学生の折、私はジャーナリストになることを志していました。意見とは全て主観であり、その意味において正しいものなどこの世には存在しません。正義などあり得ません。であるならば、民意のバランスを取ることこそが、ジャーナリストの使命であると認識していました。民意のバランスを取るとは、いわゆる少数派の声を掻き消さず、丁寧に聴きとって世に伝えていくこと。社会構造から排他・排斥された少数派の声を代弁することにあるとずっと信じていました。
時が移って今、私が社会福祉の仕事をしているのは、その時の思いを実践することができるのが、この仕事だからです。社会福祉の仕事は、端的、核心的に言えば、少数派の側に立って社会と対峙することであると私は認識しています。少数派の代弁者として、社会に異議申し立てる仕事であると。
3月14日に社団法人広島県社会福祉士会が主催した公開講座に参加させて頂いて、私は強くこのことを再認識させられました。『更生保護の現状と地域生活定着支援センターの役割〜社会復帰ネットワークの形成に向けて〜』と題された山田憲児氏の講演において、―――刑務所に入りたいから犯罪を起こす。刑務所に戻りたいから犯罪を起こす人がかなりの数いる。社会が刑務所のように冷たく、刑務所が社会のように暖かい。刑務所に入れば、三食が保障され、雨露が凌げるという。この社会の現状をどのように考えるのか―――、―――優良な刑事政策とは、優良な社会政策である。優良な社会政策は、優良な刑事政策である。社会福祉だ、更正保護だ、という区分は明治時代にはなかった。社会的弱者に対する働きかけという点において、更正保護も社会福祉も同じではないかと思っている―――、―――人と人との関係性の中で、人間は生きている。たった一人でいい、真剣にその人を受け止めている人がいれば、その人は救われる。ソーシャルワークの原理は人権と社会正義であると言われている―――旨の話を胸に落としました。
如上のお話を拝聴した際、自身の立ち位置を深く自問自答しました。今私は、何のためにこの仕事をしているのでしょうか。