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NPO法人 地域の絆

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中島康晴

地域の絆 代表理事 中島康晴

今年度の私的な目標と高松市における実践

2010/05/30 12:00:00  社会福祉
色々と勉強させて頂き有難うございました。来年も是非参加させて頂きたく存じます。
 高松市の社会福祉法人守里会が主催された講演・分科会(「第2回私の町はみんなが家族〜伝えたい・残したい・私たちの絆〜」)に参加させて頂きました。先月4月末に訪問させていただいた同法人が運営されているデイサービスセンター侶の管理者城丸聖平様よりお誘いいただき、ネットワーク実践の見学も兼ねて、お邪魔させていただいた次第です。
 参加して驚愕したのは、ざっと拝見した限り300名以上の参加者がいらっしゃったことはもとより、その約6割〜7割以上は地域住民による参加であったことでした。内容としましては、新任から中堅専門職が聞いて勉強になるであろう専門性のレベルを有するものだとお見受けしましたが、その研修に一般市民が多く参加していることに驚きました。閉会の挨拶にて、松木香代子理事長がおっしゃられていたように、法人として10年の歴史、及びその前から遡って20年の歴史があるらしく、その長きに渡る時間を全く無駄にはせず地域住民との絆を深めてこられたからこそ、この様な実践ができるのだと自身で頷いておりました。
 もう1つ、素晴らしいと思ったことは、若い職員さん達が分科会の司会進行や、会の運営を堂々と、かつ真摯にされている姿を見させて頂いて、このような公的な役割を通して人は成長するものだとつくづく感心しておりました。
 会場は、香川県立保健医療大学を借りておられ、このような公的な社会資源を積極的に活用されることで、より多くの地域住民が参加しやすい状況にあったのではないかとも勝手に推察しております。何を取っても、着眼点の素晴らしさに流石にと頷くばかりでした。
 一年に一度は開催されるこの講演・分科会、来年も是非とも参加させて頂きたく存じます。今回は一人で伺いましたが、来年は地域の絆の職員さんと一緒に行きたいですね。大変貴重な経験をさせていただきましたこと、お誘いくださいました社会福祉法人守里会の皆様に深くお礼申しあげます。
 さて、このような場に参加させて頂いております私の今年度の目標。実は3つ程あるのですが、その一つが、「広島県内におけるネットワークを新たに構築することはもとより、県外におけるネットワーク構築にも重点を置く。地域性の限定された枠内でのネットワークのみならず、地域性の異なる実践や理論を学び、法人運営の先見力向上に繋げる」、といったものです。
 福祉専門職は、自法人内・自事業所内における専門性やチーム力を向上させることが強く求められる一方、他法人・他事業所との連携も同じくらい重要な事項として実践していかねばなりません。私たちが連携することが、何よりもそれが利用者の利益に繋がるからです。しかし、内輪の専門性とチーム力を高めることに傾注しすぎると、外向けの連携の意識が薄まり、外部の存在を軽視してしまう傾向もあるように思われます。無論、内輪がガタついているのに、外向けの連携を優先することは本末転倒になってしまう恐れもありますが、要するに、両者のバランスを取る必要があると予々私は思っています。自分の法人さえ良ければという意識が働き過ぎると、外部に対して排他的な誤ったプライドを醸成してしまいかねませんし、外部連携を重要視するあまり、内部の専門性・チーム力の低下を来たすことも利用者にとっては不利益となります。
 両者のバランスを取りながらも、今年度及び来年度の目標の一つとして、全国の取り組みをなるべく多く見聞し、思いを共にすることのできる仲間を多くつくることを実践していきたいと思っています。地域性に限定された実践は、その地域の「常識」から逸脱した実践は困難なため、どうしてもその発想に限界が生じてくるものと思っております。ですので、その「常識」に捉われない実践をしようと思えば、他の地域で「常識」的だが、私たちの地域では「非常識」的なその実践に触れることが肝要ではないかと考えているわけです。
 日々の実践は身近な地域にありますので、そこにおける連携を自明の如く第一義としながらも、そこに固執しない発想を身につけるために、全国的なネットワークを構築していきたいと思っております。
 今日高松にお邪魔して、そのようなことを考えながら、帰りの高速を走りました。

