今回は、「通い」「訪問」「宿泊」の定義と、その調整方法についてご一緒に考えてみたいと思います。例えば、行政指導の場や、運営推進会議の場、国保連合会への請求業務、また、ご利用者への請求書の作成場面において、「通い」「訪問」「宿泊」の回数を把握しておくことが必要となります。その際に、それぞれの定義が曖昧であるがゆえに、回数の把握に、迷いや混乱を抱えていらっしゃる方も多いのではないかと思います。地域の絆でも、当初は迷っていましたし、同じ法人でも、事業所によって微妙に定義が異なっていたため、例えば、「訪問」回数の事業所間格差が見られるといったこともありました。地域の絆での実践の中で、厚生労働省や市町村への確認等を通して一定の整理が出来ましたので、少しお示ししてみます。
いつかお話しした通り、解釈通知や省令などにそれらの定義の詳しい表記は見受けられません。一つは、雁字搦めに定義化してしまうと、臨機応変性を阻害してしまうため、小規模多機能型居宅介護の良さが損なわれてしまうので、裁量権を事業所側に委ねている側面があるのではないかと推測されます。しかしながら、事業所としては報告義務がありますし、自身の取り組みを評価していくためにも、一定の定義の存在が不可欠となります。基本的な考え方は、事業所内のサービスは「通い」と「訪問」しかないという事です。そして、その境界線は、運営規程に明記されている「通い」のサービス営業時間に依ると言われています。つまり、通いサービスの営業時間が延長を含めて、9:00〜19:00であった場合、それ以外の時間帯が「宿泊」となります。このルールに則ると、20:00〜22:00の間だけ、事業所でサービスを受けられた方は、「宿泊」サービスを受けたことになります。
事業所によっては、「通い」の延長時間を運営規程に明記していない所も見受けられますので、その場合は例えば、9:00〜16:00が「通い」で、それ以外は「宿泊」となるわけです。では、9:00〜20:00までご利用者がおられた場合は、「通い」+「宿泊」となるのかと言えば、このような場合は、「通い」の延長と見なすことができるので、「通い」のみカウントするとのことです。細部に関しては、居宅サービス計画における位置づけと、サービス全体の構成を見て判断することが求められます。
「訪問」に関して言えば、通院乗降介助は、小規模多機能型居宅介護で対応するべきか否か?で議論が分かれている自治体も未だ多く見受けられます。家族からの求めに応じて対応しなければならないのか?対応するべきか?判断に迷うことも多いのではないかと思います。厚生労働省の見解は、通院乗降介助は、小規模多機能型居宅介護のサービスには含まれないとしているそうです。つまり、介護報酬とは別に、自主事業として、ご利用者から別途料金を頂いて実施しても差し支えないのですが、その際には、タクシーの陸運局の許可が必要となるという事です。つまり、してはいけないというのが、本来の姿なのでしょう。自治体の中には、小規模多機能型居宅介護で、通院乗降介助を対応するように指導している所もあるようですが、「サービスの一環として、やりなさいというのは行き過ぎ」だと、厚生労働省の担当者も言われておりました。無論、緊急性のある場合は、小規模多機能型居宅介護事業所でも、対応するべきであるのは言うまでもありません。
また、「通い」サービス中の買物は、「訪問」に算定できるのか?や、計画作成担当者が「訪問」に行った場合は算定可能か?といった質問をよく耳にします。厚生労働省の担当者に質問した際は、介護員が自宅に行って、(安否確認を含めて)何らかのサービスを提供した場合、「訪問」サービスに算定できると回答がありました。つまり、計画作成担当者が、計画作成担当者として訪問した際は、「訪問」には算定でいないこととなります。「通い」時間中の買物は、「訪問」ではなく、「通い」のみの扱いとなると聞いております。
私たちが一番悩んだケースは、「通い」のお迎えにうかがった際、おむつ交換と更衣介助を行って送迎車に乗車して頂いた際、「訪問」と「通い」が両方算定できるのか?といったことですが、通所介護と訪問介護の関係では、双方の算定が可能なはずですから、小規模多機能型居宅介護においても、「訪問」と「通い」双方の算定が可能だと思っていましたが、厚生労働省の担当者からこのように言われました。「居宅サービス計画上に『訪問』と『通い』の位置づけが明確になされていれば、双方の算定は可能であるが、『通い』のお迎えが他にもある場合、1人のご利用者に30分ずつ時間をかけてお迎えに回ることはよろしくない。基本的には、そのような対応の必要な方は別便でお迎えにあがるべきではないか」と御尤もなご意見を頂きました。
詳細部分の線引きはやはり物理的にも不可能なので、居宅サービス計画上の位置づけで調整するしかないようです。2009年4月より、「サービス提供が過少である場合の減算」の設定がなされました。「通い」「訪問」「宿泊」におけるご利用者1人当たりの平均回数が、週4回に満たない場合は、減算の対象とされます。そのような観点からも、それぞれの定義について正しい理解をすることと、居宅サービス計画において、ご利用者の生活全体を支援する上で真に必要な、サービスを位置づけていく必要があるのです。
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