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中島康晴

地域の絆 代表理事 中島康晴

第9回 日本ケアマネジメント学会研究大会「地域での生活を支えるケアマネジメント」

2010/08/29 12:00:00  社会福祉
 立教大学新座キャンパスで28日〜29日に開催された表題大会に参加してまいりました。色々と出入りをしていたもので、全てを把握しているわけではありませんが、一参加者として思うところを叙述しておきます。

 まず率直な思いとしましては、ソーシャルワークに関する位置づけが不明瞭な印象を受けました。自身は、ケアマネジメントはソーシャルワークの一部として機能すべきものであると解釈・実践しておりますので、もう少しソーシャルワークに言及した発表が多くてもよさそうなものですが、認知症ケア・ストレスマネジメント・スーパービジョン・実践報告等の末端的なお話が多かったように見受けられました。私の立ち位置と致しましては、ケアマネジメントがソーシャルワークの一部であればこそ、ケアマネジメントの確立を狙うには、ソーシャルワークの確立が不可欠であると認識している次第です。よって本質的なソーシャルワークの在り方を問う議論は避けては通れないと思っておりまして、そのあたりのお話が聞こえてこなかったことは、残念な気がしております。若輩浅学の私の捉え方に問題がないとは言えませんが・・・。

 だからなのか、二日目の「シンポジウム�掘廚砲�ける池田利惠子氏(東京都福祉保健財団高齢者権利擁護支援前センター長・いけだ後見支援ネット代表)のお話にはやはり、感銘を受けました。

 要旨としては、�,海譴�らの実践は、生存権だけでなく、自己決定の保障が重要になってくること、�▲法璽困�ないと世間は簡単に言うが、利用者が自ら声を上げることは難しい。よって、私たちが代弁機能を果たさなければならないこと、��成年後見活動の在り方として、(法律の専門家ではなく)、暮らしの視点を持っているのが、私たちであることをもっと自覚すべきであること、�げ搬音抉腓飽預犬垢襪里任呂覆�、個人の尊厳を「社会で支える」必要性があること、に共感したところです。

 流石にソーシャルワーカーとしての大先輩のご発言でした。

 現在では、介護支援専門員の基礎資格は6割が介護福祉士で占めている状況。ソーシャルワークとケアマネジメントの関係を今一度、明確化しておく必要性を感じています。そのためには、私たちソーシャルワーカーが、実践の中で、その理論を確立していくことが何よりも求められていることでしょう。

 話は逸れますが、本出張中に東京・埼玉周辺を書籍の沢山入った重たいキャリーバッグを引きずって歩きました。エレベーターやエスカレータの如何に少ないことか。また、スロープを使おうにも非常に大回りを強要されますし、幅の狭いものが多かったと記憶しています。何だか、欺瞞的に付けているに過ぎないような…、と言ったら言い過ぎでしょうか。私は若者ですから、気合があれば何のその、荷物も担いで階段を昇降しますが、気合を出してもエレベーターやスロープでしか移動できない方々もいらっしゃるのです。完全に健常者最優先のまちづくりの設えとなっていることに改めて気づかされました。

 これからは機会があれば、重ためのキャリーバックを持って、まちに出ることをお勧めします。あなたの住むまちの本質が見えてくるかも知れません。

本当は苦手な空の移動。

 鉄の塊が宙を浮くということに、未だ抵抗のある稚拙な発想の持ち主で、今まではどんなに遠いところでも新幹線を利用していました。

 しかし、移動時間が短いことが飛行機の最大の魅力でして、唯一その魅力の呪縛に陥っているのが現状です。

社会福祉の仕事は、時代の最先端を行く仕事

2010/08/23 12:00:00  社会福祉
 過日、他県及び全国で御活躍されている古参の専門職の方と電話でお話しする機会がありました。そのお方は、20年以上に渡って更生保護のお仕事をされていました。現在社会福祉分野では、社会的要請を受けて更生保護の分野がより拡大されています。

 その方いわく、――――20年前に目の前の利用者ニーズに対応して始めたこの分野が、まさか今になってこれほど注目を集めるようになるとは思いもよらなかった。自身は、当時よりソーシャルワークの視点で実践していたが、市井は、更生保護とソーシャルワークを結び付けて考えてはいなかった。ところが、今や更生保護の実践にはソーシャルワークの視点が不可欠であると言われるようになっている…。とのことでした。

