地域密着型サービスと銘打たれたサービスを運営する者の避けられぬ使命として、地域密着・地域交流の取り組みがあります。今回は、地域の絆における「地域交流事業」の取り組みについてご報告します。
地域交流事業とは、私が勝手に命名したもので、各センターで年に4回程度のイベント(行事)を開催しています。金子勇氏の「コミュニティ要素モデル」(図1)に周知の通り、イベントはコミュニティ形成における重要な要素と言われています。地域住民がイベント(行事)を開催するためには、まず、準備期間(時間の共有)が必要であり、合わせて、会議等の打ち合わせ(知識や技術、情報の共有)、物の貸し借り(物の共有)、活動の場の調整(空間の共有)等が必要になります。開催日の運営はもちろん、その後の後片付けから、次回に繋げる反省会まで、イベントの大小によって、中身は変わってきますが、イベントの実施には概ね以上の様な取り組みが不可欠です。そして、その過程を通して地域住民の関係性は深まり、地域に対するアイデンティティも醸成されていきます。
イベント開催における第一の効果は、「交流の促進」にあると考えます。その特性を活かして、地域の絆では、�|楼莉嗣韻藩�用者(地域の要介護高齢者)の交流、��地域住民と職員の交流、�C楼莉嗣影瓜里慮鯲�を目的に地域交流事業を運営しています(図2)。各イベントにおける参加者数は概ね150人前後。地域福祉センター仁伍における「キャンプ体験」については、地域の小学生(中高学年)30名程と、大学生ボランティア20名程の参加があります(「キャンプ体験」は、地域住民とセンター職員がボランティア団体を立ち上げて運営)。
イベント開催における手順は概ね以下のように進めます―――
活動開始時期は、イベント開催日の2ヶ月前。まずは、日程を決めていきますが、地域の活動・行事と重ならないように自治会長や公民館長等に事前相談を行います。また、イベントの要旨が地域のニーズに合うものであるのかや、当地域でこのようなイベントの実施が可能かどうかの相談も行います。その後、物品(机や椅子等)はどこから借りるのか、イベントに協力してくださる人、必要な知識・技術を持っている人達の情報を住民との会話の中で集めていきます。集めた情報を元に、地域住民に協力を要請します。戸別訪問や、回覧板、スーパー・コンビニ・ごみステーション・各看板等における貼り紙を通して行います。情報を集める中で、「ワシが、○○さんに頼んでやろう」といった形で、人を介しての協力要請が出来ることも珍しくはありません。
前日と、当日の準備は大掛かりなものになりますので、地域住民のみならず、近隣にある高校・大学の学生ボランティア及び、社会福祉協議会を通して全市的に募集したボランティアの方々に御協力いただきます。
その際に私たちが大事にしていることが2つあります。1つは、交流を促進するためのプロセスを重視すること。具体的には、なるべく地域の力を借りてイベントを運営することです。事業所が大盤振る舞いで備品を買って揃えたり、人員配置をしてイベント運営するのではなく、備品は地域の方や公民館等でお借りし、人手や知識、技術は、地域住民のお力をなるべくお借りして運営するように心がけています。
そうすることで、地域住民のどなたが、何を持っていらっしゃるのか?公民館や集会所にはどんな物品があるのか?餅つきの知識を持っているのはどなたか?大工仕事が得意なのは誰か?といった地域の情報を把握することができますし、誰に力を借りればいいのかの情報を得るために地域住民に相談したり、物品やお力をお借りする過程で、貸し手の住民との交流が促進されていきます。
特に私たちのような地域密着型サービス単独で運営を行っている事業所は、大盤振る舞いする財力も、人的資源も乏しいのが現状です。事業所からの持ち出しも少なく、かつ、地域交流が促進できる。一石二鳥の取り組みであり、苦肉の策でもあります。
それでも人的資源が間に合わないことがありますので、近隣の福祉系大学・短大の学生ボランティアを必ず募集して行います。一つのイベントで平均して10名前後の学生ボランティアの参加があります。これからの社会福祉は、地域支援の視点が不可欠であることを、体験的に学んでもらう、今から5〜10年後の専門職の育成を見込んでの取り組みでもあります。
2つめは、このイベントを通して、各センターの機能や設備、職員のことをしっかりと地域住民に理解していただくことです。コミュニティケアを展開していくに当たって、これからは、地域住民と協働して地域の要援護者のケアを行っていく必要があります。住民と協働するためには、地域のために具体的にどんなことができるのか、どんな機能や、設備を有しているのか、どんな専門性や人柄の職員がいるのか等を地域住民に先ずは理解していただくことが不可欠です。地域のことを「真摯に考えている」、地域のために「汗をかいている」専門職であることを将来的には理解していただかなければ、協働は不可能だと考えます。コミュニティケアの実践に繋ぐことも忘れずに、イベントの運営を行います。
一介護保険事業所が、まちづくりに関与する。大きなテーマに何から手をつけていけばよいのか分からず立ち止っている事業所もあろうかと思います。地域活動の基本は、まずは出来ることから始める。仕掛けながら考える。と考えております。様々な戦略は必要ですが、まず出来ることから、行動を起こしてみてはいかがでしょうか?
例えば、利用者に提供するアクティビティを地域住民の協力のもとに行うことから始めてもいいのではないでしょうか?これからの季節、しめ縄作りや餅つきのご指南を地域住民に依頼してみるのもいいかも知れません。
図1 地域行事とまちづくりの密接な関係
図2 地域の絆の取り組み
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