族に個人情報の同意をいただいた上で、見守りの“目”を地域の中にたくさん創る実践を行いました。利用者の生活に何らかの変化が生じた際、「小規模」に直ぐに連絡が入る「経路」を確保するためです。そのことで「小規模」職員は、利用者宅への見守り訪問の回数を減らすことが出来ました。利用者宅の道を挟んで向かいにあるリサイクルショップの社長さんや、近隣住民、民生委員、児童登下校時の見守りボランティアに職員が手分けをして依頼に伺い、ご協力をお約束頂けたのです。登下校時の見守りボランティアの方々には、平日の夕方いつも見守りの場所まで歩いて行かれる道程に利用者宅があったものですから、利用者宅の前を通った際の声かけや見守りを依頼しました。また、真夏の猛暑の折、家の前の歩道に腰をかけたまま30分以上動こうとされないので心配だと、近隣住民から当事業所に連絡が入ることもありました。既に脱水症状が出ており、連絡をいただいておらねば、大変なことになっていたかも知れません。
この様に地域の見守りの“目”を増やし、“センサー”の精度を高めることは、お独り暮らしの方の支援には不可欠であると認識しております。また、見守りという行為は、地域住民にとっては幾分ハードルが低いのか、多くの方は、声をかければ快く引き受けて下さることが多いようです。
ゴミの処理に関しては、毎週決まった時間に「ごみステーション」へ出さなければならず、「小規模」職員の負担となっていました。そこで、近隣住民の方へまずは、「利用者の家の前(敷地内)にゴミを出しておきますので、可能な日は、ゴミ出しをお願いできますか?」と依頼しました。一人の方が快く引き受けて下さり、それが継続されると、「毎回私が出しておきますよ。前の日に用意だけしておいて下さい」とおっしゃっていただけるようになったのです。「小規模」職員の負担は軽減し、地域住民による見守りの“目”を更に増やすことにも繋がりました。この実践は、インフォーマルな社会資源へアプローチを試みる際は、ハードルの低いところから依頼すると成功しやすいことを示唆しています。地域の住民や商店の方々の多くは、時間的な余裕がたくさんあるわけではないため、初めから過度なご負担をお願いすると負担感や拒否感が強く断られるケースが多いのではないでしょうか。また、依頼をする私たちと依頼先との信頼関係が築けていない段階では、過度な依頼は不信感を増幅させてしまうのではないでしょうか。その意味において、最初の段階では、負担の軽い依頼を行うことが要諦です。まずは、継続してご協力いただけることを第一義とし、敢えてハードルを下げて依頼する。その後の過程で構築された信頼関係や、利用者に対する親密度の高さから、依頼先の状況に応じた更なる負担を依頼していくことが成功の秘訣ではないでしょうか。
またご本人にとって、自宅から数百メートル離れたコンビニエンスストアに押し車で時間をかけて買い物に行くことが日課となっていました。お金の出し入れが難しいことと、毎回同じ物を買われるので、賞味期限切れの食材が冷蔵庫の中に溢れていたこと、押し車で買い物するには狭い店内での方向転回や移動時に転倒のリスクがあったことから、�〇拱Гい了抉隋↓�販売物の調整、�E稿皸榮飴�の身守りをオーナーさんに依頼しました。オーナーさんはご快諾下さり、そのことは店員さんに浸透し、日常的な対応が始まりました。実はこのオーナーさん、お独り暮らしの高齢者宅へお弁当代だけを徴収し、独自に「配食サービス」を展開されていました。配送料は無料ですから、これは、無料という意での「サービス」ですね。
地域に対する働きかけを実践すれば、このような地域住民の顔と人柄、その実践が見えてきます。それが新たなコミュニティケアの実践へと繋がっていくのです。
2010/08/13 12:00:00
地域密着型サービス『まちづくりに繋がるコミュニティケアの実践� �
「地域の絆」における小規模多機能ケアの実践は、「コミュニティケア」・「コミュニティワーク」・「地域密着・交流」の3つの要素を一体的・有機的に機能させたものである旨前回ご紹介しました。
今回より数回にわたって、まずは「コミュニティケア」の実践について掘り下げて説明してみたいと思います。専門書や教科書では、「コミュニティケア」は二つの要素で書かれていることが多いのではないかと認識しています。�,△蕕罎訝楼茲亮匆饂餮擦魍萢僂靴突�用者のケアに当たること、��対象者を限定しないケアであること。�,埜世Α崋匆饂餮察廚箸蓮⇒�用者の皮膚の外にあるあらゆる(物理的・心理的・社会的な)ものと私たちは理解しています。即ち、フォーマル(公的・専門的)・インフォーマル(非公的・非専門的)如何に関わらずあらゆる社会資源を活用して、利用者支援を実践することを指しています。�△任蓮�介護保険の事業所として、高齢者の相談やケアにしか応じない実践ではなく、高齢者以外のあらゆる生活課題を抱えていらっしゃる方の相談やケアのニーズに、出来得る限り応えていく必要性が示唆されています。巷で、注目を集めている「共生型介護」などがこれに該当します。また、コミュニティケアは在宅ケアに特有のものではなく、施設ケアもコミュニティケアを意図して実践するべきであると認識しています。施設ケアも在宅ケアも、共に地域の中でなされるケアであることには変わりありません。