 このお話から2つの要諦を思い見ることができます。1つ目は、何が流行るのか、時代の要請ばかりに気を奪われて、自身の信念・志を失った実践は、長期的に見れば世の中の評価を受けることがないという事実です。

 宮崎駿氏は、NHKの番組で下記のように話されていました。
―――CGではなく、手描きにこだわる理由として、CGばかりになって全部がCGになっても、返って、手描きが個性になって生きることがある。下駄屋さんは時代と共に減少するが、全部はなくならない。必ず、1軒2軒は残る。それと一緒で、全部がCGになることで、手描きが生きてくる。といった要旨を話され、また、自分の作品が評価されない時代があったことを振り返って、下記の様に語られていました。その当時の「おっさん」(プロデューサー等)に評価されなくても、それを恨んでいないし…。でも、「トトロ」が通らなくても、捨てないで、しまっておいた。私は、人に運命を委ねない。―――※

時代の流れに迎合するのではなく、世の中にとって、これが必要だということを信念を持って取り組み続ける姿勢が才能を開花させたのだと認識しております。いや、時代に迎合したのではなく、時代が宮崎氏に迎合したのかも知れません。信念や、志は、世の中を変える力を有している気も致します。

もう1つの視点ですが、こと社会福祉の仕事は、社会情勢を最先端に捉えた実践ではないかと思っております。私たちの仕事は、個人の生活課題・困難を支える仕事です。人間が社会化されている現状を鑑みれば、その殆どは、実は社会問題であり、社会構造上の問題から起因していると言えます。つまり、私たちが日々汗をかいて行っている実践は、社会が今後解決しなければならなくなるである課題でもあるわけです。その意味において、私たちの実践は、時代の最先端をいく仕事であると言えるのではないでしょうか。

 何よりも信念と志が、人を、社会を大きく成長させるのかも知れません。

※『プロフェッショナル仕事の流儀 スペシャル』「『宮崎駿のすべて』〜『ポニョ』密着300日〜」NHK 2008年8月5日 放送

7月31日に開催した仁伍町内会主催の夏祭りの灯篭

北村敏行様が作成されています。非常に良くできていますし、これがあるのとないのとでは、祭りの雰囲気がガラっと変わります。

7月31日に開催した仁伍町内会主催の夏祭りの灯篭��

中身はこの様になっています。他の地域の方もご参考にしていただければと思います。北村様、勝手な情報公開をお許し下さい。良いものは、どんどん公表しないともったいない気がしますので…。

7月31日に開催した仁伍町内会主催の夏祭りの様子��

盆踊りを踊って、汗だくになりました。心地よい汗ですが。

7月31日に開催した仁伍町内会主催の夏祭りの様子��

ボランティアの方が落語を披露されました。非常に本格的で、特に高齢者の方々は懸命に聞き入っておられました。

『まちづくりとしての小規模多機能ケア』

2010/08/20 12:00:00  地域密着型サービス

『まちづくりに繋がるコミュニティケアの実践�◆�

 「地域の絆」の定めるコミュニティケアの実践定義では、「フォーマル・インフォーマル如何を問わず、その地域に存在するあらゆる社会資源」を活用して利用者の支援を実践するとしています。今回から数回に渡って、その具体的な実践事例をご紹介し、コミュニティケア実践における何らかのご示唆を狙ってみたいと思います。

 理想を言えば、小規模多機能型居宅介護(以下「小規模」)における全ての登録利用者に対して如上の実践が求められるのですが、「地域の絆」では、高齢者の独居世帯・高齢者のみの夫婦世帯・「多問題」世帯(同居する配偶者や子どもが要援護者である世帯など)の利用者に限定して、コミュニティケアを強く意識した実践を行っています。

 ここでは、要介護3(障害老人の日常生活自立度J2・認知症高齢者の日常生活自立度��a)で70代女性の独居高齢者の事例をご紹介します。私たちは、独居高齢者と一言で表しても、そこには様々な課題のレベルがあると認識しております。�[拔畚蠅鵬雜郤圓�住んでいるケース、�∋堋�村・都道府県内に介護者が住んでいるケース、�E堝刺楔�外及び海外に介護者が住んでいるケース等。本事例は、��に該当する事例でした。

