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NPO法人 地域の絆

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中島康晴

地域の絆 代表理事 中島康晴

『まちづくりとしての小規模多機能ケア』

2011/05/15 12:00:00  地域密着型サービス

『事業所外連携の在り方〜ネットワークとまちづくり〜』


 「地域の絆」における共生ケアの実践はネットワークを拠り所としている旨前回ではお伝えしました。小規模多機能型居宅介護(以下「小規模」)が事業所外ネットワークを構築することによる利点としては以下の5点を挙げることができるでしょう。� ̄娠墜睛董κ�法の情報共有��効果的で良質な利用者支援��職員のストレスマネジメント�し�域内におけるサービス・ケアの質の担保�ッ楼莢歛蠅稜聴�と対応。前号でお話ししたネットワークを駆使した共生ケアの営みは�イ魄嫂泙靴深汰�であると言えます。

 制度化されて5年に満たない「小規模」の実践は漸く大まかなイメージがつかめた段階ではないでしょうか。個別具体的な実践であったり、今後の長期に及ぶ展望については未だ議論の分かれているところです。そんな中、他の事業所がどの様な実践を行っているのかは実に興味があるところで、良い取り組みはお互いに情報提供を行い、悩みについても互いに助言し合える関係が不可欠かと思われます。日常的なこれらの連携は、同じ行政指導監督下にある市町村内でなされれば不安の解消はさらに促進されるでしょう。また、事業所の特色を互いに認識することで、利用者の受入・紹介について利用者のニーズにより即した形での対応が可能となります。そのことが延いては、���い寮�果を生み出すことに繋がります。

 「地域の絆」では、広島県内2つの市内で小規模多機能ケアの実践を行っており、双方における「小規模」職員を対象にしたネットワークづくりに関わっています。1つは事務局として、1つは会長職を拝命して組織運営に係る活動をさせていただいております。また、広島県内にはこの他同様のネットワークが2つあると聞いています。以下、私たちが関わる2つのネットワークについて創設概要と運営状況について叙述します。

 まずA市での取り組みですが、こちらは当初より「小規模」のみのネットワークとしてではなく、地域密着型サービスと地域包括支援センターのネットワークとして創設されました。地域密着型サービスが創設されて約1年後に2名の発起人名にて、市内の全事業所に結成会議への参加を呼びかけたところ80名程の方の参加がありました。如上の� 銑イ砲�けるネットワーク構築の重要性を訴えたものの、具体的な提案は敢えて行わず、皆さんで創り上げていきましょうという姿勢で臨んでいます。その場で事業種毎に2名ずつの世話人を選出してもらい8名の世話人会を結成しました。また、皆さんで選出したこの世話人を中心に組織運営を進めていく旨承認いただき、以後世話人会を中心とした組織運営が始まります。

 このネットワークの特色は、非常に緩やかな繋がりであるという点です。設立趣意書と役員名簿があるのみで、組織の会則を設けていません。また事業所を対象とせず、そこに勤めている職員個人を対象としていることも特徴です。事業所を対象にしてしまうと、規模が大きく力のある事業所が中心となってしまい兼ねませんし、そうなると個別の事業所同士の関係性に会の運営が左右されることになってしまいます。その様なネットワークには多様性は生まれず、すそ野を広げた幅広い方々の参加が望めなくなります。それを避けるために、事業所単位ではなく個人単位で参加する体系を取っているのです。

 よって会議・交流会・研修等の参加については、市内の全対象事業所に案内を発送しています。つまり、会員・非会員の区別もないのです。市内にある全ての対象事業所に呼びかけを行い参加したいと思われた方は、どなたでも参加することが可能です。その様な民主的組織運営を大事にしているのがこの会の特徴と言えるでしょう。

 年度によっても異なりますが、平均すると年6回の研修と年2回の交流会の場を設定しています。毎回の参加者数は、研修等のテーマにもよりますが、60名前後の方に参加頂いております。テーマによっては、行政職員や民生委員に参加を呼び掛けることもあります。例えば「運営推進会議の進め方」と題したディスカッションでは、冒頭30分程度で市が望む「運営推進会議のあり方」について市職員よりご講義いただき、その後グループワークでディスカッションを行う際にも、各グループに市の職員に入っていただいたこともございます。この様に会の催しを通して、ネットワークがつくられて行くことを実感しています。

 「小規模」運営の要諦は人材育成であると私は考えておりますが、単独型の「小規模」で人材育成を実践することは人手と時間、経費の関係上非常に困難を要します。そこでその様な事業所がネットワークを組んで相互研修を行う動きも全国的に広がりつつあり、私たちの実践はまさにそのことを狙った実践であると言えます。特に実地指導等で指摘を受けるであろう項目(「身体拘束廃止」「虐待防止」「良質な認知症ケア」「地域との連携」等)に係る研修を行うことは単独型事業所の負担となっているため、会の中で率先して研修を組むようにしているところです。この様な企画は、毎回の研修アンケートをもとに世話人会で年度毎に計画を立て運営を行います。因みに、一回の研修参加費は1人1,000円となっております。

 B市においては、現時点では「小規模」のみによるネットワークづくりを行っています。良心的で懐の広い事業所が事務局を担っており、会則を設け、全ての事業所に均等に役職が付くよう配慮した上で運営を行っています。また会員の定めはあるものの、事業所毎に入会し、市内の全ての事業所が入会していることに特色があります。会費は年会費10,000円を徴収し、これを運営費に充てています。ですので、研修毎に参加費の徴収は行っておりません。また、この会では、研修を行うのはA市の取り組みと同様ですが、定期的に事業所管理者が集まる会議を設けています。そこで、管理者同士の悩みや問題の共有と助言が展開され、事業所毎の「空き」情報の共有も行われています。今後の課題としては、「小規模」に限定されないネットワークづくりを検討中です。

 「小規模」がネットワークをつくる目的自体は、地域性によっても然程違いは無いでしょう。しかし、その実践は、保険者の規模や事業所間の関係性等により大きく地域性に左右されるものと思われます。従って、ネットワークの創設・運営においての要諦は、地域内の状況をまずはしっかりと見据えながら、次の一手を打って行くということになりそうです。


Date 2011/05/15
中島康晴 特定非営利活動法人 地域の絆 代表理事
1973年10月6日生まれ。大学では、八木晃介先生(花園大学教授・元毎日新聞記者)の下、社会学を中心に社会福祉学を学ぶ。巷で言われる「常識」「普通」に対しては、いつも猜疑心を持っている。1億2千万人の客観性などあり得ない事実を鑑みると、「普通」や「常識」は誰にとってのそれであるのか、常に思いを巡らせておく必要性を感じる。いわゆる少数派の側から常に社会を捉え、社会の変化を促すことが、実は誰もが自分らしく安心して暮らせる社会の構築に繋がると信じている。
主な職歴は、デイサービスセンター生活相談員、老人保健施設介護職リーダー、デイサービス・グループホーム管理者。福祉専門職がまちづくりに関与していく実践の必要性を感じ、2006年2月20日特定非営利活動法人地域の絆を設立。学生時代に参加した市民運動「市民の絆」の名前をヒントに命名。
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