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NPO法人 地域の絆

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中島康晴

地域の絆 代表理事 中島康晴

「風評被害」という言葉

2011/06/22 12:00:00  社会全般
統合され移転された後の江田島市大君小学校跡地。今ではまちづくりの拠点として機能しているようです。


 東京電力の原発事故で、福島県産や茨城県産の農作物や水産物が売れない被害が生じています。その際、必ずと言ってよいほどマスコミが使うのは「風評被害」という言葉。これは、原発推進メディアも反原発メディアでも同様に使われているようです。

 「風評被害」とは一般的に、根拠のない噂によって受ける被害であると言われています。もちろん基準値を下回る作物が売れないのは、根拠のない噂のせいかも知れません。しかし、その基準値が、「ただちに健康に影響が出るものではない」といった曖昧模糊としたものであったり、完全に危険ではないもしくは安全であると断言できない不確定な根拠に基づくものであった場合、それは全て根拠のない噂として処理されるべきなのでしょうか。

 例えば、予防原則に則れば、安全が証明されなければ危険であると認識されますが、日本の安全基準は危険が証明されなければ安全であるという基準に依拠しているのではないでしょうか。であれば、そのような甘い安全基準に依拠した基準値をどこまで信用したらよいのか不安は尽きません。

 そう考えればこれは本当に「風評被害」なのか?と私は思うのです。そして、仮にこれを「風評被害」と言い張った際、誰が損をし誰が得をするのでしょうか。

 基準値を下回っていても売れないのは、国民の認識不足であって、情報提供の不正確さにある。だから、その責任の全ては東京電力であったり、政府が担う必要はない。これは「風評」による被害であって、原発事故による直接的な被害ではないからだ。このような理論がまかり通ってしまう可能性があります。

 基準値を下回っていれば、本当に安全なのでしょうか。そこに明確な根拠が示せない以上は、これは「風評被害」ではなく、真なる原発事故被害と言えるのではないでしょうか。つまり、全ての被害は東京電力と政府が補償するべき産物なのです。

 安全が証明されていない作物を誰しも購入などしたくはありません。それを国民が購入しないのは、国民の認識不足であり、それが「風評被害」であるという理論。あまりにも無責任で、厚顔無恥としか言いようがありません。

 今更敢えて言うまでもありませんが、福島県産や茨城県産の作物を購入することがいけないと言っているのでは断じてありません。これは「風評被害」などではなく、原発事故被害であり、この政府やマスコミが喧伝する「風評被害」に対しても、政府と東京電力が全てを補償しなければならぬ対象であると強く言いたいのです。




Date 2011/06/22
中島康晴 特定非営利活動法人 地域の絆 代表理事
1973年10月6日生まれ。大学では、八木晃介先生(花園大学教授・元毎日新聞記者)の下、社会学を中心に社会福祉学を学ぶ。巷で言われる「常識」「普通」に対しては、いつも猜疑心を持っている。1億2千万人の客観性などあり得ない事実を鑑みると、「普通」や「常識」は誰にとってのそれであるのか、常に思いを巡らせておく必要性を感じる。いわゆる少数派の側から常に社会を捉え、社会の変化を促すことが、実は誰もが自分らしく安心して暮らせる社会の構築に繋がると信じている。
主な職歴は、デイサービスセンター生活相談員、老人保健施設介護職リーダー、デイサービス・グループホーム管理者。福祉専門職がまちづくりに関与していく実践の必要性を感じ、2006年2月20日特定非営利活動法人地域の絆を設立。学生時代に参加した市民運動「市民の絆」の名前をヒントに命名。
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