以前のブログでは、地域密着型サービスにおける開設の条件について、地域性や、ネットワーク、人材面より、意見を述べさせていただきました。今回は、実際に開設するための手順とハード(空間)についてご一緒に考えて参りたいと思います。
あえて執拗に申し上げますが、地域密着型サービスの目的は、コミュニティケアの実践にあると考えます。なので、開設手順も空間づくりもそれに則ったものでなければなりません。「地域の絆」では、開設地を選定し、図面の青写真ができた時点で、必ず地域住民への開設説明会を実施します。地域によっては、「もう少し(開設計画が)決まった時点で、正式に説明会を開きたい。今は、地域住民間で情報共有だけしておきます」と、時期尚早の反応が返ってくることもあります。それでも、図面の青写真ができた時点での、「地域への相談」の姿勢は決して崩しません。
一つの事例をお示しします。少し想像してみてください。あなたの住んでいる地域に、少し大きな家が建っています。建設が進むにつれて、どうもそれがただの家ではないことに気づきます。近隣住民の噂や、建設地に掲げられた建設許可の看板からです。「どうも高齢者の福祉施設らしい」と。そして、施設の外観も大体出来上がった竣工1ヶ月前に、地域住民への住民説明会を開く旨、回覧板等でビラが配布されるのです。そのビラには、「地域密着型サービス○月開設」と書かれています。
このような「開設までの流れ」は私の知る限り、決して珍しい事例ではないと認識しています。上記の手順で開設される「地域密着型サービス」とは、何でしょうか?真摯に地域のことを考えているのであれば、もっと早い段階より地域住民と協議・相談の場を持つべきではないでしょうか?また、地域住民もそうした事業所の姿勢を見ているのではないでしょうか?
こうした視点は、地域医療・地域福祉を永らく実践されている諸先輩より、ご指導頂き持ち得たものです。つまり、開設準備段階から、地域住民と共に作りあげる視点で臨むべきではないかということです。そのために必要なのは、なるべく早期における「情報の公開」と「意見の拝聴」です。「地域の絆」では、それを図面の青写真が出来た段階で、展開していきます。
説明会においては、「法人理念」「事業所機能」「建設図面」を主に提示し、包み隠さず「何のために、開設運営するのか」を中心に、思いを込めて、語るようにしております。そして、「当事業所は社会資源であり、地域住民が有効に活用できなければならない」旨をご説明し、「どのような機能があれば有効に活用できるのか?」地域住民にその場で問うことにしております。
その中で、「地域福祉センター仁伍」の開設説明会では、「町内会の役員会をある喫茶店で行っていたが、その喫茶店がなくなってしまったので、5〜6人でコーヒーが飲めるスペースがあったら良い」との意見が寄せられ、それに伴って、喫茶コーナーの設置に至りました。その甲斐あってか、5畳にも満たない喫茶コーナーに、365日平均して1日6名以上の方が来られる盛況ぶりです。地域住民と共に作りあげる視点で開設すべきとの諸先輩方のご意見はさすがにと思うばかりでした。
「意見の拝聴」関しましては、その場で意見が出にくいことを考えて、アンケートの方法を用いてされている事業所もあるようで、これは非常に良いアイディアだと思います。
無論、開設に対して後ろ向きな意見が出てくる可能性も否めません。事実、センター開設に伴って、排水量が増加し、用水路の容量を超える可能性を危惧される意見などが出たこともあります。このような場合、しかしながら私たちはチャンスと捉えて行動します。説明させていただく機会を得ることで、地域住民との話し合いの場が、より多く設定されることになるからです。私たちの姿勢と理念をお伝えするチャンスであると。
反対意見を意思表明される地域は、住民が地域のことを真摯に考えていらっしゃる地域である可能性が高いと私は理解しています。むしろ、「うち(地域)とは関係ない」や「反対も賛成もしない」といった反応の方が、その後の連携が難しいのではないかと思います。反対意見を表明されても、交流のチャンスが得られるぐらいに思って取り組むべきではないでしょうか。
地域住民との日々の交流を考えた時、ハード(空間)の有効活用は重要な項目であると考えます。事業所職員は、日々ケアに追われる毎日です。こちらから地域に出向くにも限界がありますので、やはり、より多くの地域住民が事業所を訪れてくれれば助かります。そのためには、ケアだけに使う空間以外に余剰空間が必要になります。地域住民が過ごせる空間です。「地域の絆」各センターでは、少ない予算の中から、喫茶コーナーや足湯、ウッドデッキ、縁側スペースを設置しています。利用者と職員だけしか過ごせない空間ではなく、余剰空間を確保しておかねば、地域住民は気軽に立ち寄りにくいと考えます。
「地域の絆」では、地域住民が日常的に来所され、そこで、職員や利用者との交流がなされています。その営みが地域情報の収集や、新たな地域関係の構築に繋がっております。イベントを開催するために意見を聴くにしても、毎日住民が来られるので、聞き取りも容易にできますし、誰に協力を依頼するのかも、その場で決まったりします。
一般的な地域支援の視点からも、地域住民が立ち寄れる場所、集まれる場所、活動できる場所、情報を集約できる場所等の空間は欠かせません。無論、アウトリーチの視点も重要ですが、それだけではやはり限界を感じます。居宅介護支援事業所や地域包括支援センター等の相談事業における地域支援の取り組みの限界点はここにある気がしています。
その視点からも、地域密着型サービス事業所が、地域支援拠点となることの意義は大きいと考えています。そのハード(空間)を「共助の空間」へと変えていくのです。
過日、地域福祉センター宮浦西の管理者の坂上さんに、「代表の趣味って何ですか?」と問われました。
そう言えば、「何なんだろう??」。
答えがすぐに出ませんでした。このブログの中身を見ても、おカタイ内容ばかりで、少し仕事から脱線した内容も書いてみようと思いました。唯一の楽しみは、美味しいものを食べることです。27歳まで関西に住んでおりましたので、行きなれた関西圏内のお店にうかがう事が唯一の癒しのひと時です。とは言いましても多忙の故、なかなか足を運ぶことが出来ませんが・・・。
京都先斗町にあります「ザ・洋食屋 キチ・キチ」さんのお料理は最高です。状況に応じて、食材に応じて、相手の体調に応じて、適時最高の料理を提供して下さいます。まさに、天才です!!仕事柄連休はまず取れませんので、休みの前の深夜にご無理を言って、うかがう事が多いです。深夜の高速をETC割引で駆け抜けます。閉店時間を過ぎていても、快く待っていて下さるそんな店主様のおもてなしを受け、そこで、最高に癒されるのです。そして、明日への仕事の糧とするのです!!
尊敬する知人の大学学長から、いみじくも先のブログにまつわる話をお聞きしました。――――
子どもも近代以前は、「小さな大人」として扱われていた。近代社会が、子どもという概念を作った。労働効率が悪いため、子どもは隔離され、教育現場においても、近代以前は、大人と子どもは同じ場で教育を受けていたが、近代以降、隔離されて教育を受けるようになった。
社会福祉専門職が、このような社会構造を的確に捉えた上で、対人援助活動を行うことは、本来は、必須事項であると考えます。間違った視点で、援助活動を行わないためにも、社会の在り方を問い続けながらの実践が求められるのではないでしょうか?