 長年住み慣れた自宅での生活を継続したいと思っていらっしゃるご本人の生活課題の中心的なものを挙げさせていただくと、ADLでは入浴・排泄・更衣に一部の介助が必要であり、IADLにおいては、調理・買い物は一部の介助、掃除・洗濯は全介助の状況でした。また、火の不始末の問題があり、お仏壇や台所からの出火が懸念されました。「小規模」からの支援を受けながら、ご自宅で生活されるにはまさにギリギリの状況と言えます。であればこそ、地域の住民・商店による見守りや軽微な家事支援を導入しなければ今後の在宅生活は継続できないと私たちは考えました。本事例では地域包括支援センターの協力も要請しましたが、「小規模」職員を含めた専門職以外の支援体制も合わせて構築し、表1の援助活動を実践しました。

 認知症でお一人暮らしの利用者の支援は、24時間365日の対応が不可欠であり、また援助の幅も非常に広いため、時間的・質的に際限のない実践が求められます。本事例でも、庭の草取りや、ゴミ出し、再三再四の見守りが求められました。これら全ての対応を「小規模」職員だけで実践することは不可能であり、事業所外部との連携を持って、利用者の支援に当たることが必至でした。逆に言えば、私たちが事業所外部のインフォーマルな社会資源へのアプローチを行わなければ、ご本人の希望である「自宅での生活を継続する」ことは困難な状況であったと思われます。

 まず私たちは、家族に個人情報の同意をいただいた上で、見守りの“目”を地域の中にたくさん創る実践を行いました。利用者の生活に何らかの変化が生じた際、「小規模」に直ぐに連絡が入る「経路」を確保するためです。そのことで「小規模」職員は、利用者宅への見守り訪問の回数を減らすことが出来ました。利用者宅の道を挟んで向かいにあるリサイクルショップの社長さんや、近隣住民、民生委員、児童登下校時の見守りボランティアに職員が手分けをして依頼に伺い、ご協力をお約束頂けたのです。登下校時の見守りボランティアの方々には、平日の夕方いつも見守りの場所まで歩いて行かれる道程に利用者宅があったものですから、利用者宅の前を通った際の声かけや見守りを依頼しました。また、真夏の猛暑の折、家の前の歩道に腰をかけたまま30分以上動こうとされないので心配だと、近隣住民から当事業所に連絡が入ることもありました。既に脱水症状が出ており、連絡をいただいておらねば、大変なことになっていたかも知れません。

 この様に地域の見守りの“目”を増やし、“センサー”の精度を高めることは、お独り暮らしの方の支援には不可欠であると認識しております。また、見守りという行為は、地域住民にとっては幾分ハードルが低いのか、多くの方は、声をかければ快く引き受けて下さることが多いようです。

 ゴミの処理に関しては、毎週決まった時間に「ごみステーション」へ出さなければならず、「小規模」職員の負担となっていました。そこで、近隣住民の方へまずは、「利用者の家の前(敷地内)にゴミを出しておきますので、可能な日は、ゴミ出しをお願いできますか?」と依頼しました。一人の方が快く引き受けて下さり、それが継続されると、「毎回私が出しておきますよ。前の日に用意だけしておいて下さい」とおっしゃっていただけるようになったのです。「小規模」職員の負担は軽減し、地域住民による見守りの“目”を更に増やすことにも繋がりました。この実践は、インフォーマルな社会資源へアプローチを試みる際は、ハードルの低いところから依頼すると成功しやすいことを示唆しています。地域の住民や商店の方々の多くは、時間的な余裕がたくさんあるわけではないため、初めから過度なご負担をお願いすると負担感や拒否感が強く断られるケースが多いのではないでしょうか。また、依頼をする私たちと依頼先との信頼関係が築けていない段階では、過度な依頼は不信感を増幅させてしまうのではないでしょうか。その意味において、最初の段階では、負担の軽い依頼を行うことが要諦です。まずは、継続してご協力いただけることを第一義とし、敢えてハードルを下げて依頼する。その後の過程で構築された信頼関係や、利用者に対する親密度の高さから、依頼先の状況に応じた更なる負担を依頼していくことが成功の秘訣ではないでしょうか。