香川県立保健医療大学 キャンパス

瀟洒で、綺麗な大学です。

香川県立保健医療大学 キャンパス

本日は、晴天に恵まれました。
全国の県立大学は公益法人化されているとうかがっていますが、新しくて、瀟洒なキャンパスをよく目にします。これって、何か背景があるのでしょうか?それとも、ただの偶然ですかね。

帰りに寄り道【屋島にて】

 気になったのは、対岸の山が掘削されている風景。子どもたちに文化や伝統を伝えることの重要性、その実践に矜持あることを、この国のオトナ達は分かっていないですね。
 これは、まちづくりと非常に密接な関係のあることなのです!住んでいる地域の歴史や文化に誇りを持つことが、まちづくりには重要なのです。
 何だが、心が痛みますね。

帰りに寄り道【屋島にて】

金銭的価値によるモチベーション維持の幻想

2010/05/24 12:00:00  社会福祉
過日、認知症介護研究・研修仙台センターにうかがいました。初めて、広島空港から飛行機で仙台に向いましたが、私はやっぱり新幹線が好きかも知れません。
 世界的経済が縮小傾向にある中、金銭的価値によって職員のモチベーションを高める方法は大時代であると認識しております。もちろん、経済成長一辺倒の時代においては、「もっと頑張りなさい!頑張ったら給与を2倍にしてあげるから・・・」と叱咤し、職員のモチベーションを高めていた時期もありました。しかし、その時代、頑張れば確かに給与は2倍になったものです。現実性があるからこそ、金銭的価値によるモチベーションの向上はそれなりに意味を成しました。
 しかし、今の時代頑張れば給与を2倍にすることを約束できる企業・法人は如何ほどあるでしょうか?ましてや、限られた介護報酬の中で事業運営を行う介護保険事業者が、それを成すには大きな困難を要します。「キャリアパス」を示して、それを給与と連動させ、職員のモチベーションを高めるには所詮無理があるのです。無論、職員給与を上げるためにも、その礎となる介護報酬の向上を訴えていくことは福祉専門職としては避けて通れぬ実践となります。
 今回はそれとは少し別の視点で見てみます。つまり、人は金銭的価値のためにのみ働くのか?といった問題意識からです。働くことには大きく二つの意味があるのでないでしょうか?�\験茲亮舛魄飮�・向上するため、�⊆�身の自己実現のため。�,任蓮∪験茲防�要不可欠な金銭的価値が大きく作用するかもしれませんが、�△砲�いては、仕事に対する楽しさや、遣り甲斐、達成感、社会に対する所属意識や、承認欲求、社会的使命の自覚等がモチベーションを高めることに寄与します。そして、私たち社会福祉専門職の仕事の最も優れた点は、�△鮹�成することにおいては、他の仕事よりも、非常に有利であるということです。多くの仕事が、社会に与える影響には、正の側面と負の側面が双方ある場合が殆どではないでしょうか?環境に優しく高性能な車を販売しても、自動車事故は無くなりません。電磁波の問題や、界面活性剤入りの合成洗剤と健康の問題など、正の側面もありますが、負の側面を完全に除去することは困難なようです。しかし、私たち福祉専門職の仕事はどうでしょう?専門的価値・知識・技術に則って、利用者支援を行う限りにおいて、その実践を通して誰かを不幸にしたり、社会的に負の側面を算出することなど皆無ではないでしょうか?私たちの仕事は、誰も不幸な人を生み出さない。非常に社会的価値の高い仕事なのです。この点だけは、福祉専門職の方には是非とも誇りを持っていただきたいと私は思います。
 職員のモチベーションを高めるもう一つの方法であり、これからの主流は、いま目の前の仕事の社会的な意味をしっかりと実感していただくということです。社会的な使命や責任と、今の仕事がどう結びついているのかを明確に伝えるということです。それこそが、職員のモチベーション維持につながり、延いては、職員の人材育成に帰結すると認識しています。
 再放送でしたが、たまたま見た番組で、東京大学教授の福島智氏(障害学)が、実践に対する意味付けの重要性についてお話されていました。

