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NPO法人 地域の絆

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中島康晴

地域の絆 代表理事 中島康晴

『小規模多機能型居宅介護におけるケアマネジメント』��

2010/05/01 12:00:00  地域密着型サービス
小規模多機能型居宅介護のケアマネジメントには、利用者本位で、地域ケアの技術として機能する素地があるのです。
 今回は小規模多機能型居宅介護におけるケアマネジメントのあり方について、ご一緒に考えてみたいと思います。小規模多機能型居宅介護では、大きく2つの援助計画の作成が求められています(居宅サービス計画・小規模多機能型居宅介護計画)。このうち、小規模多機能型居宅介護計画は、個別援助計画に該当するものですから、ここでは、居宅サービス計画を作成するための考え方や方法論についてお話します。
 ケアマネジメントや居宅サービス計画に代表され、最もイメージされ易い事業所・職種は、居宅介護支援におけるケアマネジャー(介護支援専門員)でしょう。そして、小規模多機能型居宅介護におけるケアマネジメントの在り方に関しても、居宅介護支援ケアマネジメントの「具体的取組方針に沿って行うものとする」(厚生労働省令第34号第74条2項)とされています。つまり、厚生労働省令を読む限りにおいては、居宅介護支援と、小規模多機能型居宅介護のケアマネジメントは、同一かそれに限りなく近いものであることが規定されていることになります。しかしながら、例えば、各市町村の実地指導においてはこの辺りの認識に若干の誤差があるようです。つまり、限りなく同一視するのか、準じたものと捉えて若干の差異を認めるのか、見解が分かれているようにも見受けられます。
 それもそのはず、小規模多機能型居宅介護と居宅介護支援におけるケアマネジメントには、多くの条件的相違があります(表1)。まず、ケアマネジメントの質を推し量る一つの指標となり得るケアマネジャー一人当たりの利用者数(担当件数)は、居宅介護支援に多く、小規模多機能型居宅介護に少なくなる設定になっています。ケアマネジメントに対する報酬は、居宅介護支援の場合はご周知の通り、1件につき単価設定がなされており出来高制、小規模多機能型居宅介護の場合は、小規模多機能型居宅介護費に含まれているという考え方なので、定額制といった考え方ができます。そのことで、小規模多機能型居宅介護のケアマネジメントは、より柔軟な運用方法が可能であると理解できます。また、「サービスシステムとケアマネジャーの関係」については、居宅介護支援の場合、外部の事業所サービスを使うことが原則となっていますが、小規模多機能型居宅介護では、特定の介護保険サービス以外は、すべて自事業所の職員で対応することが求められてきます。
 このことから、居宅介護支援では、地域の住民や商店等、インフォーマル(非公的・非専門的)な社会資源を活用することに事業所としてのメリットがほとんど無く、逆に、小規模多機能型居宅介護においては、インフォーマルな社会資源を活用することに事業所としてのメリットを見出すことが出来ると言えます。居宅介護支援においては、ケアマネジメントは一件当たりの出来高制であり、その一件の最低成立要件は、給付管理を行うことであり、介護保険上のサービスを居宅サービス計画に位置付けた場合にのみ算定が可能となります。つまり、インフォーマルなサービスをいくら多く計画に位置付けても、介護保険上の給付管理の対象となるサービスを位置付けない限り、無報酬となる訳です。であれば、事業所として何のメリットもない(しかし、利用者にとってはメリットがあるが)インフォーマルなサービスを発掘・開発する行動は取りづらくなります。また、外部サービスたる多くのフォーマルサービスを活用していくことに、事業所としてのデメリットは生じません。小規模多機能型居宅介護の場合はむしろ、介護保険サービス等、フォーマル(公的・専門的)なサービスの方に制限があり、地域の住民や商店の力を借りて利用者の支援をすることで、自事業所・職員の負担軽減に繋がるという恩恵を受けることが出来るのです。
 地域の絆では、お独り暮らしのご利用者の見守り、庭の草取り、ゴミ出し、散歩支援、お話し相手等を地域住民の力を借りて実施した実績があります。そのことで、職員の労力は軽減され、介護保険制度上では中々応えることの出来ない利用者のニーズに対応することが出来ました。
 そもそも、ケアマネジメントとは、何を意味するのでしょうか?そのことを鑑みたとき、どちらのケアマネジメントが、本来意味すべきケアマネジメントの実践により近いのでしょうか?橋本泰子氏による定義を引用してみます―――「ケアマネジメントとは、複合的なサービスニーズをもつ利用者が、安全で安定した自分らしい日常生活を自宅で長期的に維持できるよう、利用者一人ひとりのためのケア態勢をマネジメントする地域ケアの技術である」※。
 掲載中何度か叙述しましたが、地域密着型サービスの目的はコミュニティ(地域)ケアの実践であることを考えると、まさに、小規模多機能型居宅介護におけるケアマネジメントこそが、本来意味でのケアマネジメントにより近いものであることが理解されます。少なくとも、そのための素地が整っていると言えます。つまり、利用者のきめ細やかなニーズに応えるためには、制度上のフォーマルなサービスを調整するだけでは対応困難であり、地域の住民や商店の細密な力をも一緒に調整していくことで達成されていくのだという視点を、小規模多機能型居宅介護事業所は持つべきでしょう。それが、「地域ケアの技術」としてのケアマネジメントの取り組みに繋がります。そして、そのことで、見守り頻度のより高い、手厚い介護を必要とする独居高齢者や、高齢者のみの夫婦世帯の方の利用(登録)が可能となり、事業所の負担も軽減する。結果、事業所の経営も楽になる。そのような視点をもって、ケアマネジメント実践を行ってみては如何でしょうか。

※『新版社会福祉士養成講座9 社会福祉援助技術論�供‖�4版』「第9章 ケアマネジメントによる直接援助」橋本泰子氏、中央法規。

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中島康晴 特定非営利活動法人 地域の絆 代表理事
1973年10月6日生まれ。大学では、八木晃介先生(花園大学教授・元毎日新聞記者)の下、社会学を中心に社会福祉学を学ぶ。巷で言われる「常識」「普通」に対しては、いつも猜疑心を持っている。1億2千万人の客観性などあり得ない事実を鑑みると、「普通」や「常識」は誰にとってのそれであるのか、常に思いを巡らせておく必要性を感じる。いわゆる少数派の側から常に社会を捉え、社会の変化を促すことが、実は誰もが自分らしく安心して暮らせる社会の構築に繋がると信じている。
主な職歴は、デイサービスセンター生活相談員、老人保健施設介護職リーダー、デイサービス・グループホーム管理者。福祉専門職がまちづくりに関与していく実践の必要性を感じ、2006年2月20日特定非営利活動法人地域の絆を設立。学生時代に参加した市民運動「市民の絆」の名前をヒントに命名。
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