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中島康晴

地域の絆 代表理事 中島康晴

サッカーワールドカップの惜敗と得点力不足考

2010/06/30 12:00:00  社会全般
広島県呉市の音戸大橋。これからこの橋に何度もお世話になりそうです。
 昨日のパラグアイ戦をもって日本のワールドカップは終わりを告げました。「日本サッカーの底力を世界に示してくれた。健闘を心からたたえたい」昨日未明に菅直人首相が談話を発表したように※1、国民の大多数の反応は「よくやった!」と称賛するものであり、それは真っ当な反応であると認識しています。その評価に立った上で、予てから日本サッカー対して思うところを綴ってみたいと思います。
 スポーツは勝ち負けが全てではないと言った考え方があり、そのことは尊重した上で、日本サッカーが今後世界で勝ち上がっていくためには、その得点力・決定力が不可欠です。これは報道においても自明の如く取り上げられていることで異論の無い所かと存じます。ではなぜ得点できないのか?スポーツの専門家でもない私が思うに、日本人の意識や価値にも要因があると考えています。
 1998年~2002年まで日本代表の監督を務めたフィリップ=トルシエ氏は、来日当初以下のように語っています。「秩序を重んじる日本社会では、個人による露骨な感情表現をよしとしない。日本の教育が、日本人が自己表現や判断力に欠けることに影響しているのではないか。それがサッカーにも出ているように思う」。であればこそ、「チームづくりよりも人間づくり」を基調とした指導方法をとり、「世界ユース選手権で準優勝した選手を遠征先でディスコを借り切って踊らせたり、孤児院に連れていった」こともあったと言います。「いいチームを作るにはコミュニケーションが大切。そのためには、もっと感情を素直に表現する必要がある」トルシエ氏は言います。※2
 この日本社会特有の呪縛から、今の日本代表は果たして解き放たれたのでしょうか?本田圭佑氏の加入により、幾分雰囲気が変わったものの未だその呪縛の中にいると私は認識しています。自己表現と判断能力の優れた本田圭佑氏に対し、日本のメディアが当初非難を浴びせたように、日本人特有の意識や価値は根深く社会に浸透し、サッカー界にも多分な影響を与えているものと察しています。基本的に、人間の価値や意識は、社会の価値規範から影響を受け作られていることから、そこから完全に影響を受けずに個の価値や意識が形成されることはありません。よって、これは至極「常識」的な話ですね。
 私のスクラップファイルからは、色んな情報が出てきまして、いみじくも次のような文書を見つけました。元日本代表ストライカーの福田 正博氏の言葉です。
―――FWは失敗が一番多いポジションだが、失敗しないと得られないことが多いポジションだ。日本社会は失敗を許さない所がある。勝てなければあの監督が駄目だ!と言われだしたら、もう誰も認めてくれなくなる。選手も同じで、失敗したら、もう使ってもらえないんじゃないのか?と思う。失敗を恐れて、シュートを選択しない。責任を取りたくない考えがどこかにある。だからシュートではなく、パスを選択する場面が多くなる。失敗は人間が成長するには必要。失敗に寛容になる必要がある。そのためには、大人や日本社会の環境づくりが必要になってくる―――。

 日本サッカーと共に、国際社会に通じる日本社会のあり方が今問われています。


※1日本経済新聞2010年6月30日
※2朝日新聞2000年9月24日
※3福田 正博氏2008年1月30日 報道ステーション「日本がW杯で勝つために FWはチャレンジせよ!」

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中島康晴 特定非営利活動法人 地域の絆 代表理事
1973年10月6日生まれ。大学では、八木晃介先生(花園大学教授・元毎日新聞記者)の下、社会学を中心に社会福祉学を学ぶ。巷で言われる「常識」「普通」に対しては、いつも猜疑心を持っている。1億2千万人の客観性などあり得ない事実を鑑みると、「普通」や「常識」は誰にとってのそれであるのか、常に思いを巡らせておく必要性を感じる。いわゆる少数派の側から常に社会を捉え、社会の変化を促すことが、実は誰もが自分らしく安心して暮らせる社会の構築に繋がると信じている。
主な職歴は、デイサービスセンター生活相談員、老人保健施設介護職リーダー、デイサービス・グループホーム管理者。福祉専門職がまちづくりに関与していく実践の必要性を感じ、2006年2月20日特定非営利活動法人地域の絆を設立。学生時代に参加した市民運動「市民の絆」の名前をヒントに命名。
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