「地域の絆」では、図1のようにコミュニティケアの実践定義を行い、これを各事業所に掲示し、全職員が共通認識の下日々の実践に努めています。専門職とは自らの実践が言語化できる人であり、チームケアではそれを共通認識できる集団構成が求められるからです。
「地域の絆」ではまず、主たる対象とする「地域」を定義化しています。図2にあるように、本来地域には様々な圏域が存在します。その中のどの圏域を自らの実践地域とするのか、そのことに対する共通理解なくして、コミュニティケアの実践はなされません。「本来」と書いたように、従来はこのような認識が希薄化した中で、地域福祉活動が実践されてきたのではないかと自戒の念を含め認識しております。私たちは、まちづくり拠点としての小規模多機能型居宅介護(以下「小規模」)が対象とする地域を自治会及び小学校区圏内と定めています。一人の利用者を専門職と地域住民が協働で支援していくことを鑑みると、お互い常に顔の見える関係性が不可欠ですから、その圏域の設定は自治会が基盤となるはずです。コミュニティケアを実践する前にまずは、どの地域を主たる対象地域とするのか、事業所内での共通認識が不可欠です。
次に、これからの社会福祉実践は、「支えられる側」の人たちも環境や立場が変われば「支える側」に回ることがあることを常に認識しておく必要性があると思われます。目の前の利用者に対しても、まだまだ残された・隠れた能力が数多あることを認識しながら援助活動を展開する必要があるのです。「地域の絆」では、精神障害者・発達障害者・不登校児童・触法少年・要支援者・要介護者のボランティア活動の受け入れを行っています。
「地域の絆」の各事業所では、社会福祉士事務所や福祉よろず相談室を設置しており、高齢者分野に関わらずあらゆる分野の福祉相談を受け付けています。相談料は無料としておりますが、その分、インテーク(受理・初回面接)程度の相談しか受け付けないことを援助条件としています。地域住民が福祉課題を抱えた際、とにかく相談に来ていただければ援助の方向性を示し、適切な関係機関に繋いでいくことを第一義としています。無論、その場のワンポイントアドバイスで解決する相談もあります。実際の受付頻度は、事業所ごとに月に3件程度となっています。相談に来られる方の約半数は、地域包括支援センターや、障害分野の相談機関の職員さんからであり、制度の狭間で対応に苦慮しているケースが殆どです。残りの半数は、地域住民からの直接相談です。そのような相談を受け付けていく過程の中で、家庭裁判所の調査官より、触法少年・少女のボランティアの受け入れ依頼が来たり、近隣の精神障害者・発達障害者作業所より、就労訓練を目的としたボランティア活動の受け入れ打診があったり、不登校児童のボランティアの受け入れを両親から依頼されたり等、地域の様々な課題情報が集まってくると同時に、地域におけるネットワークの構築がなされています。高齢者に限定しない相談窓口を設けることで、地域のネットワーク拠点を担うことができるのです。
「小規模」利用者に対するサービス・ケアの質をしっかりと担保できる範囲において、如上のニーズに応える形で、対象を高齢者に限定しないケアの実践を行っています。
また、利用者支援を行う姿を地域住民に隠さないことを私たちは大切にしています。むしろ、汗を流しながら地域の中で利用者を支援しているその姿を積極的に地域住民に見せていく、利用者の生活を地域住民に知ってもらえる実践を行っています。全国で400万人を目標に認知症サポーターの養成推進が謳われていますが、いくら知識を伝達しても、利用者に対する偏見は大きくは減少しないものと思われます。大切なのは、実際に、身近に住んでいらっしゃる認知症の方の生活に触れることが、一番の意識変革に繋がるものと考えます。ですので、私たちの実践を地域住民に積極的に見ていただくことで、それが利用者に対する偏見の減少及び理解・協力の向上に繋がり、延いては地域の福祉教育を担うことにもなるのです。
「グループホームや小規模多機能型居宅介護の指導に関して必要な認知症ケアにかかる共同生活の意味・重要性や地域連携の視点を加えるなど、現行の実地指導マニュアルの見直しを行っているところ」※2と厚労省も検討項目に挙げているように、今後更に、「小規模」の地域との関係は、名実ともに求められることとなります。今の段階から、利用者を地域から切り離したケアではなく、地域の中で支えるケアとしてのコミュニティケアの視点を持っておくことが要諦です。
※1図2 厚生労働省 社会・援護局「これからの地域福祉のあり方に関する研究会報告書」2008年3月31日
※2厚生労働省老健局「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料」2010年3月5日
地域活動を実践する前に、組織内における対象地域の設定を!!