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中島康晴

地域の絆 代表理事 中島康晴

二度目の韓国訪問��

2011/11/09 12:00:00  社会福祉

関西国際空港から出発しました!
 初めて韓国に訪問したのは1990年であったと記憶しています。1988年にソウルオリンピックが開催され、その好景気がやや後退した頃に訪問したことを今でもよく覚えています。早いものです。もう、20年の歳月が流れたのですね。私にとっては、まだ新しい記憶の感があるのですが…。

 この度は、日本人間関係学会が主催する「韓国 福祉・医療事情視察」に参加させて頂きました。全日程は、9月5日〜11日まで計6泊7日の旅です。因みに私は、10日の午後から東京で会議が有りました故、10日の午前中一人で引き揚げて羽田に降り立ちました。よって、私だけが5泊6日の視察となりました。「初めての訪中」同様に、今回も複数回に渡って以下思うところを叙述したいと思います。これまた訪中の際と同様、本報告は、韓国の内在的理論を理解していない若輩が、わずか数日間における体感を述べるに過ぎないことを強く付言しておきます。

 9月5日の初日は、ソウル駅周辺のバリアフリーの状況等を視察しました。非常に有能な現地ガイドが、韓国の社会・文化について詳しく説明してくださいましたので、短時間で色んなことが意図して見えるようになりました。

 ソウル駅に着いたのは現地時間の15時前後でした。駅の周辺には50代後半から60代のホームレスの方々が沢山おられました。若い人が多いと、参加者からは声が上がっていましたが、日本のホームレスの平均年齢を鑑みれば同じぐらいではないかと思って歩いていました。ただし、彼らは皆、日本のホームレスよりも胸を張って歩いている様には伺えますので、その分若く見えたのかも知れません。私たちが視察をさせて頂いている間、何度か幾人かの方が、私たちに所謂「物乞い」をされました。有能な現地ガイドが、お金を当たり前のように渡されたのが心証的でした。これらは日本では見られない光景ではないでしょうか。日本よりも寄付文化が発達している韓国では、「物乞い」に応じる民衆を多く見かけました。このように応じてくれる民衆がいるからこそ、韓国のホームレスは「物乞い」をされるのでしょう。日本の場合は、最近は特に応じる民衆がいなくなったように見受けられます。その帰結として、日本のホームレスは「物乞い」をされなくなったのかも知れません。日本のホームレスは、民衆を当てにすることを諦めているのかも知れません。この人たちは何も助けてはくれないと。

 最近読んだ暉峻淑子氏の著書から、次の行が頭を過りました。「私はイラクの救援活動をしたときに、エジプト人の通訳を頼みました。エジプト人は一人あたりの所得がかなり低く、経済的にはとても貧しい国です。いっしょにイラクに行ってもらったのですが、イラクでは死にかけている子どもを抱いている人達や、飢えたりケガをした悲惨な人々にぶつかりました。エジプト人の通訳は私に、エジプトのカイロからイラクまでの往復の航空運賃、ホテル代を除き、通訳料として『一日六〇〇〇円欲しい』と言うのです。普通、通訳料はもっと高いです。
 ところが、そのエジプト人の通訳は貧しい人達に会うと、その六〇〇〇円の通訳料をポケットから出して、惜しげもなくその人たちに渡すのです。そのとき、私のほかにも日本人の学者が二人行ったのですが、私達は、いざというときのために何万円か持っていました。ところが私達は、その通訳の取ったような行動を、まず反射的にとることができないのです。聞いてみると、その通訳の生家も金持ちではないようです。それで私は、『どうしてそんなことするんですか。あなたはカイロに帰って、何か必要なことがあるからこの仕事(通訳)をしてお金を稼いでいるんでしょう』と尋ねると、『喜捨する(喜んで捨てる)ことが、私の喜びだ』と言うのです。確かに、日本人はいつも収支を計算して、損がないように堅実にやっていきます。私はエジプト人のその姿を見て、私達のそういう考え方が何かすごく貧しく思われました」※。続いて、暉峻氏は以下の様に説明します。「人のことを慮るということは豊かさのひとつです。豊かな気持ちというのは、やはり人のことが思えるということです。貧しいということは、自分のことしか考えられないということです」※。