 またご本人にとって、自宅から数百メートル離れたコンビニエンスストアに押し車で時間をかけて買い物に行くことが日課となっていました。お金の出し入れが難しいことと、毎回同じ物を買われるので、賞味期限切れの食材が冷蔵庫の中に溢れていたこと、押し車で買い物するには狭い店内での方向転回や移動時に転倒のリスクがあったことから、�〇拱Гい了抉隋↓�販売物の調整、�E稿皸榮飴�の身守りをオーナーさんに依頼しました。オーナーさんはご快諾下さり、そのことは店員さんに浸透し、日常的な対応が始まりました。実はこのオーナーさん、お独り暮らしの高齢者宅へお弁当代だけを徴収し、独自に「配食サービス」を展開されていました。配送料は無料ですから、これは、無料という意での「サービス」ですね。

 地域に対する働きかけを実践すれば、このような地域住民の顔と人柄、その実践が見えてきます。それが新たなコミュニティケアの実践へと繋がっていくのです。

『まちづくりとしての小規模多機能ケア』

2010/08/13 12:00:00  地域密着型サービス

『まちづくりに繋がるコミュニティケアの実践� �

図1 地域の絆におけるコミュニティケアの実践定義。
 「地域の絆」における小規模多機能ケアの実践は、「コミュニティケア」・「コミュニティワーク」・「地域密着・交流」の3つの要素を一体的・有機的に機能させたものである旨前回ご紹介しました。

 今回より数回にわたって、まずは「コミュニティケア」の実践について掘り下げて説明してみたいと思います。専門書や教科書では、「コミュニティケア」は二つの要素で書かれていることが多いのではないかと認識しています。�,△蕕罎訝楼茲亮匆饂餮擦魍萢僂靴突�用者のケアに当たること、��対象者を限定しないケアであること。�,埜世Α崋匆饂餮察廚箸蓮⇒�用者の皮膚の外にあるあらゆる(物理的・心理的・社会的な)ものと私たちは理解しています。即ち、フォーマル(公的・専門的)・インフォーマル(非公的・非専門的)如何に関わらずあらゆる社会資源を活用して、利用者支援を実践することを指しています。�△任蓮�介護保険の事業所として、高齢者の相談やケアにしか応じない実践ではなく、高齢者以外のあらゆる生活課題を抱えていらっしゃる方の相談やケアのニーズに、出来得る限り応えていく必要性が示唆されています。巷で、注目を集めている「共生型介護」などがこれに該当します。また、コミュニティケアは在宅ケアに特有のものではなく、施設ケアもコミュニティケアを意図して実践するべきであると認識しています。施設ケアも在宅ケアも、共に地域の中でなされるケアであることには変わりありません。

 「地域の絆」では、図1のようにコミュニティケアの実践定義を行い、これを各事業所に掲示し、全職員が共通認識の下日々の実践に努めています。専門職とは自らの実践が言語化できる人であり、チームケアではそれを共通認識できる集団構成が求められるからです。

 「地域の絆」ではまず、主たる対象とする「地域」を定義化しています。図2にあるように、本来地域には様々な圏域が存在します。その中のどの圏域を自らの実践地域とするのか、そのことに対する共通理解なくして、コミュニティケアの実践はなされません。「本来」と書いたように、従来はこのような認識が希薄化した中で、地域福祉活動が実践されてきたのではないかと自戒の念を含め認識しております。私たちは、まちづくり拠点としての小規模多機能型居宅介護(以下「小規模」)が対象とする地域を自治会及び小学校区圏内と定めています。一人の利用者を専門職と地域住民が協働で支援していくことを鑑みると、お互い常に顔の見える関係性が不可欠ですから、その圏域の設定は自治会が基盤となるはずです。コミュニティケアを実践する前にまずは、どの地域を主たる対象地域とするのか、事業所内での共通認識が不可欠です。

 次に、これからの社会福祉実践は、「支えられる側」の人たちも環境や立場が変われば「支える側」に回ることがあることを常に認識しておく必要性があると思われます。目の前の利用者に対しても、まだまだ残された・隠れた能力が数多あることを認識しながら援助活動を展開する必要があるのです。「地域の絆」では、精神障害者・発達障害者・不登校児童・触法少年・要支援者・要介護者のボランティア活動の受け入れを行っています。

