2009/03/25 12:00:00
地域密着型サービス地域密着型サービスは、地域で様々な問題を抱えていらっしゃる高齢者が、住み慣れた地域で、地域の特性に応じた多様で柔軟なサービスが受けられるよう新たなサービス体系として創設されました。
一方、厚労省社会・援護局長の私的諮問研究会である「これからの地域福祉のあり方に関する研究会」においても、「分野別のフォーマルサービスの整備は進んでいる状況」とし、「●介護保険制度では、地域密着型サービスの創設、●医療保険制度改革では、在宅医療の推進、●障害者自立支援法では、障害者の地域での自立、●精神障害者の地域への移行、等が行われている」とあるように、社会福祉制度全体の流れが、要援護者を地域で支え合う取り組みの促進の中にあります。
最もこれは社会状況を鑑みれば、自明の流れとも言えます。短期債・地方債合わせて約850兆円の財政難で、先進国も含めて少子化の現状であり経済成長は見込めず。また、核家族化が漸次進み、家族機能の細分化も顕著です(2008年の一世帯あたりの人員数は、2.51人であると推察されている《国立社会保障・人口問題研究所》)。いわゆる公助・自助機能の低下を、互助・共助で補完する方策が欠かせなくなっていのです。またそれは、地域の課題を地域で解決していく力としての地域力向上への働きかけに、福祉専門職が関わっていけねばならぬ状況を示唆してもいます。
この様な社会福祉制度変遷の中における地域密着型サービスの特徴としては、一般的には以下の点が挙げられます。
�〇堋�村がサービス事業者の指定、指導監督権限を有する。
��原則として、当該市町村の被保険者のみがサービス利用可能とする。
��市町村又は日常生活圏域ごとに必要整備量を計画に定め、
これを超える場合には市町村は指定の拒否ができる。
�っ楼茲亮他陲鳳�じた弾力的な基準・報酬設定ができる。
日常生活圏域の設定については、市町村合併の促進により、市町村の範囲は拡大したが、介護サービスの提供範囲は小さく区分していこうという一見矛盾した実践とも言えるでしょう。
サービス実践過程においては、次の2点を私は重視しています。
�‘�常生活圏域が設けられ、専らその中でサービスの提供を完結しなければならないこと、
��運営推進会議の設置が義務付けられ、利用者、家族はもちろん、市町村職員、地域包括支援センター職員、地域住民の代表者等の参加規程があり、そこで、サービスの質の維持向上のみならず、地域ニーズの掘り起こし、延いてはまちづくりに事業所が関与していくことが示唆されていること、
です。
特に、運営推進会議の構成員に地域包括支援センターの職員が含まれていることは、地域包括支援センター自身の運営にも好影響を及ぼすものであると考えています。
私の考える地域密着型サービス運営の目的を一言で表わすと「コミュニティケア(地域ケア)」となります。つまり、地域密着型サービスの理念が、地域で末永く要援護者を支えていくことであれば、それは福祉専門職だけでなし得るものではありません。地域住民・商店等あらゆる社会資源を活用したコミュニティケアの実践が不可欠となります。事業所が設置されている日常生活圏域内の利用者のみを原則対象に、サービス展開を実践するのであれば尚のことです。よって、地域密着型サービスはコミュニティケアを率先して実践するべきサービス類型であると私は考えています。
地域密着型サービス運営における最大の課題は、事業所側の意識にあると考えます。2000年に介護保険制度が導入され、利用者が顧客と化し、地域で共に支え合う対象から、「獲得」の対象に切り替わりました。その結果、各事業所におけるサービス・ケアの質は格段に向上しましたが、そこで失ったものは、地域で連携する視点ではないかと思われます。その状況下で、2006年突如地域密着型サービスなるものが現れ、グループホームなどは必然的にその指定を受けました。今まで、地域に根差した実践をしていなかった事業所が殆どで、いきなり、「地域と密着しなさい」「地域住民を呼んで、運営推進会議を開催しなさい」と言われても、どのように地域と関わってよいのかわからない、そういった事業所が未だ多いのが現状ではないでしょうか。当法人にも、「どのように地域と関わったらいいのか?」「運営推進会議をどのように進めるべきか?」といった問い合わせ、相談が未だに多く寄せられています。
また、一部の経営者にあっては、地域と密着することが事業所収益とは直接関係のないものであるとの認識が窺がえます。これはとんでもない誤解であり、日常生活圏域の中の利用者のみが対象となるサービス類型において、地域とのつながりがなければ、利用者とサービスが結びつかず、それは利用者の減少に繋がる羽目になります。
また、地域密着型サービスの対象者像は、地域の認知症高齢者である。小規模多機能型サービスをはじめ、地域密着型サービスは利用者の抱え込みに繋がるとよく言われてきましたが、在宅(地域)で認知症高齢者を支えることを全て自ら抱え込みたい事業所はあるだろうか?当法人の実践の中に、要介護2で独居生活をされている認知症高齢者の支援事例があります。身の回りの最低限のことはご自身で何とか出来る(無論十分にできてはいない)が、火の不始末や服薬管理、金銭管理、排泄の後始末、買い物、清掃、ゴミ出し、庭の草取り等、様々な生活支援が必要になってくる。こうしたケースの場合、全てを事業所職員で対応することは不可能です。そこで、当法人では、日々の見守りや、草取り、ゴミ出し、買い物等を、地域住民の協力を得て実践しました。結果として、事業所の負担は軽減したのです。
このように、コミュニティケアを実践し、地域力(地域の支える力)が強くなればなるほど、経営は楽になる、そういった意識を地域密着型サービス経営者にはぜひとも持っていただきたいと私は考えます。逆説的に言えば、その取り組みがなければ、今後経営が成り立たなくなるサービスです。