 「私は、何が幸福か不幸かっていうのは、もちろん人によっていろいろあるだろうけれども、すごいしんどい経験をした時にね、つらさ、苦悩というのも何か意味があるんじゃないかなと思うことにしようと。実は同じようなことを言っている人はたくさんいることが分かって。ナチスドイツの収容所に入れられた経験のある人で、ヴィクトール・フランクルという人がいるんですが。彼の本を読んでいて、すごい公式に出会ったんです。
その公式は、絶望=苦悩−意味って言うんですね。
左辺に絶望があって、絶望=苦悩−意味。これは何を意味するかというと、“−意味”を移行したら、絶望+意味=苦悩ということです。意味がない苦悩が絶望である。
(中略)苦悩があるから、しんどいから不幸だって簡単に考えるのではなくて、意味をそこに見いださせれば、それは絶望ではない。新しい豊かな人生が見つかるかも分からないっていうふうに思っています」※

 この仕事が社会的にどのような価値や意味があるのか、それを感じることなく仕事に対するモチベーションを高めることは今の時代難しい。組織のトップは、ビジョンを明確に示すこと。今特に、このことが強く求められているのです。

※NHK総合 (2009年6月9日放送分)『爆笑問題のニッポンの教養』FILE074:「わたしは ここに いる」福島智氏。

仙台からの帰路においては、飛行機を何度も活用しています。その意味では、仙台空港は馴染みのある空港です。

理論と実践、双方の確立を!

2010/05/16 12:00:00  社会福祉
2010.4.25.地域福祉センター向永谷で開催した「ワイワイ祭り」の風景。晴天に恵まれ、多くの地域住民にご参加いただけました。運営に対するご協力も、本当に有難うございました。深くお礼申し上げます。
 「実務家というのは、ともすれば、机上の理論というか、学者を馬鹿にするところがあります。一方で、学者も実務家を馬鹿にするところがあります。
 私自身は、非常にラッキーな立場にいて、経営の現場と大学、つまり、実務家と学者の双方の生活をすることができています。だからこそ、どちらも大切だなということを身にしみて感じているわけです」※。残念ながら、これは私の言葉ではありません。著名な経営コンサルタントの言葉であり、ビジネス業界のことを指した言葉ですが、私たちの業界にも同じことが言えるのではないかとピンときました。
 社会福祉業界においても、多くの現場職員は理論を勉強しようとしていませんし、多くの研究職は現場の状況を度外視した上で、理論を弄んでいる節があるのではないでしょうか?それぞれに、必要な仕事をしているにもかかわらず、双方の乖離は、利用者・家族の利益に貢献してはおりません。
 様々な現場職員さんの前で講義をする際、専門用語が多くて分かりにくかったと一部の方ではありますが、アンケート等でご批判を受けることがあります。私の説明能力の低さも当然あるわけですが、しかし、私は敢えて専門用語を使うことがあります。現場の職員さんにも、この程度の専門用語は理解しておいてもらいたい、もしくは、知らない専門用語であれば専門書を引いて勉強していただきたい思いがあるからです。理論を全く知らない実践はあり得ないと私は思っています。諸先輩方が積み上げてこられた実践の集積された理論をしっかりと読み説き、自身の実践に活用した上で、検証し、更なる理論の発展に貢献していくことが専門職に課せられた義務であるはずです。今まで、積み上げられた理論だけを用いて、それを発展させることなく私たちが過ごしているとすれば、それは、「盗人猛々しい」行為であると言えば言い過ぎでしょうか。利用者・家族の利益のためにも、私たちは次の世代に新たな実践と理論を提示していく責任があります。実践家であっても、理論を学ぶ必要があるのです。
 また、研究職の方にも、現場職員が活用したい、活用しやすい、理論構築をお願いしたいものです。現場職員がその実践の中で、行き詰まりを感じた時に、手に取った専門書に救われた。そんな、現場の問題意識に真っ向から応えてくれる専門書が増えれば、有り難いなと思うのです。
 「実務と本質、ほんとうにどちらも大切です。いわば車の両輪です。もし、どちらかを軽視する人がいるとしたら、タイヤが小さいのです。
 これを両方やっていくにつれ、両方のタイヤが大きくなり、車は、でこぼこ道も乗り越え、早く走れるようになります」※。

