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NPO法人 地域の絆

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中島康晴

地域の絆 代表理事 中島康晴

国益≠国民の利益の構造 〜ソーシャルインクルージョンについて考える〜

2012/10/02 00:16:12  社会全般
社会変革を意図したソーシャルワーク実践の実践研究集会に参加させて頂きました。大変勉強になり、感謝致しております。


 あれだけ事故の危険性が高いとされるオスプレイが、我が国沖縄の普天間基地に配備されました。「米新型輸送機オスプレイの配備を前に、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の周辺では9月30日も、配備に反対する市民と沖縄県警がにらみ合った。市民がゲート4カ所を封鎖していたが、機動隊はこのうち2カ所で門をふさぐ車や座り込む市民を強制排除した。
 県警が最初に実力行使に踏み切ったのは、基地西側の通称『大山ゲート』。市民が28日から路上に座り込み、29日に車12台を門の前に並べていた。
 30日午後1時前、100人余が座り込むゲート前に、盾を持った機動隊員約100人が横一列に整列した。『ただちに移動しなさい。従わない場合、強制的に排除します』と警告し、排除を開始。『やめろ』『同じ沖縄県民だろう』と訴える市民を数人がかりで担ぎ出した」※1。

 アメリカにおいては、斯様な住宅密集地で飛行を許可していない危険な代物が、我が国の領土で飛行を続けています。恐らく普遍的な論理としては、「国益のためには多少の犠牲はやむを得ない」との思想が根底にあるものと思われます。また、この場合は、「犠牲」というよりも、「被害」と言った方が現実には即しているようにも思われます。

 政治に関しては全くの素人の私ではありますが、この沖縄県民の姿と、原発被害を受けている福島の人々、そして、私たちが支援をさせて頂いているクライエント姿が被って見えるのは私だけでしょうか。

 素人の私には、右や左の定義がよく分かりません。しかし、素人ながらも、今ほど革新や保守の定義が曖昧模糊としている時代は無いものと認識しているところです。であれば、右も左も本来の機能を果していないのが我が国の政治状況であると思っております。

 「国益のための一部の犠牲」。これって本当なのでしょうか。そもそも、国益とは何か?古い辞書には書かれていませんでしたが、昨今の辞書には明記されているこの言葉。国益、「国家の利益」※2、とあります。では国家、「1 くに。2 一定の領土とそこに居住する人々からなり、統治組織をもつ政治的共同体。または、その組織・制度。主権・領土・人民がその3要素とされる」※3。つまり、どうにでも捉えることが出来る便利な言葉の様です。若輩は考えます。国益とは、即ち、「全ての国民の利益」であると。

 如上の定義に異論の無い方にお尋ねしたいと思います。沖縄県民や福島県民、そして私たちの支援をさせて頂いているクライエントは国民ではないのでしょうか。このような酷い状況を、私たち福祉専門職はソーシャルエクスクルージョンと言っています。つまり、少数派や弱者が切り捨てられている、排他・排斥されている状況を言うのですが、クライエントのみならず、沖縄や福島県民もまさにその状況にあると言えないでしょうか。つまり、沖縄県民や福島県民も私たち福祉専門職のクライエントになり得るのではないかと感じずにはいられません。なぜならば、私たち福祉専門職は、ソーシャルインクルージョンを目指して、社会変革を実践する専門職だからです。

 誰かが排他・排斥されている社会では、誰もがその立場に置かれる可能性を有する社会であると言えます。事実、皆様の地域でも、オスプレイが飛ぶことだって、原発の建設計画が始まることもあり得るのです。私たち福祉専門職は、誰かを排除する仕組みそのものを問題にしなければなりません。

 一部の犠牲、いや被害を容認し、強要する社会は、常に誰かをエクスクルージョンして成り立つ社会と言えます。このような社会が、国益を生み出すことなどありますまい。「情けは人の為ならず」と言います。私益と公益は必ずどこかで繋がっているものです。国益を、全国民の利益と捉えて鑑みたとき、誰かの被害は、巡り巡って必ずや皆さんの所へ到達するはずです。



※1 『朝日新聞』2012年10月1日
※2 『デジタル大辞泉』
※3 『デジタル大辞泉』




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中島康晴 特定非営利活動法人 地域の絆 代表理事
1973年10月6日生まれ。大学では、八木晃介先生(花園大学教授・元毎日新聞記者)の下、社会学を中心に社会福祉学を学ぶ。巷で言われる「常識」「普通」に対しては、いつも猜疑心を持っている。1億2千万人の客観性などあり得ない事実を鑑みると、「普通」や「常識」は誰にとってのそれであるのか、常に思いを巡らせておく必要性を感じる。いわゆる少数派の側から常に社会を捉え、社会の変化を促すことが、実は誰もが自分らしく安心して暮らせる社会の構築に繋がると信じている。
主な職歴は、デイサービスセンター生活相談員、老人保健施設介護職リーダー、デイサービス・グループホーム管理者。福祉専門職がまちづくりに関与していく実践の必要性を感じ、2006年2月20日特定非営利活動法人地域の絆を設立。学生時代に参加した市民運動「市民の絆」の名前をヒントに命名。
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