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NPO法人 地域の絆

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中島康晴

地域の絆 代表理事 中島康晴

「国民の生活が第一」の「国民」

2012/07/16 23:46:01  社会全般
過日法人研修室で開催したプレ発表会。今年度はもう一つ全国大会の発表に一丸となって挑戦します!
 シンガー=ソングライターの宇多田ヒカル氏が、ツイッターで「キラキラネーム」と評しているらしい「国民の生活が第一」と言う名の新党。報道によれば、宇多田氏自身はこのネーミングに「批判的な考えを持っているのは明らか」※1なのだとか。更にそのツイッターには多くの批判的な書き込みが寄せられているそうで、「宇多田さんの“発言”に多くのフォロアーが反応し、ブログなどでも『キラキラネームではないけど厚顔無恥』『国民をバカにしたネーミング』など多数の意見が書き込まれ、盛り上がりを見せている。コンサルタントで著述家の城繁幸さんは、同党名について『国民の生活が第一とは当たり前のことで中身がない。粗末なプレゼントに派手なラッピングをしたみたいな名前』とし、『宇多田さんの評価は適切』と話している」※1などと報じられています。

 確かにこの新党、国民の心は掴んでいない。「共同通信社が14、15両日に実施した全国電話世論調査によると、小沢一郎元民主党代表が結成した新党『国民の生活が第一』に期待していないとの回答が計81・8%に上った。期待しているとするのは計16・5%にとどまった」※2。

 未だ不明瞭で暫定的な重点政策ポイントを見てみよう。「一、消費税増税の前に徹底した行財政改革。
一、財政出動で公共事業投資を積極的に進め、5年以内にデフレ脱却。
一、原発再稼働には慎重。再生可能エネルギー活用で原発ゼロを目指す。
一、環太平洋連携協定(TPP)反対。経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)を推進」※3とあります。消費税反対・脱原発・TPP反対の方針は社会福祉専門職とは一致すべき内容ではないでしょうか。消費税の増税は年収700万円以下の国民には厳しく、所得税増税は年収700万円以上の国民に厳しいと言われています。また原発は一部の地域や一部の労働者の犠牲のもとに成り立つエネルギー政策ですから、「人間の尊厳」や「社会正義」におけるソーシャルワークの倫理に反します。TPPは、何処の国の「国民」のために行うのか、そこが見抜けていなければ我らが国民の権利は守れません。

 facebookにも記載しております通り、政治について若輩は「ベストよりベター」を考えます。つまり、選択においては消去法をより優位に考えるわけです。その際に、この新党の政策方針と、民主党のそれのどちらに賛同できるのかは然程難しい選択にはならないと考えます。今後の情勢によっては、不確定要素が非常に大きく判断に迷う部分もありますが、その不確定な部分を除けば、断じて新党に期待を寄せざるを得ません。

 なぜならば、以前申し申し上げました通り、「国民」のどの層の人々のための政党なのかと言う視点で捉えた際、その違いが明晰化されるのです。自身の言葉を使うまでもなく、「野田政権が重視しているのは『原発の運転』や『財政の再建』で、その背後には『官僚の意思』や『財界の意向』が『第一』の姿勢があるように感じます」※3ことは自明の理でしょう。つまり、現政権の守りたい「国民」とは、一部の利権を獲得した人々と、そして、富裕層の人々であって、それ以外の大多数の人々ではないことは明白な事実です。であれば、人気は無くとも、本新党は現政権よりはマシな存在であるということになります。

 「参院民主党は同日、このフレーズをちりばめた記者会見室の背景デザインを、ロゴマークと党名に切り替えたという。新会派『国民の生活が第一』の宣伝になることを嫌った苦肉の策とみられている」※4。この場合、民主党は「国民」のどの層の「第一」を放棄し、また包摂したのか。本ブログの読者には釈迦に説法でしょう。

 斯くの如き、「国民」なる言葉は、視点を変えればその解釈もその後の行動も全てが大きく変わってしまう取り扱い注意の用語なのでしょう。そもそも「国民」全員、すなわち「みんなの」政党などこの世に存在するのでしょうか。その意においては、この新党のネーミングを批判するのであれば、「みんなの…」の方がよほど理論的に間違っている様にも思われます。みんなの政党であるのか否かは、有権者ひとり一人が判断して決めるべきものですから。

 「国民の生活が第一とは当たり前のことで中身がない」とのことですが、その当たり前のことがここ20年ほど成されてこなかったことに最大の問題があるのではないでしょうか。

 如上のように、新党の「国民」と民主党の「国民」には、その対象者像が全く異なるという点において、同音異議の調和を成しているといえます。


※1 産経新聞 2012年7月14日
※2 北海道新聞2012年7月15日
※3 京都新聞 2012年7月10日
※4 中日新聞 2012年7月14日



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中島康晴 特定非営利活動法人 地域の絆 代表理事
1973年10月6日生まれ。大学では、八木晃介先生(花園大学教授・元毎日新聞記者)の下、社会学を中心に社会福祉学を学ぶ。巷で言われる「常識」「普通」に対しては、いつも猜疑心を持っている。1億2千万人の客観性などあり得ない事実を鑑みると、「普通」や「常識」は誰にとってのそれであるのか、常に思いを巡らせておく必要性を感じる。いわゆる少数派の側から常に社会を捉え、社会の変化を促すことが、実は誰もが自分らしく安心して暮らせる社会の構築に繋がると信じている。
主な職歴は、デイサービスセンター生活相談員、老人保健施設介護職リーダー、デイサービス・グループホーム管理者。福祉専門職がまちづくりに関与していく実践の必要性を感じ、2006年2月20日特定非営利活動法人地域の絆を設立。学生時代に参加した市民運動「市民の絆」の名前をヒントに命名。
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