 「地域の絆」の各事業所では、社会福祉士事務所や福祉よろず相談室を設置しており、高齢者分野に関わらずあらゆる分野の福祉相談を受け付けています。相談料は無料としておりますが、その分、インテーク(受理・初回面接)程度の相談しか受け付けないことを援助条件としています。地域住民が福祉課題を抱えた際、とにかく相談に来ていただければ援助の方向性を示し、適切な関係機関に繋いでいくことを第一義としています。無論、その場のワンポイントアドバイスで解決する相談もあります。実際の受付頻度は、事業所ごとに月に3件程度となっています。相談に来られる方の約半数は、地域包括支援センターや、障害分野の相談機関の職員さんからであり、制度の狭間で対応に苦慮しているケースが殆どです。残りの半数は、地域住民からの直接相談です。そのような相談を受け付けていく過程の中で、家庭裁判所の調査官より、触法少年・少女のボランティアの受け入れ依頼が来たり、近隣の精神障害者・発達障害者作業所より、就労訓練を目的としたボランティア活動の受け入れ打診があったり、不登校児童のボランティアの受け入れを両親から依頼されたり等、地域の様々な課題情報が集まってくると同時に、地域におけるネットワークの構築がなされています。高齢者に限定しない相談窓口を設けることで、地域のネットワーク拠点を担うことができるのです。

 「小規模」利用者に対するサービス・ケアの質をしっかりと担保できる範囲において、如上のニーズに応える形で、対象を高齢者に限定しないケアの実践を行っています。

 また、利用者支援を行う姿を地域住民に隠さないことを私たちは大切にしています。むしろ、汗を流しながら地域の中で利用者を支援しているその姿を積極的に地域住民に見せていく、利用者の生活を地域住民に知ってもらえる実践を行っています。全国で400万人を目標に認知症サポーターの養成推進が謳われていますが、いくら知識を伝達しても、利用者に対する偏見は大きくは減少しないものと思われます。大切なのは、実際に、身近に住んでいらっしゃる認知症の方の生活に触れることが、一番の意識変革に繋がるものと考えます。ですので、私たちの実践を地域住民に積極的に見ていただくことで、それが利用者に対する偏見の減少及び理解・協力の向上に繋がり、延いては地域の福祉教育を担うことにもなるのです。

 「グループホームや小規模多機能型居宅介護の指導に関して必要な認知症ケアにかかる共同生活の意味・重要性や地域連携の視点を加えるなど、現行の実地指導マニュアルの見直しを行っているところ」※2と厚労省も検討項目に挙げているように、今後更に、「小規模」の地域との関係は、名実ともに求められることとなります。今の段階から、利用者を地域から切り離したケアではなく、地域の中で支えるケアとしてのコミュニティケアの視点を持っておくことが要諦です。


※1図2 厚生労働省 社会・援護局「これからの地域福祉のあり方に関する研究会報告書」2008年3月31日
※2厚生労働省老健局「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料」2010年3月5日

地域活動を実践する前に、組織内における対象地域の設定を!!

住民自治の心

2010/08/08 12:00:00  社会福祉
7月31日(土) 地域福祉センター宮浦西では、夏祭りを開催致しました。2回目の夏祭りで、今までに来所されていらっしゃらなかった住民の皆様にも多く参加いただけました。地域住民の皆様、誠にありがとうございました。心より、お礼申し上げます。
 まちづくりに関わる専門職として、日本型の地域福祉のあり方を彷彿することがあります。過日訪れたスウェーデンでは、手厚い公的支援を礎とした地域福祉の実践を目の当たりにしたばかりですが、日本のそれはどうあるべきかと若輩浅学ながら考えているわけです。

 例えば、広島県呉市では、今から一年ほど前に、下校中の小学校一年生の女児が市営バスにはねられて死亡した経緯がありますが、登下校の見守り活動を以前よりも強化したまちづくりの実践が行われています。そこには大きく二つの視点が存在するようです。

