2010/06/28 12:00:00
地域密着型サービス 参議院議員大河原雅子氏もおっしゃられている通り「地域密着型サービスは国の調査でも一貫して赤字が続いており、そうした事業者が持続可能な仕組みにしなければ」※ならないと、地域密着型サービスにおける経営の困難さを示されています。介護報酬が妥当か否かを議論することの重要性は承知しておりますが、ここではこの点を一旦脇へおき、事業所努力としての取り組みに焦点化してお話を展開したいと思います。
ご周知の通り、事業収入の基本部分は、介護報酬として定められている以上、登録者数(利用者数)によって、事業所の収入の大部分が決まっております。赤字の事業所が多いということは、それだけ登録者数が少ない事業所が多いことを物語っています。2009年4月から居宅介護支援(以下「居宅」という)に「小規模多機能型居宅介護事業所連携加算」が設けられているように、その要因の一つとして、「居宅」から小規模多機能型居宅介護(以下「小規模」という)への利用者の紹介が未だ円滑に行われていない現状があります。また、医療機関や、地域包括支援センター、地域住民等に広く「小規模」は具体的に何ができるのか?その機能や役割を理解していただけていない状況も窺えます。
ここでは、そのような状況下において、利用者と事業所が繋がるための、広報及び営業活動について考えていきたいと思います。営業活動において、地域の絆が第一義的に大切にしていることは、利用者のどのようなニーズに対して、どのように応えていきたいと考えているのかを具体的に伝えることにあります。伝える中身がなければ、何度足を運んでも時間の無駄であると考えているからです。「頑張りますので、よろしくお願いします!」と熱意を伝えることも無意味ではありませんし、営業先との人間関係の親密度を高めていくためのコミュニケーションも大切かも知れませんが、それだけを前面に押し出して足を運ぶことは、営業先にとっても、私たちにとっても非常に非効率であると考えます。
私たちは何のために営業をするのかをもう一度再確認すると、対象となる利用者を紹介していただきたいからです。であれば、紹介する側が、対象となる利用者像をイメージでき、かつ、紹介してもいいと思えるような、法人・事業所としてのケア・サービスの提供方針が具体的に示されなければなりません。また、同じ「小規模」が近隣に存在するのであれば、他の「小規模」との違いを具体的に示す必要があります。
例えば、地域の絆では下記のように伝えていきます。対象者は、「在宅での生活を継続したいと考えているが、継続するには不安を抱えていらっしゃる利用者・家族」であり、「要支援の利用者は、緊急性のあるケース及び一時的な利用のケースのみ受け入れている」こと。要支援の利用者を積極的に受け入れてしまうと、「小規模」では、経営が成り立ちません。しかしながら、お金にならないことは全くしないという姿勢は、社会に対する信用失墜行為にあたると私は考えますので、上記の条件であれば、要支援の方の受け入れを行っていると正直に先方に伝えています。「緊急性のあるケース」とは、虐待のケース、災害のケース等の場合、「一時的な利用のケース」とは、登録解除日の目処が既に立っているケース等の場合であると、その際も、具体性を持って伝えるように心がけます。地域の絆の「小規模」は居住機能を併設していないため、在宅支援(利用者の方が長年住んでいらっしゃる家・地域を基盤とした支援)にこだわっている旨もお伝えし、そのようなニーズのある利用者・家族がいればご紹介いただけるよう依頼します。高齢者専用賃貸住宅等の居住機能を併設している事業所であれば、また違った対象者像となるかも知れませんので、この辺りをまず具体的に示す必要があろうかと思います。
また、「医療機関を退院後、直ぐに在宅生活への移行が困難なケース」、「『小規模』以外の在宅サービスを利用されており、そろそろ施設入所を検討されているケース」、「介護老人保健施設に入所中であるが、在宅生活を検討されているケース」等の対象ケースも合わせて具体的に説明すると伝達力が促進されます。