 韓国の寄付文化は、日本よりも醸成されているようです。サムスン電子等の大企業は、挙って売り上げを寄付するのだとか。トヨタ自動車のリコール問題で、韓国でもレクサスが大打撃を受けた年に、現代自動車は売り上げを大きく伸ばしたといいます。しかし、その利益幅の殆どを寄付金に充てたと現地ガイドはおっしゃられていました。それが事実とすれば、これは、日本企業にも是非見習っていただきたい営みと言えます。

 先月訪れた中国に比べ、街は比較的綺麗でした。道路や公共機関の室内の床・壁・天井すべてに渡って汚れが目立たず清潔に保たれた印象です。公衆トイレなどは、比較にならない程綺麗な場所が多かったと認識しています。しかしながら、例えば、清潔に保たれた歩道の端にある溝内などは、タバコの吸い殻が積み上げられ綺麗であるとはとても言えない状況にありました。トイレにしても、日本に比べて、行き届いているとは言えない状況です。

 黄砂の影響があるとはいえ中国の車は、外観及び内装ともに汚れが目立ちましたが、韓国の車はその点綺麗に磨かれていました。日本程ではありませんが、それほど差異を感じないレベルと言えます。日本人が、トイレや車も綺麗に磨きすぎているとも言えますが…。

 ご多分に漏れずソウル駅構内も清掃が行き届き、多くの人で賑わっていました。夜になるとホームレスの方々が構内に入って休まれるそうです。トイレ等の水を使って体を毎日清拭されているホームレスの方もいらっしゃるとか。日本の場合、間違いなくホームレスの方々は夜間構外へ締め出されることでしょう。韓国では今のところそうではないらしい。但し、韓国においても昨今は、そのような対応に対する賛否は丁度半々になっていると現地ガイドはおっしゃられています。しかし、半分であっても、韓国においてはホームレスの方々に対する“寛容さ”があるようです。日本においても10年ほど前まではその様な考えが残っていたのですが、現在は皆無となっています。私の記憶によれば東京都知事が、新宿区のホームレスを強制退去させてしまった辺りから、国民意識の変遷と同時に、ホームレス支援の力が衰退し始めたと認識しております。日本の民度よりも、この点、韓国の民度の方が高そうだと、ソウル駅構内を歩きながら考えました。

 そうそう、バリアフリーの状況を視察に来たのでした。いつも与えられたテーマから外れたことに目が行ってしまう性格です。ご宥恕ください。

 階段の横に、階段傾斜に沿ったスロープがありました。これは中国でもよく見かけた設えです。無いよりはあった方が良いと思いますが、これを利用して重たいキャリーバックを転がすと場合によっては怪我をします。一度中国で試してみたのですが、大男の私ですら転がり落ちる荷物を制御するのがやっとでした。日本の建築基準法上ではまず認められない造りだと、同行していた建築会社の役員はおっしゃられていました。それでいて、階段の傾斜は普遍的に日本のそれより急勾配です。地下道への階段も大変急で目視でその違いが認識できるほどです。

 その他特筆すべきは、注意喚起や標識が多様で、分かりやすいことではないでしょうか。人を表わす標識も子どもや妊婦、高齢者などが一目でわかる標識となっています。駐車禁止区域の標識も、車がレッカー車で運ばれる絵が描かれていました。若者のファッションも日本の若者と大差なく、ファッションやデザインはアジア諸国の中でも洗練されている心証です。

 ソウル駅の周辺に拘わらず、韓国の市街地では、ガムやチョコレートといった小さなお菓子を売って歩かれている女性と男性が沢山いらっしゃいました。私たちにも売りに来られたのですが、どうしてよいかわからず対応はしませんでした。後々、夜の街等でもこの様な場面に何度も遭遇しました。例えば、夜お店で食事をしていると、店内まで入ってきてガムを売りに来られた女性もいました。営業権等の考え方が浸透している日本では中々考えられない光景ではないでしょうか。

