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NPO法人 地域の絆

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中島康晴

地域の絆 代表理事 中島康晴

『まちづくりとしての小規模多機能ケア』

2010/12/23 12:00:00  地域密着型サービス

『まちづくりに繋がるコミュニティケアの実践�ぁ�

最新版 地域の絆におけるコミュニティケアの定義
 前々回よりコミュニティケアの具体的実践例をお示しした上で、その在り方を模索する作業を行っています。前回までは特にコミュニティケアの技術としてのケアマネジメントを通した実践についてお話してきました。地域住民・商店・ボランティアを巻き込んだ利用者支援の実践です。この点について一つだけ補足しておきます。現実的には、インフォーマルな社会資源へのアプローチに敷居の高さを感じている方も多いのではないでしょうか。本ブログでご紹介した2事例では、発掘・開発に成功した社会資源のみを挙げていますが、水面下では、門前払いを受けたことや、度外視されたこと、冷や水を浴びせられたことも多々ありました。私たちの経験則上では、約50%の成功率です。この数字を高いと思われるか低いと思われるのかは皆様方次第ですが、少なくとも声をかければ2人に1人が協力して下さっていることを実感しています。そしてこれらの実践は、私たち専門職から声をかけない限り生まれることはありませんでした。その意味において、コミュニティケア実践の第一歩は、「声をかけることから始める」と言えるかも知れません。まさに、地域住民の家の扉を一つずつノックしていくことから始まると言えます。扉の向こう側には、他者の生活に関心を持たない住民が住んでいるかも知れませんし、誰かの役に立ちたいとウズウズしている住民がいるかも知れません。確率は決して低くはないにもかかわらず、私たち専門職は声をかける前から、「どうせ・・・」と、諦めているのではないでしょうか?専門職だけの力では利用者の生活支援が成し得ないこと認識し、地域住民へのアプローチを決して諦めない実践が今求められています。そして、その実践は確実に利用者の生活の質を高めることでしょう。協力してくださる地域住民はあなたの傍に必ずいます。成功体験を積み上げることで、地域の強みを引き出し、利用者が安心して暮らせるまちづくりに寄与していただければと願っています。

 ここからは、ケアマネジメントに依らないコミュニティケアの在り方を考えていきます。2006年1月に長崎県大村市のグループホーム、2009年3月に群馬県渋川市の老人ホーム、そして本年3月に札幌市北区のグループホームで火災が発生し、多くの利用者が命を落としました。防火・消火における環境設備や避難経路の確保等、ハード面による対策は欠かせませんが、職員のみによる消火活動・避難誘導には限界があるのではないでしょうか。特に夜間における対応は非常な困難を伴います。必要なハード面の整備を基調としながらも、災害時には地域住民からの協力が不可欠であると認識しているのです。「地域の絆」では、自治会の防災訓練時に、事業所の防災訓練を開催し、事業所における災害時の状況を地域住民に理解していただけるよう努めています。消火器を使った消火訓練では、事業所利用者・職員も参加させて頂きます。この様な関係を積み上げていくことで、当事業所に災害ある時、何人かの地域住民は駆けつけて下さるのではないかと淡い期待を持っているのです。事実、緊急連絡簿をいくら整備していても、職員が駆けつけるよりも早く駆けつけることができるのが地域住民ですので、この点は是非協力を要請したいところです。自治会との同時・協働訓練を開催するために、私たちは運営推進会議の場を活用しました。実は直接依頼をかけた際、ある地域においてはあまり良い返事を頂くことが出来ませんでした。そこで、再度運営推進会議の場で、事業所の現状を切に説明し、了承に漕ぎ着けることが出来たのです。運営推進会議の場には、地域住民のみならず、利用者・家族・行政職員・地域包括支援センター職員・その他専門職が同席しています。その場で、依頼をかけると地域住民は断りにくい傾向にあるようです。少し姑息な手と思われるかも知れませんが、よく考えてみて下さい、地域密着型サービスは専ら日常生活圏域内の利用者にサービスを提供する類型です。地域住民もいずれ私たちの事業所の利用者となる可能性が高いわけですから、今のうちにしっかりと意見交換を行い共により良い事業所づくりを担っていただかなければなりません。それこそが、住民自治の実践に繋がっていくはずです。

 事業所における緊急時は、災害に限った事ではありません。例えば、「無断外出」「離設」等の「徘徊」も時間の経過とともに、利用者の生命をも脅かす緊急性を持っています。警察庁の調べては、「徘徊」によって年間905人の方が行方不明のままか、その死亡が確認されています(2004年データー)※。「地域の絆」のある事業所では、ご家族の同意を得た上で、自治会の総会の場で、「徘徊」により行方不明になるリスクの高い利用者の情報を公開し、利用者を見かけた方に事業所まで連絡をしていただく等の依頼を行いました。ただ単に、「徘徊」される利用者に困っているといったメッセージが伝わらない様、「徘徊」には無目的に歩き回るといった意味があるが、実際はそうではなくご本人なりの目的があって出歩かれていることを説明し、Aさんは家に帰ろうとされて出歩かれ、Bさんは仕事に行こうとされて外出される旨具体的に説明させていただきました。そうすることで、認知症の方に対する偏見を少しでも軽減させることが出来ればと考えたのです。利用者の安全確保の目的のみならず、認知症の方の生活を直接理解していただくことで認知症に対する偏見を低減させる試みです。総会や回覧板にて、利用者のお写真・外出の目的・歩いて行かれる方角等の資料を配布させていただきました。

 その結果、利用者が一人で外出されているとその旨知らせに来て下さることや、利用者の手を引いて事業所まで連れてきて下さる方、話し相手をして時間を稼いで下さる方が日常的に見られるようになりました。私が事務所にいる際も、「回覧板に載っていたおばあさんが、あっちへ向いて歩いているよ!」と教えに来て下さることがあります。地域住民のあまりの手厚い支援に事業所職員が甘えてしまっている側面も否めませんが、今のご時世、介護職もこの程度のやすらぎを頂いたとて、罰は当たらないかな、とも思う昨今です。


※『キャラバン・メイト養成テキスト』NPO法人地域ケア政策ネットワークP.27 2007年8月


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中島康晴 特定非営利活動法人 地域の絆 代表理事
1973年10月6日生まれ。大学では、八木晃介先生(花園大学教授・元毎日新聞記者)の下、社会学を中心に社会福祉学を学ぶ。巷で言われる「常識」「普通」に対しては、いつも猜疑心を持っている。1億2千万人の客観性などあり得ない事実を鑑みると、「普通」や「常識」は誰にとってのそれであるのか、常に思いを巡らせておく必要性を感じる。いわゆる少数派の側から常に社会を捉え、社会の変化を促すことが、実は誰もが自分らしく安心して暮らせる社会の構築に繋がると信じている。
主な職歴は、デイサービスセンター生活相談員、老人保健施設介護職リーダー、デイサービス・グループホーム管理者。福祉専門職がまちづくりに関与していく実践の必要性を感じ、2006年2月20日特定非営利活動法人地域の絆を設立。学生時代に参加した市民運動「市民の絆」の名前をヒントに命名。
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