※小宮一慶氏『ビジネスマンのための「読書力」養成講座』携書ディスカヴァー、P.217-218、2008年9月

地域住民の波田さんが手作りラーメンを披露してくださいました!

波田さんの手作りラーメンとってもおいしかったです。
「うまい!」「ラーメン屋を出せよ!」地域の方から、感嘆と感激の声が聞こえてきました。波田さん、有難うございました。

「記念樹」の植樹

来年の春が楽しみです。
 このイベントでは、地域の方との話し合いの中、ソメイヨシノの植樹を行いました。地域の方と、センター利用者と職員、また、地域住民同士の絆が深まることを祈って、利用者と、地域の方、私の3者で植樹式を行いました。
 桜の成長と、地域の発展を祈って、植樹したものです。地域福祉センター向永谷にお立ち寄りの際は、是非、見て帰って下さい。

問題の本質と「キャリアパス」の関係

2010/05/11 12:00:00  社会福祉
2010.5.10.地域福祉センター仁伍では今年も「仁伍こいのぼり」を開催しました。参加者数は推定300名。詳細は後日ご報告致します。
 キャリアパスの定義がイマイチ分かりづらい今日この頃。なぜわざわざ定義の難しいキャリアパスなどと言う表現を用いるのか、若干捻くれている私としましては、何か色々と勘ぐってしまうわけです。
 2010年3月5日、厚生労働省は「キャリアパス要件」の概要を下記の通り示しています。
�_雜鄂Π�の職位、職責又は職務内容等に応じた任用等の要件を定めている。
�↓,坊任欧訖Π漫⊃�責又は職務内容等に応じた賃金体系(一時金等の臨時的に支払われるものを除く。)について定めている。
���ゝ擇哭△瞭睛討砲弔い董⊇�業規則等の明確な根拠規程を書面で整備し、すべての介護職員に周知している。
 また一般的な解釈として、「キャリアパスとは、職員の昇給・昇格の道筋を示したもの。職員の経験や資格、能力などに応じた役職(ポスト)を用意し、それに見合う賃金や待遇を設定することで、職員のモチベーションを高め、介護サービスの質の向上や離職防止につなげようというもの」※だそうです。
 さて、ここで問題になってくるのは�△痢嵜Π漫⊃�責又は職務内容等に応じた賃金体系」であり、「(経験・資格・能力・役職)に見合う賃金や待遇を設定すること」でしょう。賃金の体系を職員に示すということは、賃金に格差を付けるということです。例えば、「介護職�機廖峅雜鄂Ν供廖峅雜鄂Ν掘廚箸いΑ嵬鮨Α廚鰺儖佞靴榛檗△修隆屬猟其眤侶呂忘垢鬚弔韻襪箸いΔ海箸砲覆蠅泙后J垢海┐狼垢靴い任垢�、実際に如何ほどの賃金格差をつけることができるのかは甚だ疑問です。介護報酬が定められている以上、またその設定の低さが自明とされている中、つまり、法人の総収入が限られた中での賃金体系を測るモノサシの目盛りは非常に細かいものとなるはずです。如上の「役職」における「介護職�機廚函峅雜鄂Ν供廚猟其盂丙垢惑_燭曚匹砲覆襪里任靴腓Δ�?「役職」の数にもよりますが、精々10,000円、悪くて数千円といったところではないでしょうか?
 この程度の賃金格差で職員のモチベーションが上がるとは私には到底思えません。しかも、この「キャリアパス要件」と「介護職員処遇改善交付金」を連動させ、言わば、交付金をキャリアパスの呼び水とする向きがあります。「介護職員処遇改善交付金」は、法人にとっては、収入なくして、事務負担が増える代物と評判が宜しくありません。交付金という姑息な手段ではなく、介護報酬を上げれば自ずと職員の給与体系を上げることができます。経営者が懐に入れて、職員に還元しないという考えは全くの迷信であると私は認識しております。では、現時点で職員の給与体系が群を抜いて良い法人がどれほどあるのでしょうか?何処の法人も給与を上げたいが上げられないのが現状だから、介護職員の給与は何処も横並びなのです。介護報酬を上げれば、職員の給与は間違いなく上がります。もし、一部の悪意をもった経営者が上げなくても、よその法人は上がります(地域の絆では絶対に上げます!)ので、そこに法人間の格差が生まれ、悪意をもった経営者のもとには職員は集まらなくなるはずです。こんなことは、特に優れた先見性を持たずとも察しが付く自明の理でしょう。
 それをせずして、一時的でいつまで続くかわからない交付金、しかも十分な金額ではないそれと、低い介護報酬のまま、法人にキャリアパスを強要するその姿勢からは、欺瞞的なものを感じざるを得ません。「キャリアパス」や「交付金」は、問題の本質を潜在化させるマヤカシに過ぎないと私は考えます。