具体的な運営方針については、まず、「認知症ケア」及び「医療依存度の高い方へのケア」を中心に据えている旨、また、その体制が整っていることも先方にお伝えします。「認知症ケア」については、�〕�用者の方の居場所づくり、役割づくりを念頭に、利用者と職員が家事(買い物・料理・洗濯・掃除・洗車・菜園活動等)を協働作業していくこと、�▲螢魯咼蠕賁膺Δ�配置されていないため、入浴時に特殊浴槽を使わないことや、車イスは移動時のみ使用し、普通の椅子に常時座り替えていただくこと、可能性への挑戦を諦めることなく、リスクを最小限に抑えた上で、積極的に歩行していただくこと等の生活リハビリを実施すること、��職員に対して一定程度の認知症ケアにかかる研修を受講させていることを伝えています。「医療依存度の高い方へのケア」については、�ヾ埜鄂Δ鯔…蠖涌�以上に手厚く配置していること、��協力医療機関より、24時間365日の後方支援が受けられること、�2雜鄂Δ癲�研修の中で、一定程度の医療的知識及び技術の習得を行っていることを説明しております。(次回に続く)
※『介護ビジョン』2009年12月号「今月の顔」日本医療企画
2010/06/24 12:00:00
地域密着型サービス 本日6月24日11時より、「コミュニティホーム仁伍地鎮祭」が開催されました。地域福祉センター仁伍のご利用者・ご家族・法人職員一同及び建築関係者の皆様にご参加いただくことが出来ました。参加者の皆様おかれましては、貴重な時間を頂きましたこと深くお礼申しあげます。
地鎮祭後、近隣住民の方に対し工事でご迷惑をお掛けする旨、挨拶まわりをさせていただきました。無論、自治会の方々に対する説明会は2010年2年26日に済ませております。地域の絆は、地域住民との協働のまちづくりを第一義としていますので、如何なる事業所を開設するにしても建築図面の青写真が出来た段階で早期に住民説明会を開くことを自明の如く実践しております。早期に開く住民説明会の場では、�)/様�念・概要の説明��開設事業所の機能・内容の説明�C楼荼鯲�スペースや運営内容についての意見の拝聴�ぅ▲鵐院璽箸砲茲覦娶�及び質問の受付を実施させて頂きます。この際に、���な佞蠅如∋�業所の名前も地域の方に決めていただくこととしております。地域性を熟知されている住民の方にご教示頂いて事業所名を付けることが、多様な観点から間違えのない命名に繋がると認識しているからです。「地域のために頑張ります」と言いながら、勝手に建物を建てて竣工間際に地域住民に説明会を開くといった見っとも無い体たらくは避けたいものです。
実はこの様な実践も、古参の諸先輩方よりご教示いただきながら身についた視点です。つくづく、多くの方々に支えられて今があることに感慨深い毎日です。諸先輩から教わったことを、いつか私も後輩たちに伝えていきたい。そんな法人・事業所づくりをこれから目指して行きたいと思っています。
朝一で大学の講義を終え、私が一番最後に到着です。
地鎮祭は大安を選びますので、スケジュール調整に苦慮しました。大学の講義も簡単に休講するわけにもいかず、苦肉の策で11時からの開催とさせていただきました。
ご利用者・ご家族・法人職員が参加しました。
ご利用者・ご家族・法人職員が参加しました。
地域福祉センター仁伍のご利用者にも参加していただきました。
事業所は、法人役員や法人職員だけのものではありません。ご利用者や地域のものであり、社会福祉実践における社会資源であるべきです。主体者としてのご利用者に参加していただかない訳にはいきません。
長時間にわたるご参加有難うございました。
2010/06/16 12:00:00
地域密着型サービス 福山和女氏は、「ケーグル(J.D.Kagle)の枠組みは10項目である」とし、ソーシャルワークにおける記録の目的として次の部分を挙げておられます。「�.�ライエントのニーズの明確化、�▲機璽咼垢鯤現餡修垢襪海函↓�ケースの継続を維持すること、�だ賁膺Υ屬離灰潺絅縫院璽轡腑鵑鯊タ覆垢襪海函↓ゥ�ライエントと情報を共有すること、�Ε后璽僉璽咼献腑鵝▲灰鵐汽襯董璽轡腑鵝�同僚間の再検討を促進すること、�Д機璽咼垢硫當�とその影響をモニターすること、�┳慇犬箸曚�の専門職を教育すること、��管理上の課題に対してデーターを提供すること、��調査・研究のためにデーターを提供すること」※。
如上における10項目は全て重要な項目であると認識しておりますが、ここでは、���きキ�について掘り下げて検討したいと思います。地域の絆が最も重要視している視点です。
「��ケースの継続を維持すること」で一番大切にしていることは、「通い」「訪問」「宿泊」「ケアマネジメント」のサービスを一体的に記録していることです。例えば、ケア日誌や、利用者・家族との連絡ノート、介護(経過)記録、ミーティング記録等全ての記録において、一枚の記録用紙に4つの視点で記載する方針を取っています。むろん、4つのサービスのどの視点における記録なのかは、明記するようにしていますが、サービスごとの書式は設けていません。利用者の生活は24時間365日継続性のあるものであり、その全体性を捉えた視点が私たちには求められているからです。これは、職員教育にも繋がる要素ですが、サービスごとに、記録を分けて記載・管理することで、利用者の生活の全体性を捉える視点が損なわれる側面もあります。記録は、作成すると同時に、後に評価するためにも活用されるべきものです。やはり、サービスごとに分かれた記録ではなく、利用者の生活の全体性を捉えた記録の記載・管理方法を取るべきであると考えます。
