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NPO法人 地域の絆

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中島康晴

地域の絆 代表理事 中島康晴

『小規模多機能型居宅介護におけるケアマネジメント』��

2010/05/08 12:00:00  地域密着型サービス
他分野のケアマネジメントの在り方と対比することで、様々な観点が見えてきます。実践研究における比較対照は重要ですね。
 コミュニティケアの技術としてのケアマネジメント実践を、小規模多機能型居宅介護(以下「小規模」)が担う素地が整っていることはご理解いただけたかと思います。実は、もう一つ居宅介護支援(以下「居宅」)のケアマネジメントよりも優れた実践がなされるであろう素地があります。それは、利用者を中心としたきめ細やかなサービスの実践が可能となることです。
 表2のように、小規模の介護支援専門員は居宅に比べ、「家族とのコミュニケーション量」が多く、「直接ケア」をより多く実践できる素地があります。地域の絆の介護支援専門員は、常時事務所にいるわけではなく、ケアを目的とした訪問や、送迎、通院介助、時には食事介助や、入浴介助等の直接ケアも行っています。その中で、家族との接点も豊富にあります。居宅の介護支援専門員は、規程上では、最低月に一度のモニタリング(訪問)が義務付けられていますが、小規模の介護支援専門員は、月に一度どころか、一週間に一度程度の頻度で、利用者・家族に会う機会があります。直接ケアに携わらず、最低月に一度の訪問をする中で、利用者・家族と接点を持つ介護支援専門員が実践するケアマネジメントと、利用者の直接ケアに携わり、日常的に家族と接点のある介護支援専門員が実践するケアマネジメントにいかなる実践の相違が生まれるのかは容易に想像できるでしょう。
 これは、地域の絆の方針ですが、日常的なマネジメントは介護支援専門員がいなくても実践できる取り組みが小規模には求められていると考えます。例えば、通いサービスのお迎えに伺った際、家族より「今日は『通い』の予定なんだけど、『宿泊』をお願出来ないか?」と問われた場合、その場で介護職が即答できるようにしています。居宅のケアマネジメントの場合は、デイサービスのお迎え時、そのように家族から依頼があっても、担当の介護支援専門員に尋ねてみないと即答出来ないはずです。給付単位数等の縛りがあるからです。小規模の場合は、この点は考えずに、利用者のニーズに即答することができます。しかし、これに対して、介護支援専門員に「お伺いを立てること」をルールにしてしまえば、サービスの要所とも言えるきめ細やかで臨機応変な対応が損なわれてしまいます。地域の絆では、その様なことが無いように、月々の計画は介護支援専門員が責任を持って作成しますが、日常的なマネジメントは、介護支援専門員主導のもと、介護職でも担えるように取り組んでいます。
 また、ケアマネジメントチーム(ケアマネジメントにおけるサービス提供担当者)における連携についても小規模の方が効率的・効果的に実践される素地があります。そのことによって、緊急的・臨時的にカンファレンス(サービス担当者会議)を開くことが難しくなく、そのスピード感が利用者へのきめ細やかなサービス提供を更に促進させることでしょう。
 無論、小規模のケアマネジメントにも課題があります。法人によっては、小規模にケアマネジメント機能があることを強く意識していない場合も見られますし、利用者・家族から、介護支援専門員の役割が見えなくなるリスクも存在します。小規模の場合、ケアマネジメント機能が潜在化していく陥穽があるのです。この点は、特に法人代表者、事業所管理者が強く自覚しなければならない点でしょう。
 また、「通い」「訪問」「宿泊」にかかるサービスを自事業所で全て提供しなければなりませんので、職員配置とサービス内容・頻度を相互調整しながらのケアマネジメントが求められます。居宅のケアマネジメントは、この点その地域にサービスさえ存在すれば、頭を抱えることは一切ありませんが、小規模の場合は、利用者ニーズを優先するのか、職員配置を優先さえるのか、常に悩まされるのが現状です。一つ忘れてはならないのは、あくまで相互調整ですから、時には、効率・効果を優先させ、職員配置を基準にケアマネジメントを行うことは憚るべきではありませんが、時には、利用者のニーズに合わせた職員配置を行うことも必要でしょう。実際地域の絆では、職員の早出・日勤・遅出の勤務時間は各事業所まちまちです。これは、事業所ごとの利用者ニーズにあった職員配置を行った結果です。
 かてて加えて、介護保険サービス(フォーマルサービス)の多くを自事業所から提供しなければならない小規模においては、ケアマネジメント実践時に、他の介護保険サービス(フォーマルサービス)との連携が希薄化する陥穽もありますので、小規模の介護支援専門員は、地域の住民・商店などのインフォーマルサービスとの連携はもちろん、他の介護保険事業所等のフォーマルサービスとの連携も意図的に行っていく必要性があります。地域にある小規模同士のネットワークづくりも不可欠でしょう。
 如上は、あくまで「素地」の話であって、実践において必ずしもそのような取り組みがなされているわけではありません。法人の考え方の違いや、ケアマネジメントを実践する介護支援専門員の専門的能力、地域性によって異なることと推察されます。何分、小規模のケアマネジメントの調査・研究はこれから取り組まれる分野であり、実態把握は進んでおりません(筆者も現在大学にて研究中です)。まずは、二つの優位な「素地」があることを実践者が理解し、優位点を活かした取り組みを実践していただきたいと願います。いずれにせよ、小規模のケアマネジメントは、居宅のそれより、利用者中心で、地域ケアの技術としての本来意味におけるケアマネジメントを担える可能性を秘めていることは間違いありません。

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中島康晴 特定非営利活動法人 地域の絆 代表理事
1973年10月6日生まれ。大学では、八木晃介先生(花園大学教授・元毎日新聞記者)の下、社会学を中心に社会福祉学を学ぶ。巷で言われる「常識」「普通」に対しては、いつも猜疑心を持っている。1億2千万人の客観性などあり得ない事実を鑑みると、「普通」や「常識」は誰にとってのそれであるのか、常に思いを巡らせておく必要性を感じる。いわゆる少数派の側から常に社会を捉え、社会の変化を促すことが、実は誰もが自分らしく安心して暮らせる社会の構築に繋がると信じている。
主な職歴は、デイサービスセンター生活相談員、老人保健施設介護職リーダー、デイサービス・グループホーム管理者。福祉専門職がまちづくりに関与していく実践の必要性を感じ、2006年2月20日特定非営利活動法人地域の絆を設立。学生時代に参加した市民運動「市民の絆」の名前をヒントに命名。
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