※『日経ヘルスケア』2010.5.「特集 介護職向け キャリアパスの作り方」P.22.日経BP社

『小規模多機能型居宅介護におけるケアマネジメント』��

2010/05/08 12:00:00  地域密着型サービス
他分野のケアマネジメントの在り方と対比することで、様々な観点が見えてきます。実践研究における比較対照は重要ですね。
 コミュニティケアの技術としてのケアマネジメント実践を、小規模多機能型居宅介護(以下「小規模」)が担う素地が整っていることはご理解いただけたかと思います。実は、もう一つ居宅介護支援(以下「居宅」)のケアマネジメントよりも優れた実践がなされるであろう素地があります。それは、利用者を中心としたきめ細やかなサービスの実践が可能となることです。
 表2のように、小規模の介護支援専門員は居宅に比べ、「家族とのコミュニケーション量」が多く、「直接ケア」をより多く実践できる素地があります。地域の絆の介護支援専門員は、常時事務所にいるわけではなく、ケアを目的とした訪問や、送迎、通院介助、時には食事介助や、入浴介助等の直接ケアも行っています。その中で、家族との接点も豊富にあります。居宅の介護支援専門員は、規程上では、最低月に一度のモニタリング(訪問)が義務付けられていますが、小規模の介護支援専門員は、月に一度どころか、一週間に一度程度の頻度で、利用者・家族に会う機会があります。直接ケアに携わらず、最低月に一度の訪問をする中で、利用者・家族と接点を持つ介護支援専門員が実践するケアマネジメントと、利用者の直接ケアに携わり、日常的に家族と接点のある介護支援専門員が実践するケアマネジメントにいかなる実践の相違が生まれるのかは容易に想像できるでしょう。
 これは、地域の絆の方針ですが、日常的なマネジメントは介護支援専門員がいなくても実践できる取り組みが小規模には求められていると考えます。例えば、通いサービスのお迎えに伺った際、家族より「今日は『通い』の予定なんだけど、『宿泊』をお願出来ないか?」と問われた場合、その場で介護職が即答できるようにしています。居宅のケアマネジメントの場合は、デイサービスのお迎え時、そのように家族から依頼があっても、担当の介護支援専門員に尋ねてみないと即答出来ないはずです。給付単位数等の縛りがあるからです。小規模の場合は、この点は考えずに、利用者のニーズに即答することができます。しかし、これに対して、介護支援専門員に「お伺いを立てること」をルールにしてしまえば、サービスの要所とも言えるきめ細やかで臨機応変な対応が損なわれてしまいます。地域の絆では、その様なことが無いように、月々の計画は介護支援専門員が責任を持って作成しますが、日常的なマネジメントは、介護支援専門員主導のもと、介護職でも担えるように取り組んでいます。
 また、ケアマネジメントチーム(ケアマネジメントにおけるサービス提供担当者)における連携についても小規模の方が効率的・効果的に実践される素地があります。そのことによって、緊急的・臨時的にカンファレンス(サービス担当者会議)を開くことが難しくなく、そのスピード感が利用者へのきめ細やかなサービス提供を更に促進させることでしょう。
 無論、小規模のケアマネジメントにも課題があります。法人によっては、小規模にケアマネジメント機能があることを強く意識していない場合も見られますし、利用者・家族から、介護支援専門員の役割が見えなくなるリスクも存在します。小規模の場合、ケアマネジメント機能が潜在化していく陥穽があるのです。この点は、特に法人代表者、事業所管理者が強く自覚しなければならない点でしょう。