「�たΠ�間のコミュニケーションを促進すること」で、どこの事業所も苦慮しているのが、職員間の情報共有です。その辺りの解消を第一義とします。地域の絆の中で、最も重要視している記録は、ケア日誌とミーティング記録です。その双方に優先順位の高い全ての記録が、漏れなく記載されるよう二重チェックを行い、全職員が15分前に出勤し、この二つの記録には必ず目を通して、業務に入るよう徹底しています。24時間365日続いている利用者の生活に対して、私たちの仕事は、一日8時間の関わりがあるだけです。私たちのケアは細切れで利用者に提供されますが、利用者の生活は継続したものです。そのことをしっかりと認識することで、利用者の生活支援の視点と、チームケアの視点が明確化されることでしょう。また、最近の取り組みとして、ミーティングで決まった「決め事」を可視化し編纂した「ルールブック」の内容を、少しずつ朝礼時に確認していくことにしています。産業界では、朝の朝礼時にルールの確認を行った結果、職員間の情報共有が促進された事例の報告が数多ありますので、それを参考にさせてもらった次第です。
「�ゥ�ライエントと情報を共有すること」の「クライエント」は小規模多機能型居宅介護(以下「小規模」)の場合、多くは家族を念頭に置いたものとなるでしょう。地域の絆では、広報誌(多い事業所では2カ月に一度の発行)や、運営推進会議の報告、連絡ノートの記録を大切にしています。中でも、連絡ノートの様式は、家族の意見を取り入れ何度も更新し、家族と事業所で作り上げた書式となっています。また、小規模の利用者は、自身が受けたサービス・ケアの内容を家族に伝えることが困難な方が多く、それだけに、連絡ノートの内容を第一に家族は情報収集を行おうとされますし、連絡ノートを通じて、意見や要望を伝えようとされます。地域の絆では、連絡ノートの様式はもちろん、記載のためのマニュアルも作っています。それだけ、この記録は慎重かつ丁寧に記載するべきものであると考えているからです。
「��管理上の課題に対してデーターを提供すること」においては、法人の運営に必要なデーターとして、各事業所管理者より、月報の提出を義務付けています。概ね下記の項目がそれに当たります。�‥佻拭雰戚鵝僕�用者数の増減(月初の利用者数と月末の利用者数及びその増減)、��登録(契約)利用者の利用理由及び登録(契約)解除者の解除理由(理由を正確かつ具体的に明記)、��お試し及び新規登録利用者の紹介事業所一覧(一度でも利用があったケースを対象とし、事業所名と件数を報告する。居宅介護支援事業所、病院、民生委員等)、�い�試し利用者の動向(お試し利用者数と、その内登録《契約》した利用者数の報告)、�チ�迎及び訪問エリアの報告(登録《契約》利用者総数に占める車で10分圏内の利用者数の報告)、��食数集計表(朝食・昼食・夕食それぞれの総数とそれぞれの職員・利用者の食数の報告)、�А峪�故及びひやり・はっと報告 集計表」「さわやか処理(苦情処理) 集計表」(データーベース化目的に集計する)など。目的は、�ヽ謄札鵐拭爾裡吋�月間の動向を法人全職員で把握する。��管理者・主任の管理職としての自覚を促進する。�K/佑留娠沈鑪�・戦術に活かすデーターを抽出・管理する、としています。
私は予ねてから福祉専門職、特に管理的な立場にある者は、連立方程式が解けなければならないと考えています。それは、利用者の権利擁護の視点と、職員の生活を守る視点であったり、利用者の利益最優先の視点と、社会的費用の効率・効果的運用の視点がそれに当たると思われます。とくに、政策の大転換が為されない限りにおいては、このことは避けては通れぬ私たちの責務となります。そのことを、職員に伝えるための教育のツールとしての記録でもあります。
※『新・社会福祉士養成講座7 相談援助の理論と方法�機戞崑�13章 相談援助のための記録の技術」福山和女氏、中央法規。
2010/06/12 12:00:00
地域密着型サービス NPO法人地域の絆における今年度の事業計画では、2010年12月にコミュニティホーム仁伍、2011年3月に地域福祉センター鹿川【仮称】を開設することとしています。