 バスの車中から、高級百貨店を多く見かけることがありました。例えば、日本の三越百貨店の跡地に、サムソン電子が経営している百貨店があります。外観からしか伺えなかったのですが、日本のものと比べて遜色ない煌びやかさを感じました。実は、韓国においても生活格差の拡大が顕著らしい。高級住宅街では、高級車が行きかっていますし、駐車場にも殆ど全て高級車が並んでいました。その地域のレストランで食事をしたのですが、楽器の演奏や舞踊を生で見ながら食事をとることが出来るお店です。車は全て新車で高級車ばかり、さらにどれも綺麗に磨かれたものばかりです。高級住宅街の中には、住民の寄付等の支援を受けながらハード・ソフトともに高品質な体制が整った学校があります。そのような恵まれた環境にある子どもと、そうでない子どもとの間で、生活格差の世代間連鎖が巻き起こっている様です。

 韓国では一日に約45名の方が自殺していると現地ガイドの説明。説明を聞いて自身も、そして、参加者一同驚きの反応を示していましたが、冷静に電卓を弾いて計算すれば、人口比で考えれば日本と然程変わらないか、少し多い程度であることが理解されました。日本や韓国のように効率優先の社会はストレスを醸成するのではないでしょうか?

 そう言えば、韓国人は歩くのが速い。何かに急ぎながら忙しく生活している感じを受けました。日本の大阪と少し似ているところがあるようです。中国においても、自己主張がはっきりしている点が大阪に類似していると思いましたし、以前インドネシアに伺った際も、車の運転が大阪と酷似していたのを思い出しました。大阪のせっかちさは、アジア一かも知れませんね。しかし、性急な社会はストレスを増殖するので注意が必要です。次回の大阪市長選では、一福祉専門職として、冷静なる投票を要請したいと思っている昨今です。


※暉峻淑子氏『豊かさへもう一つの道』かもがわ出版 P.45-46 2009年4月



ソウル駅外観


 時間帯にもよるのでしょうか。思ったよりも人は疎らでした。

ソウル駅外観


 ミニ東京駅のような建物が…。

階段の傾斜に沿うようなスロープ


 中国でも、同様の設えを見かけました。重たいキャリーバックを抱えて昇降するよりは楽なのですが、傾斜が急で、荷物のコントロールが難しいといったところでしょうか。


ソウル駅構内


 ホームレスの方々は夜間も構内で休むことが出来るのだとか。トイレ洗面台のお水等で、清拭されているそうです。日本とは、違いますね。


ソウル駅構内のエスカレーター


 注意喚起がわかりやすい設えです。表示物の掲示角度や、位置の高さ等配慮がなされていました。


ソウル駅構内の階段


 階段の勾配は、日本よりも急ですね。


ソウル駅構内のエレベーター


 標識の種類が豊富で、わかりやすいと思いました。


ソウル駅周辺の道路標識


 駐車禁止!よく分かりますよね。

側溝には煙草の吸殻が…。

 路面は日本と変わらぬぐらい綺麗でしたが…。

 小姑のようなブログですね。いけません。


三越百貨店の跡地にサムソン電子のデパート


 煌びやかな建物は珍しくはありませんね。


いわゆる「高級住宅街」にある「高級料理店」で食事

 この度最高級の食事を一番最初に頂きました。経済格差を噛みしめながらの食事でした。



「ちじみ」です。


 見た目もお上品。お味もお上品でしたね。


多くの車は綺麗に磨かれていました。


 各ドアに緩衝用の「スポンジ」が貼付されていますね。これは車を大切にしている証拠だと思ってシャッターを押させていただきました。


Date 2011/11/09
中島康晴 特定非営利活動法人 地域の絆 代表理事
1973年10月6日生まれ。大学では、八木晃介先生(花園大学教授・元毎日新聞記者)の下、社会学を中心に社会福祉学を学ぶ。巷で言われる「常識」「普通」に対しては、いつも猜疑心を持っている。1億2千万人の客観性などあり得ない事実を鑑みると、「普通」や「常識」は誰にとってのそれであるのか、常に思いを巡らせておく必要性を感じる。いわゆる少数派の側から常に社会を捉え、社会の変化を促すことが、実は誰もが自分らしく安心して暮らせる社会の構築に繋がると信じている。
主な職歴は、デイサービスセンター生活相談員、老人保健施設介護職リーダー、デイサービス・グループホーム管理者。福祉専門職がまちづくりに関与していく実践の必要性を感じ、2006年2月20日特定非営利活動法人地域の絆を設立。学生時代に参加した市民運動「市民の絆」の名前をヒントに命名。
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