2005年11月28日某週刊誌の投書欄に投稿しましたが、掲載されなかったものです。
市井では、介護保険制度の導入も相まって普通法人から公益法人まで、様々な経営主体が福祉施設を運営している。そうした中、競争を意識してか、公益事業を行わない法人が増えてきている。
言うまでもなく殆どの福祉事業はビジネスではない。支援費制度はもちろん介護保険制度においても、一定の公的資金が報酬に含有されているからだ。そういった意味では、収支バランスだけを考えれば、「儲かる」仕組みにはなっている。しかしそれは、直接収入に結びつかない、例えば制度外の社会的ニーズに応えるための活動を展開することへの「報酬」でもある。
今日こうした直接収入に結びつかないいわゆる公益事業を展開している福祉施設はいかほど存在するのか?社会福祉法人が税制上の圧倒的優遇措置を受けているのは、このような公益事業を使命的に行うことが前提であるが、社会福祉法人は公益事業を積極的に行っているのか?昨今の、公益法人制度改革の意図は別のところにあるのだか、社会福祉法人の多くが公益事業・活動を行っていない組織であるならば、件の優遇措置を絡め取られたとしてもそれは仕方の無いことかも知れぬ。
介護保険施設の利益率が、民間病院の約五倍である事が最近厚労省から発表された。「儲ける」だけの視点で経営を続けていると、「報酬単価」は必然的に下げられる。財政破綻寸前の行政も、まだ「余力」があるのならと、喜んで支出を抑えよう。これからの私達の仕事は、その付加価値として、いかに公益事業を仕事として地域に根付かせて行けるかに懸かっている。
コメント
該当 2件
クライエントの利益のために
全ての法人に公益性が欠けている訳では全く無く、それは産業界同様、法人間でも温度差があるように見受けられます。
大事なのは、公益法人がその使命を全うできなければ、公益性の高い実践をしている法人の足を引っ張ることとなり、延いては、そのサービスを受けている地域住民の利益をも損なうことにあります。
産業界にも同様のことが言えますが、自身の会社や法人のことばかりを優先すると、社会全体の閉塞性が高まり、結果として自身の事業にも芳しくない結果が生じることに思いを馳せる必要があるのでしょう。
社会福祉法人に関わらず、大手企業も同様に社会のことではなく、自らの会社のことを優先しすぎていると思われます。
自らの法人・会社のことだけを考える経営者にはなりたくないですよね(笑)。