今後本ホームページ・ブログにおいて、それぞれの拠点が開設されるまでの道程を詳しくご紹介していきますので、是非とも小まめにお立ち寄りいただきたく存じます。
第4期福山市介護保険事業計画に基づいた2010年度指定認知症対応型共同生活介護の公募を経て、当法人が指定事業者に選定されました。グループホームの定員は2ユニット18名です。グループホームという名は既に市民権を得ており、「特養」「老健」と同等、いやそれ以上に実態がイメージされやすい言葉となっています。当法人では、敢えてその「グループホーム」という言葉を用いず、「コミュニティホーム」と建物の名を命名することにしました(事業名は「認知症対応型共同生活介護」を使用)。2006年4月より地域密着型サービスが創設され、グループホームもそのカテゴリーに位置付けられました。つまり、住み慣れた地域の中で継続的・包括的な支援を受けるためのサービスとして位置付けられたのです。あくまで私の個人的な心象に過ぎませんが、従来のグループホームケアは、目の前の利用者にどの様なアプローチをするかに焦点化したケアであったと認識しています。しかし、これからのグループホームケアは、利用者の背景には地域があることをしっかりと認識し、その地域をも支援の対象に捉えたケアの実践が求められているのではないかと思うのです。利用者が今まで生活の基盤とされていた地域と、現在の生活を切り離すことなく一体的に支援していく視点を専門職は持つ必要があります。
その様な観点から、敢えて「コミュニティホーム」と名付けた次第です。「コミュニティホーム仁伍」には、グループホーム機能のみならず、地域交流スペース、福祉よろず相談室、研修室、法人本部事務所の機能を有することとなります。建物は、鉄骨3階建てで、1・2階がグループホーム、3階が地域交流スペースとしての料理教室のできる部屋、地域にも開放できる職員研修室、法人本部事務所を設けています。2階にグループホームがあることで災害時利用者の命を守ることができるのか?といったご心配をされる方もいらっしゃるかも知れません。ご安心いただきたいのは、1階のグループホームの浴室・エレベーター・階段部分は半地下になっており、玄関の方角が異なるものの2階からも1階同様に出入りができる構造にしております。詳しくは、今後のホームページ・ブログにてご確認いただければ幸甚です。
私たちがもう一つ大切にしていることは、利用者の社会的役割の創出です。地域福祉の概念にもあるように、高齢者や障害者は「支えられる側」に固定された人たちではなく、環境や立場が変われば「支える側」回ることがあることをしっかりと認識して対人援助を行う必要性を感じています。判断能力が低下した認知症の方であっても、「寝たきり」の状況で意思疎通が困難な利用者であっても、そこには必ずご本人の志があることを認識して援助活動を行うことが自明ではありますが重要です。その営みが、利用者に対する人間としての尊厳を保持した実践に繋がります。
コミュニティホーム仁伍においては、パーソンセンタードケアを第一義とした上で、就労に近い形の活動を模索していく計画を持っています。3階部分において、障害者自立支援法上の児童デイサービスの運営を、専門職と一緒に認知症高齢者が主体的に参画していく実践や、地域住民との協働で朝市の運営に携わっていく実践を計画中です。具体的な実践内容は、状況に応じて変遷していくものと思われますが、大きな方向性については相違ありません。
是非期待を持って、コミュニティホーム仁伍にご注視いただければ幸甚です。
工事が始まる前の風景(もう二度と見ることの出来ない風景です)
奥に見えるのが地域福祉センター仁伍です。相互に自由な出入りが可能です。
手前が二階の玄関で、1階の玄関は地域福祉センター仁伍側につくられます。
2010/05/08 12:00:00
地域密着型サービス コミュニティケアの技術としてのケアマネジメント実践を、小規模多機能型居宅介護(以下「小規模」)が担う素地が整っていることはご理解いただけたかと思います。実は、もう一つ居宅介護支援(以下「居宅」)のケアマネジメントよりも優れた実践がなされるであろう素地があります。それは、利用者を中心としたきめ細やかなサービスの実践が可能となることです。
