「利用者を自宅から送り出す家族が近所の目を気にしないで済むように、送迎車に会社のマークを付けるのをやめた」。
定期購読中の医療・介護の雑誌の一文。ある経営者の方の実践を取り上げたものでした。ビジネス業界においては、顧客の満足を第一とするのは自明の理ですので、上記の実践は英断と見受けられるのかも知れません。
しかしながら、福祉専門職としては、些か腑に落ちない点がございます。なぜ、福祉サービスを利用する際に、利用者や家族が「近所の目を気にしな」ければならないのでしょうか。社会福祉における自立とは、「他者からの支援を受けながらの自立」があることは大前提です。誰もが、高齢者になり、認知症になり、また、障害者となる可能性を持っています。そして、そのような状況に陥っても、それは社会全体で支援していくことが保障されています。
その、日本人として当たり前にある「保障」を、人目をはばかりながら甘受しなければならないこと自体が問題なのではないでしょうか。そのような現状が地域社会にあるのであれば、社会福祉専門職として地域住民への理解を促進する取り組みをすることこそが本来の仕事であるはずです。それが、権利擁護であり、ソーシャルアクションへと繋がっていくのだと考えます。
また、社会福祉専門職の取り組みは、地域から利用者を切り取って、焦点化してサービスを提供するのではなく、利用者の背景にある地域と利用者を一体的に捉えて支援することが、共通基盤として求められていますし、そうあるべきであると常に考えております。近視眼的な顧客の満足を追求することで、利用者を地域から切り取って、地域を度外視している現状が、特に介護保険事業者の間では根強くあるのではないでしょうか。自戒の念を込めて、そのように思います。
新しいことに取り組むこと、新しい発想を用いることは、業界の澱みを払拭するためにも、非常に歓迎するべきことであると認識しておりますが、私たちが社会福祉専門職であることは忘れてはならぬ事実でしょう。
如上を整理しますと、社会福祉専門職として、下記の二点から、ステッカーを外すことには反対致します。
�〕�用者の権利擁護の視点から、地域社会の偏見をなくすことが必要であること。
�⇒�用者の背景にある地域と利用者を一体的に捉えて支援することが、社会福祉実践者の共通基盤であること。
その意味においては、むしろ、大々的に強調するべきものなのかもしれませんね。
経済学的にいえば、市場ではなく、明らかな準市場の領域で私たちは実践しています。そこに求められるものは、事業性はもちろんのことですが、社会性ではないでしょうか。
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