介護保険改正法がこの4月全面施行され、介護保険制度が7年目を迎える。この時期に、この制度を今一度総括する必要性を感じ、今これを書いている。
端的に功罪という形で現状を分析すれば、功として思い浮かぶ点はただ一つ。介護サービスの質の向上、この一点に尽きる。特に、サービス業としての接遇面におけるサービスの質は格段に向上した。これらは、営利法人やNPO法人など多様な事業所の参入が、競争をもたらした結果と言える。この点を評価しつつも、しかし、と本論に入る。
競争によって、得られたものは大きいが、失ったものもまた大きい事に、福祉専門職を含め多くの人々は気づいていないのではないかと思う。それは、地域力である。
事業所間の競争が激しくなると、サービスの質の向上と同時に、営業・広報活動も激しさを増してくる。そして、各事業所職員は利用者のことを「獲得」の対象として見るようになる。一昔前までは、近隣事業所同士和気藹々とした雰囲気の中で、地域の高齢者をお互いに支え合っている感覚が強くあった。しかし、介護保険法施行から6年が経過した現在、そのような感覚はほぼ消滅しつつあるのが現状だ。地域福祉という観点は希薄化され、自身の事業所さえうまく行けば良いといった風潮が強く流れている。
更に問題なのは、「顧客」と化した利用者には、福祉専門職としての自立支援や残存機能の活用といった視点を度外視した、単なる利便性としてのサービスの提供が行われており、結果、本人・家族そして、地域の自立機能・残存機能は低下を来たしている。各事業所は、専門性を度外視した単なるサービス業に成り下がり、サービス利用者も、お金さえ払えば、両親の介護をしなくても良い、便利なサービスを受けられると言った感覚に陥っているように思えてならない。
介護保険制度は、その財源の半分に税金が投入されている。つまり、釈迦の手のひらの上で守られながら商売をしているようなものであり、この点において、介護保険サービスはビジネスには成り得ない。つまりこれは、純然たる市場ではなく明らかな準市場である。これを得意げにビジネスだと言う事業者は多いが、市場で言うとマジに失笑を買う。市場に比べて恩恵を受ける代わりに、地域社会への貢献を行う事が社会福祉事業経営の本質だと私は思う。
競争原理は、個々の能力の引き上げを生み出すが、連携・共同の視点を希釈する。小泉政権下、金科玉条の如く「小さな政府」が叫ばれているが、小さな政府は競争原理を生み出し、連携・共同感を阻害する。大切なのはそのバランス感覚なのだが、そのバランスを取る支点(政府)が、どうも壊れているように思えてならない。
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