『まちづくりに繋がるコミュニティケアの実践� �
「地域の絆」における小規模多機能ケアの実践は、「コミュニティケア」・「コミュニティワーク」・「地域密着・交流」の3つの要素を一体的・有機的に機能させたものである旨前回ご紹介しました。
今回より数回にわたって、まずは「コミュニティケア」の実践について掘り下げて説明してみたいと思います。専門書や教科書では、「コミュニティケア」は二つの要素で書かれていることが多いのではないかと認識しています。�,△蕕罎訝楼茲亮匆饂餮擦魍萢僂靴突�用者のケアに当たること、��対象者を限定しないケアであること。�,埜世Α崋匆饂餮察廚箸蓮⇒�用者の皮膚の外にあるあらゆる(物理的・心理的・社会的な)ものと私たちは理解しています。即ち、フォーマル(公的・専門的)・インフォーマル(非公的・非専門的)如何に関わらずあらゆる社会資源を活用して、利用者支援を実践することを指しています。�△任蓮�介護保険の事業所として、高齢者の相談やケアにしか応じない実践ではなく、高齢者以外のあらゆる生活課題を抱えていらっしゃる方の相談やケアのニーズに、出来得る限り応えていく必要性が示唆されています。巷で、注目を集めている「共生型介護」などがこれに該当します。また、コミュニティケアは在宅ケアに特有のものではなく、施設ケアもコミュニティケアを意図して実践するべきであると認識しています。施設ケアも在宅ケアも、共に地域の中でなされるケアであることには変わりありません。
「地域の絆」では、図1のようにコミュニティケアの実践定義を行い、これを各事業所に掲示し、全職員が共通認識の下日々の実践に努めています。専門職とは自らの実践が言語化できる人であり、チームケアではそれを共通認識できる集団構成が求められるからです。
「地域の絆」ではまず、主たる対象とする「地域」を定義化しています。図2にあるように、本来地域には様々な圏域が存在します。その中のどの圏域を自らの実践地域とするのか、そのことに対する共通理解なくして、コミュニティケアの実践はなされません。「本来」と書いたように、従来はこのような認識が希薄化した中で、地域福祉活動が実践されてきたのではないかと自戒の念を含め認識しております。私たちは、まちづくり拠点としての小規模多機能型居宅介護(以下「小規模」)が対象とする地域を自治会及び小学校区圏内と定めています。一人の利用者を専門職と地域住民が協働で支援していくことを鑑みると、お互い常に顔の見える関係性が不可欠ですから、その圏域の設定は自治会が基盤となるはずです。コミュニティケアを実践する前にまずは、どの地域を主たる対象地域とするのか、事業所内での共通認識が不可欠です。
次に、これからの社会福祉実践は、「支えられる側」の人たちも環境や立場が変われば「支える側」に回ることがあることを常に認識しておく必要性があると思われます。目の前の利用者に対しても、まだまだ残された・隠れた能力が数多あることを認識しながら援助活動を展開する必要があるのです。「地域の絆」では、精神障害者・発達障害者・不登校児童・触法少年・要支援者・要介護者のボランティア活動の受け入れを行っています。
「地域の絆」の各事業所では、社会福祉士事務所や福祉よろず相談室を設置しており、高齢者分野に関わらずあらゆる分野の福祉相談を受け付けています。相談料は無料としておりますが、その分、インテーク(受理・初回面接)程度の相談しか受け付けないことを援助条件としています。地域住民が福祉課題を抱えた際、とにかく相談に来ていただければ援助の方向性を示し、適切な関係機関に繋いでいくことを第一義としています。無論、その場のワンポイントアドバイスで解決する相談もあります。実際の受付頻度は、事業所ごとに月に3件程度となっています。相談に来られる方の約半数は、地域包括支援センターや、障害分野の相談機関の職員さんからであり、制度の狭間で対応に苦慮しているケースが殆どです。残りの半数は、地域住民からの直接相談です。そのような相談を受け付けていく過程の中で、家庭裁判所の調査官より、触法少年・少女のボランティアの受け入れ依頼が来たり、近隣の精神障害者・発達障害者作業所より、就労訓練を目的としたボランティア活動の受け入れ打診があったり、不登校児童のボランティアの受け入れを両親から依頼されたり等、地域の様々な課題情報が集まってくると同時に、地域におけるネットワークの構築がなされています。高齢者に限定しない相談窓口を設けることで、地域のネットワーク拠点を担うことができるのです。
「小規模」利用者に対するサービス・ケアの質をしっかりと担保できる範囲において、如上のニーズに応える形で、対象を高齢者に限定しないケアの実践を行っています。
また、利用者支援を行う姿を地域住民に隠さないことを私たちは大切にしています。むしろ、汗を流しながら地域の中で利用者を支援しているその姿を積極的に地域住民に見せていく、利用者の生活を地域住民に知ってもらえる実践を行っています。全国で400万人を目標に認知症サポーターの養成推進が謳われていますが、いくら知識を伝達しても、利用者に対する偏見は大きくは減少しないものと思われます。大切なのは、実際に、身近に住んでいらっしゃる認知症の方の生活に触れることが、一番の意識変革に繋がるものと考えます。ですので、私たちの実践を地域住民に積極的に見ていただくことで、それが利用者に対する偏見の減少及び理解・協力の向上に繋がり、延いては地域の福祉教育を担うことにもなるのです。
「グループホームや小規模多機能型居宅介護の指導に関して必要な認知症ケアにかかる共同生活の意味・重要性や地域連携の視点を加えるなど、現行の実地指導マニュアルの見直しを行っているところ」※2と厚労省も検討項目に挙げているように、今後更に、「小規模」の地域との関係は、名実ともに求められることとなります。今の段階から、利用者を地域から切り離したケアではなく、地域の中で支えるケアとしてのコミュニティケアの視点を持っておくことが要諦です。
※1図2 厚生労働省 社会・援護局「これからの地域福祉のあり方に関する研究会報告書」2008年3月31日
※2厚生労働省老健局「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料」2010年3月5日
地域活動を実践する前に、組織内における対象地域の設定を!!
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