2013年春闘ではベースアップを表する企業が多く見られているようです。特に、その多くが大企業に顕著な傾向があると認識しております。巷では、アベノミクス効果であると認識されているようですが、若輩の考えは若干異なります。つまり、昨今までの景気維持の“阻害”要因が取り除かれた結果復元的状況が生じているものとの分析です。タイにおける広範かつ長期の水害や、東日本大震災、中国との外交摩擦等が一定の収束を見せたことによる景気の回復がその根底にあると認識しています。世の中そんなに甘くはないと静観しておりますし、今後TPPに参加をすれば、中長期の視点において景気の維持すら難しくなる状況を推察しております。元来工業製品の関税率は低い為そこから利を得ることは少なく、翻って、農業・医療・介護・保険分野においては外資の参入によって大打撃を被ることは暗に予測が立つはずです。
本論から逸れてしまいましたが、この度大企業については如上の理由によって、ベースアップが一部実現しそうな状況にあります。今後2%のインフレターゲットが実現し、来年4月より消費税の増税が行われます。特に、2%の物価上昇においては、その分企業は収益を上げることが机上の理論としては可能となります。その収益を従業者の賃金に配分することも理論としては不可能ではありません。推測できる課題としては、競争原理の中で、仕入れ・下請けにおける価格競争は維持されるでしょうから、一部の大企業が大きな収益を上げて、その他中小零細企業は依然変わらぬ状況に陥るばかりか、それ以下の状況に見舞わられる可能性も否めないことにあります。
しかしながら、理論としては、多くの企業は収益を上げる機会を得る事になるでしょう。そうした中、専ら社会保障費を財源に事業運営を行っている福祉・医療事業については、報酬単価の上がらぬ一方、物価のみが上昇する大変厳しい状況に見舞われることになります。特に、比較的高額な報酬を得ることができる診療報酬ではなく、ぎりぎりの経営を強いられている介護報酬においてはこれは看過できない事態を招くものと認識しています。この点、消費税における議論は、福祉・医療分野においても成されているものと認識していますが、2%のインフレターゲットにおいてはこの様な議論が皆無であるように受け止めております。早急にこの議論を政策協議の俎上に載せ、世論を喚起する必要があるのではないでしょうか。
また、事業収入のみならず、先般平均6.5%(最大10%)の削減が決められた生活保護費においても同様のことが言えるはずです。言わずもがな、現状においても、物価下落が認められているのは、家具や家電等の“贅沢品”であり、生命維持に欠かせない水道光熱費や食材料費はむしろ物価上昇の傾向にあることを鑑みれば、生活保護受給者の生活は今後益々厳しいものになってくることは必至であります。
ソーシャルワーカーの視点に立ってみれば、誠世の中は、世間で騒がれるほど上手くは行っていないばかりか、不安が募る毎日であります。特に、福祉・医療経営においては、厳しい時代に突入することが避けられないのが現実の様相であると言えそうです。