今日は午前中に、ソレンチューナ市介護福祉局を訪問し、午後からは、同じソレンチューナ市にある「介護付き高齢者住宅」【26床】を視察訪問することになっています。その中のささやかな気づきについて以下叙述してみたいと思います。
ソレンチューナ市介護福祉局では、局長及び所管担当者からお話を頂きました。ソレンチューナ市の人口は、総人口63,000人、高齢者人口9,500人(高齢化率15.1%)。参加者からこの質問が上がった際、局長は高齢化率について答えられませんでした。すぐに計算できるのになぜか?局長にとって、恐らく高齢化率はあまり意味をなさない数字なのかも知れません。高齢化率よりも、高齢者人口を重要な数字と捉えているように推察されました。
1時間半に及ぶお話の中で、国から市に対する助成金、国会での決定、法律での定め、といった言葉が数多聞かれました。このことを通して、彼らは行政職員として、政府の方針に対する強い信頼と誇りの様なものを強く持っているように感じました。中でも印象的だったのは、――経済危機が訪れた場合、高齢者福祉も影響を受けると思われるか――、といった主旨の質問に対して、――法律では、高齢者に良質な生活を保障することは定められており、国の財政・市の収入が減少しても、高齢者に対しては現在と同レベルのサービスを提供していく――と局長が断言したことでした。日本の行政担当者がこの様な事を言いきることはまず想像できません。それは、政策の方針がどのように、ブレるのかが不明瞭だからです。また、政府の方針が必ずしも、社会的弱者に手厚い真に国民目線ではないことも、社会福祉施策の方針が混沌とする要因でもあります。今より更に不景気になれば、政府は社会福祉制度を保護するのか、切り捨てるのか、どっちの方向を向いて舵を切るのか推測ができないのです。今までの経緯を考えると、後者を選択する可能性が高いのではないでしょうか。無論、そうあって欲しくはありませんが。彼らの話からは、そのことに対する不安や迷いを感じることは一切なく、むしろ明確に理解しているように窺い知ることができました。またこれは、後に訪問した施設の責任者や現場の職員さんのお話を伺った際も一貫して感じられた印象でした。国会での決定が最上位である旨の発言が聞かれた時、それを選択している国民の民度の高さまでもが、若輩浅学であっても想像できた次第です。
つづいて、「介護付き高齢者住宅」【26床】において、副所長さんよりお話を伺いました。気づきとしては、職員配置は全職員で、31名が勤務。正看護師6名。その他25名が准看護師・看護助手。そのうち准看護師は85%(21.25名)であること。つまり、全職員の約7割が准看護師であるということでした。スウェーデンには施設という発想はありませんから、そこは住宅です。であればこそ、利用者が死を迎えるのは住宅となります。高齢者住宅では、日本でいうところのターミナルケアの実践が不可欠となり、そこでは医療行為が日常的に発生し、だからこそ、准看護師が主な担い手となっているのではないかと私なりに理解して話を聞きました。日本でも、厚労省は施設でのターミナルケアを奨励しています。であるならば、そこでなされる医療行為に対する方針を早急に打ち出すことが望まれるのではないでしょうか。介護福祉士は医療行為ができず、看護職員の配置が手薄い日本の施設の現状では、ターミナルケアの実践は非常に困難を極めているからです。
後の気づきとしては、利用者に対する選択の自由度が日本よりも高いことと、全居室には固定式・廊下には移動式のリフトの設置が見られたことでした。
利用者の居室は、同じ間取りであっても目を疑うほど中の様子が様々です。好きな小物・家具の搬入から、配置までが利用者の自由であることはもちろん、壁紙までも自身の好みの物を選んでおられるのです。日本の施設も間取りは一緒ですが、利用者の部屋一室一室における様子の相違は然程ありませんネ。
リフトについてですが、スウェーデンでは職員さんはこの仕事に誇りを持って、しかも長く働かれていると聞いています。それは、如上の通り高齢者に手厚い政策の方針が定まっており、多くの市民がそれに同意している社会状況と、職員に対する手厚い福利厚生にあると思われます。給与に対しては然程日本と相違ない様に見受けられましたが、決定的に異なるのは、職員が余裕を持って働けていることでした。制度上多様な休暇が用意され、手厚い人員配置がなされていること。また、子どもの教育費も大学までほぼ無償であることを考えると貯金の必要もなく、介護職の給与でも暮らしていける状況が伺えました。
各居室には固定式のリフトがあり、ベッドと車いすの移動は全てこのリフトで行います。また、廊下で利用者が転倒した際は、移動式のリフトで体を起します。この様な設備がきちんと整っているのもスウェーデンの特徴だと教わりました。これだけの設備を日本で整えることは、介護報酬や補助金の額から考えてまず無可能でしょう。そこにお金を投資するスウェーデンのお国柄がここにあります。
無論、日本には優れた介護技術があるので、リフトなど使わずとも介護職員は腰を痛めない介護法を学んでいるという声や、リフトでの介護はまさに機械的であるといった発想に対して、私は否定するつもりはありません。問題なのは、制度や政策がどっちを向いているのか?ということではないでしょうか。そこに投資が必要であると考える政府のもと、職員は実に生き生きと働いていました。
ソレンチューナ市介護福祉局長及び所管担当者様からの
説明及び質疑応答
ソレンチューナ市のサービスハウスでは、
利用者と地域住民がともにランチを
介護付き高齢者住宅の談話室
おしゃれが、高齢者の五感に刺激を与える!
不完全遮断の仕切り
固定式リフト(各居室及び浴室に設置)