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NPO法人 地域の絆

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中島康晴

地域の絆 代表理事 中島康晴

高齢者虐待とまちづくりの関係

2010/07/05 12:00:00  社会福祉
会場の広島県健康福祉センターにて。
 7月3日(土)広島市南区内で「第7回日本高齢者虐待防止学会広島大会」が開催されました。いつもお世話になっている方からの依頼を受け、“分科会”に携わらせていただくこととなりましたので、当日は朝から参加させて頂きました。
 最も印象に残ったことは、まちづくりと虐待に相関性があるという一見自明のことでした。「我々は高齢者虐待事例について、5年間の追跡調査を行った。その結果、虐待が起こってからの解決は難しく、高齢者虐待を防止するためには、その前兆を早期に発見し、地域が一体となって支援する地域づくりが必要であることが明らかになった」※大会長の小野 ミツ先生のお言葉です。
 虐待防止においては、早期発見が重要であり、そのためには地域住民同士の見守り力が不可欠であり、そのような関係性の築けるまちづくりが要諦であるというわけです。また、そのためには「見守り専門職」の配置が不可欠であると謳われた発表もありました。「見守り専門職」の配置された地域では、「見守り対象者」の緊急連絡先の把握が「見守り専門職」の配置されていない地域より進んでおり、「見守り専門職」の配置がない地域では、「見守り対象者」の重度化がより顕著であったと伺いました。
 また、この道古参の大先輩から立ち話でご教示頂いた内容では、――ネットワークだけを地域につくっても仕方がない。その前に地域住民を巻き込んだまちづくりが土壌にないと意味がない――、と伺いました。福祉の視点におけるまちづくりを促進する私たちの営みは、虐待防止にも繋がっていることを真摯に受け止め明日からの実践における推進力としたいものです。
 近頃では、セルフネグレクト(自己放任)についての議論も盛んになっているようです。シンポジウムⅠにおいて、ハンドンヒ博士(釜山広域市健康家庭支援センター長・コシン大学招聘教授)は以下のように質問に答えられました。――自分の世話をしない。誰かの世話を嫌がる。自己放任は、韓国においても専門家の中では見解が分かれている。ただし、社会的要素があって、社会が高齢者をその様に追い込んでいる面があるので、自己放任も虐待であると認識している――。
 日本の高齢者虐待防止法の正式名称は、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」です。養護者支援もその目的であるように、これは社会問題として捉えるべきものです。社会問題である以上、どのような問題においても、そこには加害者の「被害者性」が存在します。そのことを一ソーシャルワーカーとして強く認識しておきたいと思います。

※日本高齢者虐待防止学会『第7回日本高齢者虐待防止学会広島大会 抄録集』P.24 2010年6月

会場の南区民文化センターにて。一日中雨が降っていました。

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中島康晴 特定非営利活動法人 地域の絆 代表理事
1973年10月6日生まれ。大学では、八木晃介先生(花園大学教授・元毎日新聞記者)の下、社会学を中心に社会福祉学を学ぶ。巷で言われる「常識」「普通」に対しては、いつも猜疑心を持っている。1億2千万人の客観性などあり得ない事実を鑑みると、「普通」や「常識」は誰にとってのそれであるのか、常に思いを巡らせておく必要性を感じる。いわゆる少数派の側から常に社会を捉え、社会の変化を促すことが、実は誰もが自分らしく安心して暮らせる社会の構築に繋がると信じている。
主な職歴は、デイサービスセンター生活相談員、老人保健施設介護職リーダー、デイサービス・グループホーム管理者。福祉専門職がまちづくりに関与していく実践の必要性を感じ、2006年2月20日特定非営利活動法人地域の絆を設立。学生時代に参加した市民運動「市民の絆」の名前をヒントに命名。
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