当法人は経営理念に平和主義を謳っています。定款にもその行があり、当時の県担当課より文章で説明を求められました。2005年11月3日に回答したのが以下の文となります。
平和主義とは言うまでもなく、反戦争の思想です。この世のあらゆる出来事の中で、人権を最も蹂躙する行為が戦争である事は自明の理でありましょう。その観点から、平和主義と基本的人権の尊重は切っても切り離せない関係にあると言えます。また、過去の歴史を振り返った時、多くは突然に戦時に突入するのではなく、民衆の思想・言論の自由が奪われ人権が軽視され、そういった土壌の上に、戦争が始まっているのです。
「人権」と「福祉」の関係性は説明するまでもありませんが、ノーマライゼーション・生存権の観点から、両者にとって、社会的弱者の権利擁護がその大きな仕事となるため、両者は両輪の関係にあります。つまり、いかなる障害を有して生活されている方にも、健常者と同じ人権がある事を自明に、その人権の尊厳を行為として行っていく事が、社会福祉の基本的なあり方であると思っております。
私一人の個人的見解と思われてもいけないので、介護老人福祉施設・あしや喜楽苑総施設長(当時)市川禮子氏の見解を追記しておきます(98年兵庫県連女性協総会での記念講演録から抜粋)。
「福祉というのは平和な社会があって初めて築けるわけです。私たちが毎日やっている『人の尊厳を守ること』や『地域と結び付くこと』は、そこで、一人ずつの人間の尊厳が守られ、人権が守られるという闘いが広まっていけば、それがやがて日本の国の意志になって、戦争に巻き込まれない国になっていく、そういう重要な仕事なのだということを、市民的自由の尊重ということをこのように平和の問題に結び付けて語り合っているわけです。実は、ノーマライゼーションを提唱されたデンマークのバンク=ミケルソンは、やはりナチスに抵抗して、第二次世界大戦中にデンマークでレジスタンス運動をしていた人です。(中略)彼は収容所に送られましたが、戦後無事に復帰されました。そして彼は、知的障害の仕事をするようになったわけです。日本の厚生省のようなところで仕事をされて、(中略)(知的障害者施設を見た時に)これは自分のいた強制収容所の姿になんと似ていることか。それで彼はどんなに重い障害を持っていても、ごく普通の当たり前の生活をキチッと保障するべきだということで、ノーマライゼーション思想を、1958年にデンマークの社会福祉の理念に入れられたのです。ノーマライゼーションの思想が、戦争のいろんな経験の中から生まれてきているということもまた大きな今日的な意味があるのではないかと私は思っています」。
社会福祉の実践は人権擁護であり、その実践は平和主義に結びつく、そのことを念頭に社会福祉を実践していくべきであると考え、「平和主義」も理念に併記いたします。
また、社会福祉施設を運営する社会福祉法人等において、「平和主義」をその理念に掲げている法人は多く存在します。これは、決して珍しい・特異な事ではないのです。