表2のように、小規模の介護支援専門員は居宅に比べ、「家族とのコミュニケーション量」が多く、「直接ケア」をより多く実践できる素地があります。地域の絆の介護支援専門員は、常時事務所にいるわけではなく、ケアを目的とした訪問や、送迎、通院介助、時には食事介助や、入浴介助等の直接ケアも行っています。その中で、家族との接点も豊富にあります。居宅の介護支援専門員は、規程上では、最低月に一度のモニタリング(訪問)が義務付けられていますが、小規模の介護支援専門員は、月に一度どころか、一週間に一度程度の頻度で、利用者・家族に会う機会があります。直接ケアに携わらず、最低月に一度の訪問をする中で、利用者・家族と接点を持つ介護支援専門員が実践するケアマネジメントと、利用者の直接ケアに携わり、日常的に家族と接点のある介護支援専門員が実践するケアマネジメントにいかなる実践の相違が生まれるのかは容易に想像できるでしょう。
これは、地域の絆の方針ですが、日常的なマネジメントは介護支援専門員がいなくても実践できる取り組みが小規模には求められていると考えます。例えば、通いサービスのお迎えに伺った際、家族より「今日は『通い』の予定なんだけど、『宿泊』をお願出来ないか?」と問われた場合、その場で介護職が即答できるようにしています。居宅のケアマネジメントの場合は、デイサービスのお迎え時、そのように家族から依頼があっても、担当の介護支援専門員に尋ねてみないと即答出来ないはずです。給付単位数等の縛りがあるからです。小規模の場合は、この点は考えずに、利用者のニーズに即答することができます。しかし、これに対して、介護支援専門員に「お伺いを立てること」をルールにしてしまえば、サービスの要所とも言えるきめ細やかで臨機応変な対応が損なわれてしまいます。地域の絆では、その様なことが無いように、月々の計画は介護支援専門員が責任を持って作成しますが、日常的なマネジメントは、介護支援専門員主導のもと、介護職でも担えるように取り組んでいます。
また、ケアマネジメントチーム(ケアマネジメントにおけるサービス提供担当者)における連携についても小規模の方が効率的・効果的に実践される素地があります。そのことによって、緊急的・臨時的にカンファレンス(サービス担当者会議)を開くことが難しくなく、そのスピード感が利用者へのきめ細やかなサービス提供を更に促進させることでしょう。
無論、小規模のケアマネジメントにも課題があります。法人によっては、小規模にケアマネジメント機能があることを強く意識していない場合も見られますし、利用者・家族から、介護支援専門員の役割が見えなくなるリスクも存在します。小規模の場合、ケアマネジメント機能が潜在化していく陥穽があるのです。この点は、特に法人代表者、事業所管理者が強く自覚しなければならない点でしょう。
また、「通い」「訪問」「宿泊」にかかるサービスを自事業所で全て提供しなければなりませんので、職員配置とサービス内容・頻度を相互調整しながらのケアマネジメントが求められます。居宅のケアマネジメントは、この点その地域にサービスさえ存在すれば、頭を抱えることは一切ありませんが、小規模の場合は、利用者ニーズを優先するのか、職員配置を優先さえるのか、常に悩まされるのが現状です。一つ忘れてはならないのは、あくまで相互調整ですから、時には、効率・効果を優先させ、職員配置を基準にケアマネジメントを行うことは憚るべきではありませんが、時には、利用者のニーズに合わせた職員配置を行うことも必要でしょう。実際地域の絆では、職員の早出・日勤・遅出の勤務時間は各事業所まちまちです。これは、事業所ごとの利用者ニーズにあった職員配置を行った結果です。
かてて加えて、介護保険サービス(フォーマルサービス)の多くを自事業所から提供しなければならない小規模においては、ケアマネジメント実践時に、他の介護保険サービス(フォーマルサービス)との連携が希薄化する陥穽もありますので、小規模の介護支援専門員は、地域の住民・商店などのインフォーマルサービスとの連携はもちろん、他の介護保険事業所等のフォーマルサービスとの連携も意図的に行っていく必要性があります。地域にある小規模同士のネットワークづくりも不可欠でしょう。
如上は、あくまで「素地」の話であって、実践において必ずしもそのような取り組みがなされているわけではありません。法人の考え方の違いや、ケアマネジメントを実践する介護支援専門員の専門的能力、地域性によって異なることと推察されます。何分、小規模のケアマネジメントの調査・研究はこれから取り組まれる分野であり、実態把握は進んでおりません(筆者も現在大学にて研究中です)。まずは、二つの優位な「素地」があることを実践者が理解し、優位点を活かした取り組みを実践していただきたいと願います。いずれにせよ、小規模のケアマネジメントは、居宅のそれより、利用者中心で、地域ケアの技術としての本来意味におけるケアマネジメントを担える可能性を秘めていることは間違いありません。