 「ただ、活動回数の多い一部の保護者の負担が大きいのも現実。(中略)幅員約3メートルで離合が難しく、交通量も多い事故現場のバス停付近。市と県警は3月中旬、横断歩道を新設した。側溝にふたをし白線で区切った歩行者スペースも確保した。改善はされたが、(中略)主婦は『歩行者スペースはランドセルがはみ出すような狭さ』と指摘。(中略)『横断歩道を増やしてほしい』と求める。(中略)(市教委の)学校安全課長は『子どもの安全を守るために、地域や保護者の協力は不可欠だ』と訴える。ただ、(中略)主婦は、見守り活動の現状を受け『熱心な人ばかりに負担をかけられない。集団登下校やスクールバスで対応しては』と提案する。(中略)PTA会長は『できるだけ見守りを続けるが、大人が教えるだけでは児童が自分で自分の身を守る意識は育ちにくい』と実感する」※1。

 住民が自らの力で物事を処理する視点と、行政対応で処理する視点。私は両者のバランスがとても大切であると認識しています。見守り強化において、一部の住民負担が向上することは芳しくありませんが、それを直ちに、スクールバスで対応することにも躊躇を抱く考えを持っています。行政が全てにおいて責任を持って対応するのではなく、地域住民が自らの責任で処理するべき部分も幾分か残しておく必要性を感じるのです。

 元鳥取県知事で、現在は慶応大学教授の片山善博氏は、――――「『地方自治の本旨』とは、団体自治と住民自治の二つの要素が満たされることだと、どの憲法の教科書にも書かれている。団体自治とは、国から独立した団体(自治体)が権限や財源を持ち、国の支配を受けることなく自主的に運営できることをいう。住民自治とは、その団体の内部において主権者である住民の意思に基づいた意思決定がなされることをいう」とした上で、現在政府の掲げる「地域主権」は、「団体自治」優先の体をなしていると批判されています。「地域のことは、その地域に住む住民が責任を持って決める」ことこそ、「地方自治の本旨」であると発言され、住民自治の重要性を説かれていました※2。

 福祉やまちづくりの第一義的責任は、政府や地方自治体にあることは言うまでもありません。福祉専門職は、時として、その責任を追及し、摑かんで放さない実践も求められることでしょう。しかし、そこに全てを押しつけてしまっては、真に福祉やまちづくりは成立しないように思われます。市民ひとり一人が、主権者としての責任と自負を持って、自らが出来る実践や、意思表示を行うことなくして、自らの地域や国を守ることはできません。またその考える営みを通して、人と人との繋がりの必要性を実感し、他者への配慮が出来る教育的効果も見込めるものと信じています。

 つまり、日本型の地域福祉やまちづくりとは、公的責任を全うすることを第一義としつつも、そこで敢えて全てを補わず、住民自治の意思によって、地域住民による互助や共助で補完する実践が理想的ではなかろうかと考えるのです。地域住民が、地域のことを真摯に鑑みれば、日本社会全体の課題も見えてくるはずですし、地域の中で困っている方を支援しようとする心も芽生えてくるはずです。住民自治の心は、そのような「宝器」を地域にもたらすのです。これを引き出さない手はありません。


※1 「呉・東広島」『中国新聞』2010年4月8日(木)
※2 「今を、読む」『中国新聞』片山善博氏 2010年5月2日(日)

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中島康晴 特定非営利活動法人 地域の絆 代表理事
1973年10月6日生まれ。大学では、八木晃介先生(花園大学教授・元毎日新聞記者)の下、社会学を中心に社会福祉学を学ぶ。巷で言われる「常識」「普通」に対しては、いつも猜疑心を持っている。1億2千万人の客観性などあり得ない事実を鑑みると、「普通」や「常識」は誰にとってのそれであるのか、常に思いを巡らせておく必要性を感じる。いわゆる少数派の側から常に社会を捉え、社会の変化を促すことが、実は誰もが自分らしく安心して暮らせる社会の構築に繋がると信じている。
主な職歴は、デイサービスセンター生活相談員、老人保健施設介護職リーダー、デイサービス・グループホーム管理者。福祉専門職がまちづくりに関与していく実践の必要性を感じ、2006年2月20日特定非営利活動法人地域の絆を設立。学生時代に参加した市民運動「市民の絆」の名前をヒントに命名。
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