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NPO法人 地域の絆

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中島康晴

地域の絆 代表理事 中島康晴

NPO法人 地域の寄り合い所 また明日(東京都小金井市) 訪問

2010/04/01 12:00:00  社会福祉
NPO法人 地域の寄り合い所 また明日 の森田ご夫妻。夜は大変おいしい焼鳥屋さんに案内していただきました。広島へのお越しを心よりお待ちしております。有難うございました。
 「認知症でもだいじょうぶ」町づくりキャンペーン2009(事務局 社会福祉法人浴風会認知症介護研究・研修東京センター)において「町づくり2009モデル」に選定・表彰された法人です。管理者の森田和道さんと代表理事の森田眞希さんはご夫婦です。高齢者・子ども・地域に対する高い志を胸に紆余曲折を経て2006年頃に現在の法人を立ち上げられたそうです。地域の絆とほぼ「同級生」の法人ですね。無論森田夫妻の実践は、私の個人的な実践よりも歴史が長く、「NPO法人 地域の寄り合い所 また明日」の前身の法人も運営されていたので、個人的には大先輩に当たります。
 森田さんご夫婦の実践を東京でお聞きした際、同じ志を持つ者の“匂い”がしました。それは、とっても良い香りなんです。この度お会いし、お話しをさせていただく中、やはり「同志」であることを実感致しました。私は「出逢い」とは、お互いに発した意見や、雰囲気がお互いを引きつけて巡り逢せるものだと認識していますが、ここにも確かな「出逢い」がありました。
 経済至上主義の中で、効率化と生産性が最重要視される中、見落とされてきた能力があります。そして、認知症高齢者や、児童、障害者の本来ある能力も同時に黙殺されてきたのではないでしょうか?
 「認可外保育施設虹のおうち」に通ってくる子どもの母親が、認知症デイサービスの利用者から「いつも頑張って、エライね」「いつも大変だねぇ」と声をかけられることで、ホッとする・元気づけられることがある。森田和道さんはそう教えて下さいました。私は思ったのですが、私たちが日々の生活や、忙しさの中で忘れてしまったものがここにあるのではないでしょうか。頑張ることが当然だと毎日汗をかいて私たちは頑張っていますが、他人に労をねぎらうこと即ち、気配り・思いやり・気遣いの大切さを忘れてしまっているのではないでしょうか。そして、そのような思いを声に出して相手に伝えることに気恥ずかしさを覚えており、思っていても中々口に出せないでいるのかも知れません。私たちよりも、確かに優れた能力がここにあります。
 また訪問中に、職員さんの誘いに中々応じない腰の重たい高齢者の方が、ゼロ歳児を自発的に追いかける姿を目の当たりにし、ここにも私たちには太刀打ちできない子どもの能力があるな、と感じました。
 高齢者・障害者・児童には、表面化していない隠された能力が沢山あります。それをひとつ一つ可視化していくことが、これからの私の専門職としての課題でもあります。そのことを通して、既存の能力の測り方に疑問を投げかけていく、延いては、私たちの生き方そのものの在り方を問うていく、そんなことを考えています。効率性と生産性を至上とした就労の在り方を続けている限り、障害者の就労支援は成し得ないと私は考えています。そこでは、私たちの就労の在り方自体が問われているのだと思っています。障害者の就労支援を真摯に突き詰めると、今現在の私たちの就労の在り方を変革していく必要性が生じるのではないでしょうか?効率性・生産性を第一義とした就労から、思いやり・支え合い・生活の質を重視した就労へと変遷していくことが望まれるのではないでしょうか?そもそも、人の能力を測るモノサシは、何千・何万もあると私は思っています。それを、生産性と効率化といったたった一本のモノサシでしか測っていないのが、現下の社会であるようです。多様なモノサシの中から、一本のモノサシを取り出し、それで全てを推し量ってしまう。このような社会では、個性の画一化が進み、他者を認め合う意識が希薄化してしまいます。社会福祉とは、利用者の側から世の中を見定め、社会を変えていくことがその役割であると端的に考えています。実はそのことが、利用者のみならず、全ての市民にとっての有益な社会構築へと繋がるはずです。
 少し迂遠してしまいましたが、そこに多様な能力があることをしっかりと見据え、「地域の寄り合い所」は運営されていました。また、専門職にはない能力を高齢者や子どもたちは持っていて、専門職には成し得ない支え合いがそこで生まれていました。
 そのような状況を目の当たりにし、森田和道さんに思わず問いかけてしまいました。「介護専門職の専門性って、極めれば極めるほど、利用者をダメにしてしまう側面がありますよね?実は専門性を特化させることに、若干の疑問を持っているんです」。それに対しての森田氏の答えは明確でした。「私たちは介護の専門職である前に、福祉の専門職であると思うのです。問題なのは、福祉の専門性が高まっていなことではないでしょうか」。そうです、ソーシャルワークの専門性。それが不可欠であると森田氏は語って下さいました。介護福祉士やケアワーカーにも、当然ケアマネジャーにも、ソーシャルワークの専門性が不可欠です。それが浸透せずに、利用者にだけ焦点化したアンバランスな支援の状況があることが問題なのでしょう。利用者の周囲には、家族が、地域が、社会があります。そのことの調整・介入にも私たちは関わっていく必要性がありますが、多くの専門職はそうではない現状が目の前の課題としてあるわけです。
 「地域の寄り合い」は、自然発生的に、非専門的に出来上がった法人では断じてありません。そこには社会福祉の専門性、ソーシャルワークの視点を持った経営者が、見事なコーディネート力を発揮し、地域のニーズや人と人とを紡ぎ合わせてきたからこそ成し得た実践でした。実際問題として、森田夫妻の志に、私自身忘れていた何かが引き出された感覚を覚えたのも事実です。森田夫妻の実践に深く感銘を受けました。貴重な経験を有難うございました。再会を是非とも楽しみにしております。今度は広島にお越しいただけることとなっております。感謝。感謝。
 これからの福祉専門職に強く求められるのは、ネットワーキングやコーディネーションの力なのかも知れません。
 それでは皆さん、また明日。

小金井市の枝垂桜

町中の至る所に桜の木がある素敵な地域です。

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中島康晴 特定非営利活動法人 地域の絆 代表理事
1973年10月6日生まれ。大学では、八木晃介先生(花園大学教授・元毎日新聞記者)の下、社会学を中心に社会福祉学を学ぶ。巷で言われる「常識」「普通」に対しては、いつも猜疑心を持っている。1億2千万人の客観性などあり得ない事実を鑑みると、「普通」や「常識」は誰にとってのそれであるのか、常に思いを巡らせておく必要性を感じる。いわゆる少数派の側から常に社会を捉え、社会の変化を促すことが、実は誰もが自分らしく安心して暮らせる社会の構築に繋がると信じている。
主な職歴は、デイサービスセンター生活相談員、老人保健施設介護職リーダー、デイサービス・グループホーム管理者。福祉専門職がまちづくりに関与していく実践の必要性を感じ、2006年2月20日特定非営利活動法人地域の絆を設立。学生時代に参加した市民運動「市民の絆」の名前をヒントに命名。
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