今日は東京(品川)でセミナーに参加させて頂きました。以前から尊敬の念を抱いております経営者がご登壇されると耳にし、自身の勉強のためにお話をお伺いするのが主な目的です。
サービス付き高齢者向け住宅と介護保険サービスの組み合わせについてのシンポジウムでしたが、内容が具体的で、実務的、かつ現実的なお話しばかりで大変勉強になりました。中でも、曖昧模糊としていた以下の点が、自身の中でも整理された点については有意義なことでした。
小規模多機能型居宅介護(以下、「小規模」)や、定期巡回・随時対応型訪問介護看護(以下、「24HH」)といった定額報酬制を取っているサービス形態と、その他出来高報酬制のサービス形態とでは、そのサービスの中身に違いが生じるという自明の理について、その背景やそのことが制度に与える影響について掘り下げて考えることが出来ました。
予てから、例えば、「小規模」の訪問サービスと訪問介護のサービス内容には、明らかな違いが生じていました。適切なインフォーマルや社会資源を発掘・創出しない限り、独居高齢者の利用者の場合、電球の交換や、庭の草取り、ペットの食事提供等の訪問介護では認められていないサービスを「小規模」の職員が提供する場合が見受けられました。それに対して、行政側は、対応しなくても良いとも言わず、対応しなければならないと指導することもありませんでした。つまり、定額制という報酬設定の中において、最低限のサービスの定義は行うが、それ以上のサービスについては際限の無い状況があり、そのことが等閑に付され続けていたことになります。このことから、定額制のサービスは、サービスの下限は決められてはいるものの、その上限が非常に曖昧模糊としていると言えます。
さて、本日のお話です。サービス付き高齢者向け住宅の「サービス」は何処まで入居者に対応すべきか。様々な議論がある中、「24HH」でその限界点を支援すればよいとのご意見がございました。ビジネスモデルとしては、利用者本位の素晴らしいご意見であると伺っておりました。一瞬鳥肌が立つほど、流石にと思って聞き入っておりました。
しかし、今まで「小規模」の運営に携わってきた者として、何時かここを整理する時期が来るし、またその必要に迫られるであろうとも思いを巡らせていました。同じ介護保険のサービスであっても、「やっても良いこと」、つまり、サービスの上限が異なることに改めて気が付きました。これは、すなわち、介護保険制度の根底を揺さぶる要素があるのではないかと。
例えば、定額制サービスが行っている生活支援を、出来高制の介護保険サービスでも認めていく方向性になれば、それは現在よりもサービス対象範囲の拡大路線を歩むことになります。また、その逆も然りで、定額制サービスの生活支援の内容に規制がかかることも考えられます。なぜなら、サービス対象範囲を拡げ、それが固定化されてしまえば、それに見合った人員配置の必要性が高まり、介護報酬を上げざるを得ない状況になると認識するからです。
同じ介護保険サービスでありながら、その報酬体制の在り方によって、サービスの内容が大きく変わりつつあります。いずれ、どこかの時期にその整理が迫られることになりそうです。また、それこそが、制度の限界点であり、制度としての社会福祉の課題でもあります。しかし、制度としての社会福祉は、実践としての社会福祉との相互作用によって、より時勢に見合った形に変えていくことで継続可能なものになるのでしょう。その意味において、本セミナーは非常に有意義なものであったと認識しております。むしろ、社会福祉士やソーシャルワーカー等のソーシャルアクションを行うべき専門職のセミナーの方が、如上の政策提言など殆ど見られていないことを寂しく実感した次第です。
兎にも角にも、制度は万能ではありません。恐らく、介護保険制度で全ての生活支援サービスを提供するには無理があるのでしょう。であればこそ、それを補填するもう一つの柔軟なシステムを構築する時期に差し掛かっているのではないでしょうか。過日訪れたスウェーデンでも、社会サービス法に基づく訪問介護では一定の硬直化・画一化が見られましたが、実は、それを補うLSS法に基づく、パーソナルアシスタント制度によって、柔軟な対応を行う仕組みが存在しました。スウェーデンの場合は、制度を補うシステムと言うよりは、制度を二重構造化し、制度を新たな別の制度で補っているようにも見受けられましたが…。
「小規模」や「24HH」といった定額報酬制サービスは、いま、制度の在り方を根底から問いかけ、そして、新たな仕組みづくりを呼びかけています。
そのことに気づけた意において、この度は東京に来て本当に良かったと思っております。
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