 また、「通い」「訪問」「宿泊」にかかるサービスを自事業所で全て提供しなければなりませんので、職員配置とサービス内容・頻度を相互調整しながらのケアマネジメントが求められます。居宅のケアマネジメントは、この点その地域にサービスさえ存在すれば、頭を抱えることは一切ありませんが、小規模の場合は、利用者ニーズを優先するのか、職員配置を優先さえるのか、常に悩まされるのが現状です。一つ忘れてはならないのは、あくまで相互調整ですから、時には、効率・効果を優先させ、職員配置を基準にケアマネジメントを行うことは憚るべきではありませんが、時には、利用者のニーズに合わせた職員配置を行うことも必要でしょう。実際地域の絆では、職員の早出・日勤・遅出の勤務時間は各事業所まちまちです。これは、事業所ごとの利用者ニーズにあった職員配置を行った結果です。
 かてて加えて、介護保険サービス(フォーマルサービス)の多くを自事業所から提供しなければならない小規模においては、ケアマネジメント実践時に、他の介護保険サービス(フォーマルサービス)との連携が希薄化する陥穽もありますので、小規模の介護支援専門員は、地域の住民・商店などのインフォーマルサービスとの連携はもちろん、他の介護保険事業所等のフォーマルサービスとの連携も意図的に行っていく必要性があります。地域にある小規模同士のネットワークづくりも不可欠でしょう。
 如上は、あくまで「素地」の話であって、実践において必ずしもそのような取り組みがなされているわけではありません。法人の考え方の違いや、ケアマネジメントを実践する介護支援専門員の専門的能力、地域性によって異なることと推察されます。何分、小規模のケアマネジメントの調査・研究はこれから取り組まれる分野であり、実態把握は進んでおりません(筆者も現在大学にて研究中です)。まずは、二つの優位な「素地」があることを実践者が理解し、優位点を活かした取り組みを実践していただきたいと願います。いずれにせよ、小規模のケアマネジメントは、居宅のそれより、利用者中心で、地域ケアの技術としての本来意味におけるケアマネジメントを担える可能性を秘めていることは間違いありません。

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中島康晴 特定非営利活動法人 地域の絆 代表理事
1973年10月6日生まれ。大学では、八木晃介先生(花園大学教授・元毎日新聞記者)の下、社会学を中心に社会福祉学を学ぶ。巷で言われる「常識」「普通」に対しては、いつも猜疑心を持っている。1億2千万人の客観性などあり得ない事実を鑑みると、「普通」や「常識」は誰にとってのそれであるのか、常に思いを巡らせておく必要性を感じる。いわゆる少数派の側から常に社会を捉え、社会の変化を促すことが、実は誰もが自分らしく安心して暮らせる社会の構築に繋がると信じている。
主な職歴は、デイサービスセンター生活相談員、老人保健施設介護職リーダー、デイサービス・グループホーム管理者。福祉専門職がまちづくりに関与していく実践の必要性を感じ、2006年2月20日特定非営利活動法人地域の絆を設立。学生時代に参加した市民運動「市民の絆」の名前をヒントに命名。
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